第495話『並行世界の街を歩く③』
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※誤字があったので修正しました。
クズキの胴体はただの肉塊となり、地面に倒れ込んだ。
飛ばされたクズキの首は、血がついた剣を持った女がキャッチした。
背中を覆うほどの黒い長髪、外見は綺麗なお姉さんだが、目つきが鋭く、ヤンキー女子を思わせる風貌だ。
服装は“さんま”と書かれたダサTシャツにジャージのズボンという、部屋着に近い格好をしている。そんな彼女が所持している殺伐とした剣とは、シュールさが浮き出るほどのミスマッチを起こしている。
クズキを殺したのは、その女で間違いないだろう。
すると、長髪の女はクズキの首を炎魔法で燃やし、跡形もなく消し去った。
『ふん、盗賊団の幹部もこの程度か』
不満そうに、クズキの火葬作業を終えると、女は俺達の方を見てニヤリと笑い、
『初めましてだな。私は村正。かつて“流星群”というギルドに所属していた者だ』
男のような口調で自己紹介をした。
『俺はダスト。こちらは超絶かわいいブロンズちゃんです』
魔王城の者だとは言わない方がいいか。
『そこじゃないわよお兄ちゃん』
心の声をツッコまれてしまった。
『ほほう、確かに超絶かわいいな』
村正さんはブロンズ様をマジマジと見る。ブロンズ様は彼女の反応に戸惑ったのか、少し引き気味だ。
『ところで、ダストと言ったか。お前強いな』
村正さんは俺の実力を見極め、ニヤリと笑った。
『いえ、貴女ほどでは……』
不意打ちとはいえ、実力があるクズキを一撃で葬ったのだ。少し手間取った俺よりも村正さんの方が強いだろう。
『そう謙遜するな。この私が認めているのだ。もっと誇っていいんだぞ』
『あ、ありがとうございます』
これ以上自分の実力を否定したら、この人まで否定することになるだろうから、褒め言葉を受け取ることにした。
それにしても流星群……どこかで聞いたような名前だな。まさか“ダスト”と同じネーミングセンスを持つ者が他にいるというのか。ただでさえおかしなネーミングセンスに翻弄されているというのに、もう名前にツッコむのやめたい……。
『あの、ちょっと聞いてもいいですか?』
『なんだ?』
『流星群というギルドにかつて所属されていたそうですが、そのギルドのボスの名前は何て言うんですか?』
ボスの名前になんとなく心当たりがある。
『ほう、ボスの名前なんて知ってどうするんだ?』
純粋に疑問という顔をしている。
『ただの興味本位です。言いたくないなら言わなくて大丈夫です』
『いや、別に言っても大丈夫だ。私達のボスの名はダスト。そういえばお前と同じ名だな。まあそれほど珍しい名前ではないがな。で、そのダストは人類最強と呼ばれ、何でも神を倒したことがあるそうだ』
やはりダストだったか。俺にとっては馴染み深い名前であり、借りている名前でもある。もっともこの世界線のダストとは全くの別人だが。
いや、それよりも――
『神を倒した……だと?』
神と言うとゼウスとかノルン様とか色々いるが、誰のことだろう?
『神って、どの神ですか?』
『そこまでは知らない。何せただのウワサだからな』
ウワサなんかい。
『そうですか。分かりました。貴重なお話ありがとうございました』
俺は素直に頭を下げて、感謝の言葉を述べた。
『うむ、ところでお前、次はどこに行くんだ?』
『次ですか? 次はロンドディウム王国に行くことになってます』
『そうか、ルシウスか。まあこの世界線なら大丈夫か』
ん?
『あの――』
『おっと、私はもう行かなくては。さらばだ旅人。おそらく次に私と会うときは――“決戦の地”だろう』
村正さんは、そう言い残し、いつの間にか姿がどこにもなかった。まるで最初からいなかったかのように。
『行っちゃった……』
いくつか聞きたいことがあったのだが、はぐらかされてしまった。
世界線……決戦の地……。
何やら色々知っているような口ぶりだったが、彼女は一体何者なんだ?
『ねえ、ブロンズちゃん。何か分か――って、あらら』
さっきから静かだなと思ったら、椅子に座って眠っていたのだ。そんなに退屈な話だったのか、それとも村正さんが、気を利かせて彼女を眠らせたのか。
『ブロンズちゃん』
俺は眠る彼女を優しく揺さぶった。てか寝顔のブロンズ様可愛すぎない? 心奪われるなんてレベルじゃねえぞ。
『ん……んん……』
ブロンズ様はようやく意識を浮上させ、腕を伸ばしたり、欠伸をしたりと、まだ状況を理解できていない。
『あれ……お兄ちゃん? わたし何でここで寝てたんだっけ?』
先程の記憶が少し欠如しているのか、俺に状況説明を求めた。
『えっと、さっきまで村正さんと話してて、その途中でブロンズちゃんがいつの間にか用意した椅子で眠ってた』
『なにそれ? どういうこと?』
ブロンズ様は俺の説明と自分の記憶が一致せず、首を傾げている。俺も自分で言っててよく分かってない。
やはり、村正さんが俺の目を盗んでブロンズ様に椅子を用意して眠らせたのか。
『そういえば村正お姉ちゃんはどこ行ったの?』
『分からない。ただまた会えるようなことを言ってたよ』
正直、謎が残ったままで不完全燃焼感は否めないが、これ以上考えても仕方がない。次へ進もう。
ロンドディウム王国にいるルシウスに会いに行くんだ。
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