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第490話『サンタさん』

メリークリスマス!


お待たせしました。

第490話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※今回文字数多めです。

 夕闇にキラキラキラ。


 街中がキラキラキラ。


 イルミネーションを纏う木や建物がいつもより輝いている。


 そう、今日はクリスマス・イヴだ。


 聖夜の宴なんて言うが、この国では結局リア充がいつもよりロマンチックにイチャイチャする機会を与えるだけだ。


 別にクリスマス・イヴなんて名目だけで、奴らはただイチャイチャしたいだけ。幸せな気分に浸りたいだけなのだ。


 クソが。控えめに言ってリア充爆発しやがれ。


 ちなみに俺はクリスマスに予定ありますよ。


 仕事だけどな!!!!!!!!!!!!


 いや、今日は本来休日だったんだが、一昨日の銀行強盗事件を一応ノルン様に報告したら、血相変えて事情聴取されてしまってな。マーリンも呼ばれて、緊急会議ですよ。


 やはり銀行強盗が仲間で撃ち合ったのは闇魔法の可能性が高く、そのやり口からダークの仲間ではないかという話になった。


 なので、その現場にいた人質をヴァルハラのストーカー……じゃない、全人類監視カメラで一人一人、その後の行動を入念に調べていたのだ。


 その作業を一日半かけて行っていたら、もうクリスマス・イヴの夕方になっていたというわけだ。


 まだ作業そのものは終わってないが、ノルン様が、あとはこっちでやっておくから帰りなさい、と。


 用事もあるし、お言葉に甘えて帰宅させてもらうことになった。


 マジで大変だったが、マーリンから明日は特別休暇を頂いたので、遠慮なく休ませてもらうことになった。


 だが、俺にはまだやることがある。


 それは――クリスマスパーティーだ!


 マーリンの家で家族や友達を呼んで、派手に騒ごうじゃないかと、家主から提案があって、満場一致で決行することとなった。


 しかし、パーティーをするには準備が必要だ。


 クリスマスツリーや飾り付けやケーキやローストチキン等等、やることは沢山ある。


 まあ俺はさっきまで仕事だったので、大方あおいちゃんやパーシヴァルにやってもらった。なので、俺のやることはただ一つ。それは――おととい買いに行けなかったプレゼントを買いに行くことだ。


『何にしようかな……?』


 まあまだ決めてないが。


 クリスマスプレゼントを贈る相手は3人。ルカちゃん、ルカヴァちゃん、バレスだ。


 実は3人共サンタさんを信じているのだ。精霊界にもサンタさんの文化は存在するらしく、子供たちの枕元にはプレゼントが置いてある。それはルカちゃんも例外ではない。意外かもしれないが、あの親精霊はちゃんとプレゼントを持ってきてくれたらしい。まあ、多分オベイロンの命令だろうけど。


 親に愛されてるわけがないと思うルカちゃんだからこそ、サンタさんは本当に実在すると思ったんだろうな。


 バレスは、サンタさんが実在するというよりも、プレゼントをくれる相手=サンタさんという定義らしい。しかし、今までバレスにはクリスマスプレゼントをくれるような大人なんていないはずだが、何故か枕元にプレゼントが置いてあったらしい。まあ蓋を開けたら少し光っただけで、中身は空っぽだったようだがな。そのサンタ、マジで趣味が悪すぎる。一回、いや十回、いやいや百回はぶん殴ってやりたい。


 ともかく、問題は何をプレゼントするかだ。一応あおいちゃんからある程度情報を得ている。


 たとえばルカちゃんは指輪等のアクセサリー、ルカヴァちゃんもアクセサリー類、バレスはゲームソフト。


 ルカちゃんとルカヴァちゃんは分離しているとはいえ、元は同一人物だ。好みはある程度一致しているだろう。


 さて、プレゼント選びだが、バレスは最近話題のあのゲームの話をしていたし、それにするか。


 次にアクセサリーだが、どうしようか。ルカちゃんは主に指輪を所望していたが、重すぎだろ……。そういうのは将来を誓い合ったパートナーから貰いなさい。って、まさかルカちゃん恋人を所望しているのか!?


 いやまあ、そっか……ルカちゃんもお年頃だもんな……そりゃ異性を欲しがるよなぁ……。


 もしルカちゃんに彼氏ができたらと考えると……ちょっと寂しいな。巣立たれたというか、まるで親になったようだ。まあ今は親代りだから、そうなんだけどな。


 ――それから数時間後。


 なんとか選んだプレゼントを手に、家にたどり着いた。


 プレゼントはまだ渡さない。彼女達が就寝した後にこっそり枕元に置いていくのだ。


『おかえりなさいディーンさん』


『おかえりなさいませ。ディーン様』


 ルカちゃんとあおいちゃんが出迎えてくれた。


『もうみんな来てるよ』


『お、おう』


 リビングに入ると、家族組のパーシヴァルやルカヴァちゃん、バレス、なんと珍しくマーリンもいた。どうやら、今日だけはなんとか仕事を終えて帰ってきたらしい。


 さらにゲスト組として、白鳥三姉妹、フーちゃん、サン、フレイ、ヒルドさん、ヘラクレス、マゼンダさんも遊びに来ていた。


 我が家の中で、これだけの人がいるのに、まだ人口密度が高いとは思わない。改めてこの家の広さに驚愕した俺であった。


 机の上には既に大量の料理と飲み物が並んでいる。まさにパーティーという特別な雰囲気だ。


『よお、オーガスト・ディーン』


『フレイか。久しぶりだな』


『ああ。お前いつ戦える?』


『俺に早速聞くことがそれかよ……』


『必ずまた俺と戦えよ』


『あぁもう分かったよ。色々落ち着いたら戦ってやるよ』


 まあ遙か先の未来になるだろうがな。


『必ずだぞ!』


 フレイはそう言い残して、他の人のところに行った。


 全く……フレイは相変わらずだな。


 それから、準備が完全に終わると、


『みんな揃ったかな? それじゃ……乾杯!』


『乾杯!!!!!』


 食器と食器を合わせて、カンと鳴らす。


 その後もパーティーは盛大に盛り上がり、誰一人不満なく聖夜を過ごした。


 そして――


 ゲスト組は白鳥三姉妹を除いて全員帰宅し、子供達は就寝した。


 あとは――


『サンタの出番だな』


『はい。私も準備万端でございます』


 サンタの服を纏うあおいちゃんは、嬉しそうにプレゼントの箱を持っている。同じくサンタのコスプレをしているマーリンも活き活きとしている。


『あおい、マーリンもなんでそんな格好してるんだ?』


『着てみたかったので』


『可愛いでしょ?』


『あぁ、そうか』


 パーシヴァルは興味なさそうに返事をする。


『さて、これより作戦を決行する。それぞれ決められたプレゼントボックスを気づかれないように枕元に置くのだ』


 それぞれ頷き合い、プレゼントの箱を持って彼女達の寝室に侵入する。


 ルカヴァちゃんはパーシヴァルが、バレスはあおいちゃんが、白鳥三姉妹はマーリンが、そしてルカちゃんは俺が担当する。


『………………』


 扉を静かに開けた。ルカちゃんは眠ったままだ。


 よし、このまま抜き足差し足忍び足で、ベッドの近くに寄る。そして、プレゼントボックスをそっと置いていく。


 ちなみにカレンちゃんには事前に話をしているので、部屋に侵入したことは今回だけ特別に目を瞑ってもらっている。


 とはいえ、さっさと戻らないとな。いつまでも年頃の乙女の部屋に居続けるのは問題だし、サンタの正体に気づかれて夢を壊してしまうわけにはいかない。


 退散退散〜。


 ――その刹那。俺は見てしまった。


 サンタクロースの格好をした謎の美女と、トナカイのコスプレをした男を――。


『……!?』


 思わず声を出してしまいそうだったが、謎の美女がひとさし指を立てて、しーっと。


 すると、トナカイ姿の男は大きな袋からプレゼントボックを取り出し、同様に枕元に置いた。


『……?』


 アンタらは何者なんだ? と聞きたいが、今音をたてるわけにもいかない。


 驚いたことに、彼女らのプレゼントボックス自体が魔法で出来ているようだが、枕元に置くと魔力の流れが消え去った。


 言うまでもなく、そんな魔法はこの時代には存在しない。


 ということは、まさか未来の人間か?


 聞きたいことは山々だったが、今声を出すわけにはいこない。


『……』


 それぞれ作業を終えると、トナカイ男は申し訳なさそうに頭を下げ、サンタ美女は口角を上げて、『じゃあな』と手でジェスチャーをし、その場をあとにした。


『……!?』


 なんだか不思議な奴らだったな。完全に不法侵入だったが、何故か悪い気はしない。一応奴らのプレゼントボックスを慧眼魔法で見たが、特に問題は無さそうだ。


 俺は静かに部屋を去り、リビングで大人達と集合した。3人共明日の朝が楽しみだとウキウキしていた。


 サンタ美女やトナカイ男の話題が一ミリも出てこなかったということは、目撃したのは俺だけのようだ。


『私達もそろそろ寝ましょうか』


『そうだな』


 パーシヴァルはあくびをしながら腕を伸ばしてから、寝室に戻った。


『私も明日早いのよね……』


 真っ青な顔をしながら寝室に戻るマーリン。どんだけ仕事溜めてんだよ……過労死するよ?


『ダスト様はお休みになられないのですか?』


『もうちょっとここにいるよ』


『そうですか。では、お先に失礼します』


 あおいちゃんも寝室に戻った。


 リビングに一人残る俺。数時間前はあれだけ騒がしかったのに、今はまるで正反対。静寂がやけに不気味で、思わずこの世にはない恐ろしい物を想像してしまう。


 でも、今の俺は違う。


 俺は魔法で光の塊を出し、それをプレゼントボックスに変えた。


『なるほど、こういう魔法か』


 この魔法の名は分からないし、どういう魔法なのかもよく分からないし、“ダストの記憶”にも存在しない。なのに、今俺はこの魔法を使える。


『あぁ、もしかして俺もクリスマスプレゼントを貰ったのか』


 俺は大人だから貰えないものだと思っていた。でもそうか。大人でもプレゼントを貰っていいんだな。


『俺、全然良い子なんかじゃないのにな……。でも、素敵な贈り物をありがとう。サンタさん』

 

第490話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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