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第468話『真実』

お待たせしました。

第468話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。




 俺はもしかしたら預言者かもしれない。


 俺はフーちゃんに連れられて、お家にお邪魔したのだが、迂闊にも干しっぱなしの下着があちらこちらに露見されていた。


 当の本人はそれでも無表情のままだったが、手足だけが慌てふためいていた。内心よほど焦っていたのか、誤って滑り転けて俺をベッドに押し倒した。


 思ったよりも弾力のあるベッドに翻弄されながらも、眼前の二次元美少女のような童顔に最大限の青春(ときめき)を感じた。


『……!』


 美少女特有の香りが俺の鼻腔をくすぐる。


 距離が近い。あまりにも近い。どちらかがあと数ミリ前に動かせば、接吻する事態に発展するほどに。


『あの、フーちゃん?』


 ドジを連発する彼女に問いかける。


『……』


 返事がない。しかし、その眼はしっかりと俺を映している。息遣いも少し荒く、普段ほとんど赤くならない頬も、照れを示すように火照っている。


 フーちゃんとあろうものが一体どうしたのだろうか? さすがの彼女もこの状況の前では完全に無表情ではいられないのか。


『もしもし?』


『…………』


 二度目の問いかけだが反応がない。


 おいおい、本当にどうしてしまったんだ。俺の声が聞こえてないのだろうか?


 もう一度声をかけてみる。


『フーちゃん? 大丈夫?』


『………………』


 三度目の正直なんて無かったんだ。フーちゃんは完全にフリーズしているようだ。


 おそらく彼女にとってよほど予想外の事態なんだろう。干してある下着も見られ、さらにこの有り様だ。動揺しないほうが難しいだろう。


『ねえ、フーちゃん?』


 いくら問いかけようとも彼女からの返信はない。


 おいおい、どうすればいいんだ? いくらフーちゃんの顔が目の保養になるとはいえ、ずっとこのままなのも困る。


『フーちゃん?』


 五度目の問いかけ。やっと進展があった。といっても返事をしたわけではなく、彼女は俺に身を預けて、抱きまくらのように俺の身体をホールドした。


『フーちゃん!?』


 ただでさえ美少女に見つめられているだけで狂いそうなのに、柔らかい二つの山の感触が俺の理性にさらなる刺激を与えていく。


 ここは天国ですか? 最高すぎる。


 でも、どうして俺を抱きしめたりしたんだ? もの好きがいるのは分かっているが、自分に男としての魅力があるとは到底思えないが。


『……うれしい?』


 ようやく彼女は口を開いた。


『な、何が?』


『私がこうして貴方に密着すること』


 美少女の密着なんて最高級の歓喜だ。


『そ、そりゃ……まぁ』


『そっか。私もドキドキしてる』


 フーちゃんの言う通り、鼓動が早まっているのを感じる。そしてそれは俺も同じだ。


『貴方もドキドキしてる』


『そりゃフーちゃんに抱きしめられたら、そうなるでしょ』


 フーちゃんはただでさえ可愛い。美少女好きの者なら誰もが羨み、願い苦しむ光景だろう。ガチャでSSR引くよりも百倍嬉しい。


『私を意識してくれて嬉しい』


 フーちゃんはどこか歓喜を混ぜた声色でそう言った。


『フーちゃん?』


 やはりフーちゃんの様子がおかしい。積極的というか、なんか酔ってないか?


『お酒でも飲んだ?』


 冗談交じりの質問に対しフーちゃんは首を傾げて、


『飲んでない』


 と、いつものトーンで答えた。ずっとデートしてて酒飲む隙なんてなかったし、そりゃそうだよな。


『そっか』


 つまり、今のフーちゃんは通常運転ということか。だとしたらヤバくね? こんな簡単に異性に身体預けるなんて無防備にも程があるだろう。


 正直名残惜しいが、そろそろ離れてもらわないと。俺が色々と保たない。


『あの、フーちゃ――』


『思い出せない?』


『え?』


 思い出せないって何が?


『私との思い出』


『フーちゃんとの思い出……』


 俺の知らない……“ダストの記憶”にすら存在しない思い出。


 だけど、彼女には前々から既視感があった。どこが会ったことがあるような、まるで他人事には思えない何かを感じた。


『悪いけど、全然思い出せない。でも、俺はどこかで君と会ったことがある気がするんだ』


 そう答えると、フーちゃんは僅かに表情を変えた気がした。


『会ったことある、貴方と』


 そうか。やはりそうなのか(俺は勇者ダスト)


 だけど彼女と過ごした(フーとは共に旅をした)記憶がない(最高の仲間だ)


 あぁ――切ない(切ない)切ない切ない(切ない切ない)


 なぜこんなにも胸が(なぜこんなにも胸が)苦しいのか(苦しいのか)


『あれ?』


 とうとう度重なる情報量にバグってしまったのか、涙腺から液体が溢れた。なんだよこれ、まるで俺が泣いてるみたいじゃないか。


『貴方の身体は覚えてる。私との思い出。かつて勇者だった貴方。魔王を倒して世界を救った実績。世界中から称えられた。それが貴方の()()()()()()()()


『初めての……転移……?』


 俺の初めての転移はそんな大層なものじゃない。いじめっ子に復讐した後に突然記憶を改ざんされ、別人として魔王城に召喚された哀れな人間だ。


『それは今からさらに昔の話。()()()()()()()()()()()()()()()()


『どういうこと……?』


『今のこの世界は仮想空間。まるでゲームのような世界と言われた。でも()()はそうじゃない。一つの世界線だった。それを……かつての()()が”破滅の願望機”を使って世界を改造した』


『破滅の願望機……世界を改造……?』


『破滅の願望機は世界を破壊し、創り変える力がある。それを使って、この世界をゲームのように創り変え、自分の世界の人々を呼んだ』


『魔王って、俺の知ってるあの魔王?』


 あのふざけた爺さんがやったとも思えないが。いや、やりそうだわ。うん。


『違う。彼女は新世代の魔王。昔の魔王とは別人』


『そっか』


 さすがに違ったか。一瞬あの爺さんが黒幕になるのかと思ったよ。


 さて、この時点で情報量が多すぎて頭がショートしそうだけど、要するに元々一つの世界としてあったこの世界は魔王と呼ばれる者に改造されて、今のようになったということか。


『その魔王は一体何が目的なんだ?』


『目的は分からない。ただ魔王は世界を破壊したいわけでも征服したいわけでもないと思う』


『そうなの?』


『理由は分からないけど、なんとなくそんな気がする』


 つまり、まだまだ謎だらけってことか。


 でも、分かったことがある。


 ・俺は魔王城に召喚される遥か前に一度召喚されたこと。

 ・勇者ダストは、俺が所持している“ダストの記憶”とは全く関係がないこと。つまり、名前が同じなだけの完全なる別人。

 ・俺はフーちゃんと共に一度魔王(マーブルとは別人)を倒している。


 ――そして俺の人生(ものがたり)最初(はじめ)のヒロインの名前はフー。目の前にいる美少女がその当人であり、俺が()()()()()()()人物だ。


第468話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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