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第472話『転入生』

お待たせしました。

第472話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 突然だが俺のクラスに転校生がやってきた。


 名前は“バレス・テイラー”。海外からの留学生だそうだ。


 …………いや、バレスさんやん。


 君この前俺とフーちゃんのデート中に襲撃してきたよね? コードネーム”ガレス”さん? 今更どの面下げて転入してきたの?


 だけどマーリンからは、とりあえず面倒見てあげてとお願いされた。マーリンもこの前の襲撃の事は把握しているみたいだが、それでも尚この学校に迎い入れようとしている。


 その理由を聞きたかったのだが、俺が質問する前に大忙しの学園長は説明義務を放棄し、次の仕事へと赴いたのであった。秘書の新井さんもいつものクール顔で『すみませんが、宜しくお願い致します』と一言だけ。


 一体どういうことやねん。


 そういえばフーちゃん、こないだのバレスの事はノルン様に報告するって言ってたけど……もしかしてこれも結局はノルン様の指示なのだろうか?


 ああああああ!!! だとしたら俺に面倒事押し付けてんじゃねええええええええええええええええええ!!!!!


 俺は、便利屋じゃねえよおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!


 ……ぐすん。


『初めまして、本日よりこの学校に転入させて頂きます。バレス・テイラーと申します』


 今応接室には俺とバレスだけ。


 端から見ればただの礼儀正しい少女だが、俺とフーちゃんとのデート中に凶器を向けたとんでもない少女だ。


 今は大人しいようだが、いつまた俺に襲いかかるか分かったもんじゃない。いや、俺じゃなくても生徒に牙を向く可能性だってあるわけだ。


 こんな危険人物を生徒達の学び舎に置いておく、なんて俺にはできない。


 なので、


『なあ、俺と君は初めましてじゃないだろ? この前俺に凶器を向けたよね?』


 俺はストレートにそう聞いた。


 すると、


『はい。その通りです』


 あっさりと犯行を認めた。


『ほう、あっさり自白するんだな?』


『ええ、その節は申し訳ございませんでした。ですがご安心下さい。私はもうあなた方に敵意を向けることはありません』


 と、言っているがその言葉を簡単に信じるほど俺はお人好しではない。犯罪者がもう犯罪しませんと言ったとして一体誰が鵜呑みにするのだろうか。


『本当か?』


 俺は訝しい目を引っ込めない。


『はい。私の言葉に偽りはありません』


『その言葉をどう信頼しろと?』


『……分かりました。信頼の証を今見せます』


 そう言って彼女は凶器を取り出した。


『!!』


 俺は即座に戦闘モードに入る。


 しかし、彼女の刃物の先を自分の喉元に向けた。


『!?』


 何をするつもりだ――と言う前に凶器の刃は喉を貫通し、即座に動かなくなった“それ”は壁と床を彩るインクを垂れ流しながら、ただの動かない素材と化したのだった――


 ――という未来を見た。


『くっ――』


 見たくない光景を見た俺は、彼女の刃物を持つ手を振り払い、凶器はむき出しのまま床に寝転んだ。


()()が証明か?』


 コクっと頷いた。


 つまり、信じてもらえないのなら自ら命を絶つと。


 でも、なぜそこまでする?


 俺達を襲撃した以上、このバレスは敵だ。にも関わらずこれほどまでに忠誠心を示してくれるとは……。


 何なんだこの娘? 一体何が目的なんだ……?


 まあ、マーリンが分かっててこの学園に置いた以上は信頼に値するってことなんだろう。


『はぁ、分かった。俺の負けだ。これからお前を俺の生徒として認める。悪態ついちゃってごめんな』


 とは言ったが、俺はまだバレスへの警戒は解いていない。生徒の安全を守るために監視は怠らないようにしよう。


『はい。こちらこそ申し訳ございませんでした』


 バレスは頭を下げて謝罪した。


『あの、質問があるのですが、よろしいでしょうか?』


 手を挙げて質疑応答を求めた。


『何だ?』


『さきほど先生はなぜ、刃先を喉元に向けただけで私が自害すると分かったのですか?』


『そりゃ喉元に向けたら、誰だって想像つくだろう?』


『確かに想像はつくかもしれませんが、平和なこの社会の中で本当に自害するとは思わない。誰もが生徒の度がすぎた悪ふざけだと見守るでしょう』


 確かにそうかもしれないけど、今の俺の立場なら違う。


『そうでもないぞ。特に先生の場合は生徒を守るのが義務だから、たとえフリでも危ない真似をしたら本気で止めに入らなきゃいけないんだ』


『なるほど……つまり先生は別に()()()()()というわけではなく、あくまで先生の義務で動いていたってことですね?』


 ギクッ。未来を見るってワードが出た瞬間、思わず汗塗れの焦った顔が表に出そうだったが、なんとか堪えた。


『あ、ああ。そうだ』


『納得しました。ありがとうございます』


 ご満悦そうなバレスは感謝の表明として深々とお辞儀した。


 ふぅ、どうやら窮地を乗り越えたようだ。


『それじゃ、そろそろ時間だ。教室に行こう』


 俺はバレスを自分のクラスへ案内した。


『じゃあ、俺は先に入ってるから、俺が呼んだらこっちに入ってきてくれ』


『分かりました』


 その後俺は教室に入り、生徒たちに転校生の件を報告した。やはりこういうイベントになると生徒たちはざわざわと騒ぎ始めた。生徒たちが特に気になったのは性別。たとえば転校生が男子なら女子が、その逆なら男子がソワソワし始める。


 転校生のバレスを教室に招くと、主に男子が盛り上がった。バレスは比較的可愛い方ではあるので、まあ当然の反応か。


『今日から皆さんと同じ教室で勉強することになった“バレス・テイラー”です』


 挨拶を終えると、ひとり残らず拍手喝采。どうやら男女問わず大歓迎ムードのようだ。


 バレスも特に変わった様子はなく、クラスに順応し、授業後も特に問題はなく、全員無事に一日を過ごした。


 こうして見ると、バレスも普通の少女なんだよな。ただその背景が異常なだけで。


 そういえば聞いてなかったが、彼女は何で俺達を襲ったんだろうな。


第472話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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