第473話『騒がしい日々』
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突然だが俺のクラスにまた転校生がやってきた。
名前はマーブル。虹皇帝陛下とも呼ばれ、この国を動かしている超重要人物だ。
いや、なんでだよ!!!!!!!!!!!!!!
どうやら皇帝陛下は庶民の生活を知るためにまずは学校の生徒になって自ら潜入調査を行うことにしたようだ。
でも、断言しよう。ぜっっっっっっったい学校に行ってみたかっただけである!!!!!!!
なぜそう言い切れるか? 答えは至極単純だ。あいつはあの魔王だからだ!!!!!
一万年後の話ではあるが、奴の言動やテンションはイカれている。今は冷静な少女指揮官を演じているようだが、その中身はふざけた爺さんそのものだ。
『というわけで、貴様のクラスの生徒になった“レインボー・ドッグ”だ。宜しく頼むぞ』
奇妙な偽名を名乗る少女に俺は唖然とした。二日連続の転校生もすげえ珍しいけど、まさか皇帝陛下――魔王が俺のクラスの生徒になるなんて予想できるわけがない。
というかレインボー・ドッグって何だよ? 虹色の犬? どんなネーミングセンスだよ。想像したらレアモンスター感すげえな。
『……色々ツッコミたいところはあるが、まあいいだろう。ようこそ私立東都魔法学院へ』
どうせ俺に拒否権なんてねえんだ。うわあああああああん。
その後、俺は荒れ狂う心を必死に抑えながら、二人目の転校生をクラスメートに紹介した。昨日に引き続きの転校生イベントなのか、いつもより教室がざわざわし始めた。
しかも今回の転校生も美少女であるため、男子諸君はありあまる歓喜を表した。女子は『また女子かー』とは言わずに、笑顔で受け入れた。もしかして女子の中にも美少女好きが多いのかな。
紹介が終わると、いつも通りの学校生活が始まる。
だが、これは昨日のバレスの時もそうだったのだが、休み時間になると転校生を囲み、質問攻めタイムが始まる。その転校生が襲撃者と皇帝陛下とも知らずに――。
あっという間に帰りのホームルームの時間になった。今日も問題なく学校生活は終わった。
残りの業務に入りながら、俺は二人について振り返ってみる。
バレスはまだ二日目なので馴染みきれていないので、クラスメートと会話する事が少ない。まあ元々口数が少ないから当然といえば当然だろうが。
次にレインボー・ドッグことマーブルだが、流石と言うべきかコミュニケーション力が凄まじく、あっという間にクラスのリーダー的な存在となっていた。これにはルカちゃんやバレスも一目置くほどであった。
『今のところ特に問題はないが……』
今後何が起こるか分からない。敵は確実に動いている。
ノルン様の力を借りたいところだが、あの人は人同士のトラブルには干渉しないからな……。
まあ仕方ないか。何も起こらないなら、とりあえず様子見といこうじゃねえか。
『よし、今日の仕事終わり』
俺は帰り支度を済ませて学校をあとにした。
今日はパーシヴァルは先に帰っている。どうやらあおいちゃんにおつかいを頼まれてるらしく、今頃スーパーを出て家に戻ってるだろう。
俺も早く帰ろう。
『今日の晩御飯はなんだろうな』
――空が黒い。季節が変わり、太陽が毎日早めの退勤をするこの時期。
『もうそんな時期か』
現時刻は19時21分。家庭にもよるが夕飯を食している頃、しかし何らかの事情で外に出る者も少なくはない。
――にも関わらず、周りに人がいない。気配すらない。いつもの帰り道なのに不穏と思わざるを得ない。
いうまでもない、これは異常事態だ。
ならいいか。俺はまず慧眼魔法を発動した。
『やはりか』
どうやら、ここら一帯が何らかの魔法で包まれているようだ。それもかなり密度が濃い。
『闇魔法か』
闇魔法といっても、攻撃するものから相手を惑わすものまで効果は様々だ。今回の場合は後者だ。俺を闇の結界に閉じ込めたのだろう。
解除しようと思えばできるが、その前に俺を閉じ込めた犯人に話を聞こうじゃないか。
俺は探知魔法を発動した。この周辺にいる人を捜索する。
『いた』
俺は転移魔法を使って、その犯人の背後に立った。
『あぁ、やっぱりバレスだったか』
『!?』
バレスは振り返ると、華麗な宙返りをして不意打ちされない範囲まで下がり、ナイフを構えた。
彼女は黒ずくめの衣服を纏い、いかにも怪しい格好をしている。
『おいおいバレス、こんな時間にナイフなんて取り出して何やってんだ? もう俺に敵意を向けないんじゃなかったのか?』
『……』
バレスは質問に答えず、ナイフを戻さなかった。どうやら完全にやる気らしい。
はぁ……少しでも彼女を信頼した俺がバカだった。やはり追放しておくべきだったか。
『分かった。もう容赦はしな――』
『先生!』
突然、後ろから俺を呼ぶ女子生徒の声が聞こえた。振り返ってみると驚愕の光景が――
『あれ? バレス? なんでバレスが二人いるんだ?』
目の前で敵意を向けるバレス。先程俺を呼んだバレス。どちらも全く同じ容姿をしており、もし服を入れ替えたらマジで区別つかない自信がある。
『話は後です。今は彼女を止めましょう』
そう言った方の彼女が俺の生徒である方のバレスのようだ。制服も着てるし、間違いない。
こっちのバレスもナイフを取り出そうとするが、俺はそれを止めた。
『大丈夫だ、ここは俺一人でやる』
『先生……』
『事情は分からないけど、彼女には傷つけない方がいいよね?』
一応家族かもしれないので確認をとる。
『はい。ですがやむを得ない場合は……仕方ありませんが……』
その先を展開を言い淀むバレス。いざという時は容赦なくやっていいってことか。
でも言い淀むってことは、やはりバレスにとって彼女は大切な存在なんだろうな。
しかし、彼女を傷つける必要はない。もっと平和的に解決する方法がある。
それは――
『ノルン様、お願いします』
俺は大きくもなければ小さくもない声でノルン様に助けを求めた。このままノルン様の力で彼女をヴァルハラに連れて行ってくれれば、わざわざ戦わずに済む。そう思ってノルン様を呼んだのだが――
地面に魔法陣が現れ、そこから召喚されるかのように“とある人物”が現れた。
ノルン様……ではなく、ヒルドさんだ。
『やっほ〜、思ったより早い再会だね〜』
頼もしい助っ人なのは間違いないが、俺が思ってたヘルプと違うのはなぜだ?
第473話を見て下さり、ありがとうございます。
皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)
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