第467話『日常……? ③』
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『君は……?』
可愛らしい制服姿で緑髪のポニーテールが特徴の少女が、こちらに視線を送りながら現れた。
その佇まい、凛とした表情からただ者ではない。一体何者なのか? でも、なんだろう。どこかで見た顔だ……。
『コードネーム“ガレス”』
それだけ名乗って、彼女は懐から短剣を取り出し、俺達に襲いかかる。
『なっ……!?』
こんな街中で刃物むき出しにするとか正気か!? と、思ったら、いつの間にか周りに人はいなかった。
さっきまで結構な数の人が通っていたのに、急に人がいなくなるなんて不自然だ。一体何をした? 魔法か?
なんて、考えてる場合ではない。凶器はすぐそこだ。
言うまでもなく警戒態勢に入る俺とフーちゃん。
『大丈夫、私がやる』
フーちゃんはルービックキューブサイズの氷塊を少女に投げつけた。しかし、緑髪の少女はそれを難なく斬り刻み、前へ進んだ。
思ったより強そうだが、フーちゃんは特に驚いた様子はなく、引き続き氷塊をマシンガンの如く撃ち続けた。
『……!』
緑髪の少女はさすがに捌ききれないと思ったのか、一旦引き下がり、安全地帯である物陰に隠れた。
『それで隠れたつもり?』
フーちゃんは、少女の安全地帯に攻撃できるように氷塊をコントロールし、容赦なく少女を襲う。
少女は素早い動きで逃げ回り、さらに後ろの物陰へ潜む。だが、フーちゃんは先程と同様に氷塊を落としていく。その度に少女は逃げ回る。
『思ったより素早い』
気づいたら少女の姿も気配もなく、いつも通り人々が通行する光景に戻っていた。
『どこに行ったの?』
俺はこっそり探知魔法を使ってみたが、少女の反応はなかった。
『この辺にはいないみたい』
『……そう』
フーちゃんの表情は変わらないが、どこか残念そうにしている。それは少女を仕留められなかったからなのか、情報を引き出したかったのかは定かではない。
『あの娘の顔どこかで見たことあるんだよな……』
『そうなの?』
それに“ガレス”。以前どこかで聞いたことがあったような気がする。
ガレス……ガレス……正義教団……バレスさん!!!
彼女も緑髪だった。そして顔も一致する。
『ああ、思い出した!』
公衆の面前で思わず叫んでしまった。近くを通った人々の視線を鷲掴みだ。
これにはフーちゃんも人差し指で『しー』と俺に静粛を求めた。かわいい。
『ごめんごめん』
『うん、それより思い出したというのは?』
『さっきの女の子だよ。一万年後の未来で俺は彼女に会ってるんだ。バレスって名前で』
『バレス……確か、正義教団出身の人。後にあなたと会って、少しの間一緒に旅してた』
フーちゃんは受け継いだ未来の記憶を漁って情報を正確に引き出した。
『うん、でもバレスさんは魔王嫌いで、魔王救出には協力できないって言って、どこかに行っちゃったんだ』
それから色々あって、300年後に赤髪ちゃんとあおいちゃんと共に幽霊になって再会したけど、そこからなんやかんやあって結局また離ればなれになってしまった。
今振り返ってみると、謎の多い人だったな。正義教団のゲームに付き合わされた時はガレスって名前になってたし、結局謎は解明できないままだった。
人には様々な事情もあるし、わざわざ謎を暴くような事はしなかったが……どうやら今回の騒動に関係あるかもしれないな。
『うん、今回の事はノルン様にも報告する』
『ノルン様に?』
『うん、もしかしたら彼女……ガレスは私達の事情を知る黒幕の命令で動いてたかもしれないから』
『なるほどね』
そうじゃなきゃ、問答無用で俺達に襲いかかるわけがないもんな。
『話は変わるけど、今日はどうする?』
フーちゃんがこの後の予定について聞いてきた。
『どうするって?』
『良かったら私の家に泊まってく?』
『なっ……!?』
それはつまり、そういうことですか!?!??
『……っ!!』
とても人には言えない邪な想像をしてしまった。
――しかして、それは我々の理想郷。最高の快楽が俺を待っている。
いや、でも――
『いや、それはさすがに遠慮しておくよ』
『そう』
どこか元気のない声。まるで俺を夜の家に招待できなかったことを残念に思ってるかのようだ。そんなに俺を家に招きたかったのかな? それってまるで――
ああーーーーー!!! 俺だって今にも心が揺らぎそうで、思わずフーちゃんの誘いに引き込まれそうだ!
『じゃあ、これで』
フーちゃんはそっけなく、逃げるようにこの場から離れようとした。
『あ、ちょっと待って。暗いし送ってくよ』
そう言うとフーちゃんは足を止め、顔は振り返らずに会話に入った。
『いい。私は自衛できる』
わざわざ男の人の護衛なんていらないと一蹴する。確かにフーちゃんの実力なら並大抵の者は倒せるが、そういうことじゃない。
『そうじゃなくて、まだ話したいことがあるんだ』
『……話したいこと?』
彼女はそう言って、少しこちらに顔を向けた。
『ああ、本当はまだ話してないんじゃないか? フーちゃんが俺に一番話したがってること』
確証はないが、彼女は俺の事を知っている気がする。それも“ダストの記憶”にはない、もっと根深い何かを。
『……』
沈黙するフーちゃん。少し間を置くと彼女は口を開いた。
『分かった』
フーちゃんは完全にこちらを向いた。
『話してあげる。貴方の真実を』
『フーちゃん……! ありがとう』
『でも、ここじゃ話せないから、やっぱり私の家に来て』
『あっ、うん』
他言無用の大切な話をするため、結局フーちゃんの家に行くことになった。決して下心は持ち合わせてない。俺は真剣な話を聞きに行くんだ。邪な考えなんて思い浮かぶわけがない。論外だ、絶対にありえない。ましてやワンチャン、フーちゃんの下着が干しっぱなしになってるなんて想像してないし、ベッドに押し倒されるなんて妄想もしてないんだからね!!!
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