表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
494/725

第480話『ハロウィン』

どうも

改稿作業等の修正の為に更新ペースを崩してから日は浅いですが、今日はハロウィンということで投稿させて頂きました。

宜しくお願い致します。


 トリック・オア・トリート。


 そんな声が街中から聞こえる。主に子供たちが声を上げて、大人たちからお菓子を施されている。


『そうか、今日はハロウィンか』


 この世界にもハロウィンという概念はある。人間が住む世界から来た人間が大勢いるのだから、まあ当然といえば当然だ。


『俺も菓子食いてぇな』


 急に菓子を口に放り込みたくなる衝動に駆られた。しかし俺は一応大人なので貰えないし、自分で買ったとしても今は通勤帰り、つまり夕食前だ。腹を空けておかなければならない。


『帰ろう』


 俺の足は自宅へ向かうようにシフトする。


『あ、でもそうか。その前に――』


 俺はコンビニでお菓子を適当に買い込む。もちろん今食べるわけでもないし、俺が食うわけでもない。


 それから自宅に帰ると――


『ディーンさん! ト、トリック・オア・トリート!』


 玄関前にルカちゃん、ルカヴァちゃん、バレスの3人がお菓子をねだってきた。しかもそれぞれハロウィンにふさわしいコスプレをしている。かわいい。


 その中でもルカヴァちゃんはかぼちゃの被り物を被り、顔を隠している。なぜルカヴァちゃん本人と分かったかというと、そのかぼちゃの被り物の上にカレンちゃんが乗っているからだ。そのカレンちゃんもハロウィンにちなんで、かぼちゃのアクセサリーを頭につけている。


『ホラ、サッサトオ菓子ヲ寄コセ。ルカチャン達ヲオ菓子デ幸福ニスルノダ』


 カレンちゃんが偉そうにお菓子の譲渡を催促する。


『はいはい、ほらお菓子買ってきたよ』


 俺はビニール袋からお菓子を取り出す。


『わーいやったー! ディーンさんありがとうございます!』


『ディーンさん……ありがとうございます……』


『ディーン先生の施し、ありがたく頂戴致します』


 三者三様の反応を堪能した。


 時代を超える前は俺は人に施されるばかりだったが、今は施す側になったんだなとしみじみ思う。


 ――そうだな、いつかブロンズ様たちにも。


『お菓子は夕食の後にするんだぞ』


『はーい!』


『はい』


『ご安心下さい。最初からそのつもりでございます』


 釘を刺したところで、ちょうど夕食の時間となった。


 今日はあおいちゃんとパーシヴァルで料理を作ってくれたそうだ。


『今日はハロウィンにちなんで、かぼちゃパイも焼きました!』


 かぼちゃの甘い匂いが鼻腔をくすぐる。見てるだけで食欲が湧いてくる。


『おいしそー!』


 ルカちゃん達も美味しそうにかぼちゃパイを見つめている。


『マーリンさんは今日も遅くなりそうなので、先に食べちゃいましょう』


 いただきます、と食前の挨拶を終えると、みんなそれぞれ料理を口に運んだ。


 デザートのかぼちゃパイはみんなで分けて食べた。もちろんマーリンの分も残してある。


 此れにて夕食の時間は終わり、子供たち三人は早速、俺から貰ったお菓子を口に放り込む。


 三人の表情は様々だが、美味しそうで何よりだ。


『あ、ダスト様も良ければどうぞ』


 あおいちゃんからクッキーの入った袋を貰った。見たところ既製品ではなく、手作りと見た。


『わざわざ作ってくれたんですか?』


『せっかくハロウィンなので、作ってみました』


 まあ、ゴールドさん達ほどではないですが……と自信なさそうに付け加えた。


『ありがとうございます。頂きます』


 俺はありがたくクッキーを口に運んだ。


『ど、どうですか?』


 あおいちゃんは少し不安そうに顔を覗く。超絶料理上手のゴールドちゃん達と比べられてると思えば不安になるのも無理はない。


『美味しいですよ』


『ほ、本当ですか?』


 さすがにゴールドさん達と比べたら美味しくないでしょう? と言うような顔だ。


『ええ、本当ですよ』


『それなら良かったです……』


 表情がまだ晴れてない気がする。俺はもう少し言葉を添えた。


『そう不安にならないで下さい。あおいちゃんは料理上手ですよ』


 俺は正直にそう評価した。


『ありがとうございます!』


 ようやく表情が明るくなったあおいちゃん。しかし心の中はどうなっているのか、また負の連鎖に陥ってないか心配ではあるが、それは本人のみ知る。


 その後、俺は入浴を済ませて、リビングで就寝宣言を行おうとするところに、ルカちゃんがまだ話したそうな顔でこちらを見る。


『ルカちゃん、どうしたの?』


『あ、あの……もう少しディーンさんと話したいなぁと思いまして……』


 少女は頬を染めて、俺との会話を求めてきた。


 明日も平日だし、本当は早く寝るように促すのが正解だが……。


『いいよ』


 そう返事をすると、光り輝くような笑顔で、


『ありがとうございます!』


 と、元気にお礼を言われた。


 何で今そんなに俺と話したいのだろうか? 深夜テンションというやつか?


『でももう夜遅いし、明日も学校だから少しだけな』


『はーい』


 ルカヴァちゃんとバレスはとっくのとうに就寝している。あおいちゃんとパーシヴァルはさっきそれぞれ自室に戻ったところだ。マーリンはまだ帰ってきてない。


 つまり、リビングには俺とルカちゃんの2人だけ。


『あの、ディーンさんに聞きたいことがあったの』


『何だ?』


『ディーンさん達が居た未来には、ハロウィンの文化ってあるの?』


『えっと……どうだったかな。あったような気もするし、なかったような気もする』


『えっと、どういうこと?』


 曖昧な表現のせいで首をかしげるルカちゃん。


 あの時は波乱万丈すぎて、文化を知る機会なんてあまり無かったからなぁ……。


 でも、もしあの時代にハロウィンの文化があって、魔王城のみんなと過ごせたなら――


『多分だけど国によって文化が違うから、どこかの国ではハロウィンの文化があったのかな……?』


『ディーンさんはどんな国にいたの?』


『俺が最初に居たのは国じゃなくて魔王城なんだ』


『あ、そっか。そう言ってたね』


『そうだなぁ……国といえば……火の国って国があるんだけど、その国だけは何故か現代の日本っぽい都会の国だったんだよね。そこだったらハロウィンのイベントとかやりそう』


『火の……国? 火ってあの熱い方の日?』


『そうだね。確か水の国とかもあったよ。俺は言ったことないけど』


『へぇ、火の国は何で火の国って呼ばれてるの?』


『うん……? そういえば何でだろう?』


 言われてみれば、火の国には“火”の要素が一切なかったな。特に熱い国でもなかったし、火が常に燃え盛るようなスポットもない。


 確かに妙だな。


『まあ、建国した人が適当に名付けたか、何かしらの意味を込めて付けたのかもね』


 あの時代の人間のネーミングセンスの無さは異常だったからな。


『ふーん、そっかー。まあ名前をつけるってそんなものかもね。ケルちゃんも“黄昏のケルベロス”って呼ばれてたし』


 それは名付けた奴が厨二病だからでは?


『ははは、凄い名前だよねー』


 俺はそんな大げさな名前つけない。後にも先にも絶対に。断じて絶対に。


『うん………………』


 消えてしまいそうな声量で返事をするルカちゃん。瞼が重そうで、今にも夢の世界へご招待されそうな勢いだ。


『もう寝ようか』


『まだ……だいじょ……』


 それから聞こえたのは寝息だけだった。


『しょうがないな』


 俺はルカちゃんを抱えて、彼女の寝室まで運んだ。そこで待ち構えていたカレンちゃんに『ルカチャンガ可愛イカラッテ襲ウナヨ』など『ソコノタンス開ケルナ! ルカチャンノ下着ガ入ッテル』など、怒鳴るように注意をされた。


『そんなことしないよ……』


 俺はため息をつきながら、ルカちゃんの部屋から退室しようとする。


『チョットマテ』


『何?』


『オマエ、トリック・オア・トリートッテ言ッテミロ』


『え、何で?』


『イイカラ』


『えっと、トリック・オア・トリート……?』


 きごちなく言ってしまったが、カレンちゃんは『ヨシ』と言って袋の中をガサガサとあさり始めた。


『ホラ、菓子ヲクレテヤル』


 カレンちゃんからクッキーが入った袋を貰った。あおいちゃんのと同じく手作りのようだが、袋の種類が違う。どうやら偶然同じ物を作っていたようだ。


『え、これって……?』


『悪カッタナ、アオイト被ッテシマッテ』


『いや、それはいいけど、何でカレンちゃんが俺に?』


『ルカチャンノ事ズットオ礼ヲ言イタカッタカラダ』


『カレンちゃん……』


『ソレダケダ。分カッタラサッサト立チ去レ。男ガ乙女ノ聖域二長居スルモノジャナイゾ』


 用を済ませると、カレンちゃんはそっぽを向いてしまった。


『カレンちゃん、ありがとうな。これからも宜しく』


 俺はそう言って、ルカちゃんの部屋をあとにした。


『さて、既に歯磨きした後だけど、せっかくだから今食べてみるか』


 俺はカレンちゃんのクッキーを口に含んだ。


 うーん、ちょっと砂糖が多いかな……まあ、でも食べれなくはない。


 意外と小腹が空いてた俺はその場でクッキーを平らげた。


『甘いな。色々と』


第480話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

トリック・オア・トリート!!!

……しかし、貰ったのは仕事だけだった。

oh……(´;ω;`)


茶番すみませんm(_ _)m

小説の改稿と修正進めます。クライマックスに向けて色々準備します。


色々不安定な作者で申し訳ございませんが、何卒宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ