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第464話『大会のその後②』

お待たせしました。

第464話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 後日、ルカちゃんは意識を取り戻した。日常生活も問題なく送れるくらい回復したようで安心した。


 お見舞いに来た俺の顔を見るなり、彼女は――


『ディーンさん、私優勝したよ! セカンド・ドライヴさんやオベイロンさんが色々教えてくれたのもあったけど、ディーンさんが私にああ言ってくれたおかげで、私は最後まで諦めずに勝つことができた! ありがとう! 本当にありがとう!』


 満面の笑みでお礼を言ってくれたあの瞬間を、俺は生涯忘れることはないだろう。


 ルカちゃんと色々話した後、予定通り祝勝会は行われ、敗退した選手達のほとんどは参加してくれた。純粋にルカちゃんを祝いたい人から、タダ飯にありつく者等、参加理由は様々だ。


 ルカちゃんは優勝賞品である願いを叶えてもらう権利を貰ったが、まだ具体的に願いは決まってないようなので、とりあえず保留ということになった。ノルン様も急かさないようだし、まあゆっくり決めてもらえばいいだろう。


 祝勝会は円満な形で終了した。さすがにみんな積もった話も底が尽きたようだし、ちょうどいいタイミングで解散となり、それぞれの住処へ帰還した。


 ――そして、いつもの日常に戻ってから、数日が経過した。


 今日は7月20日。明日からは夏休みだ。この世界でもその文化は存在している。


 終業式を終えると、生徒のみんなは早速それぞれ友達と話し合い、夏休みの予定を組み立てていく。もちろんかつての俺のようにぼっちでいる者もちらほら見かける。だが、その誰もが全然寂しそうには思っておらず、むしろ一人で居たいという願望があるくらいだ。それならば変に友達を作らせる必要なんてない。


 過ごし方なんて人それぞれだからな。


 それに夏休みはそれで終わりじゃない。


『夏休みの宿題を配布します』


 俺は夏休み名物の憂鬱を宣言すると、クラスメートの多くは『えー!』と不満の声を上げる。『いや、そりゃそうでしょ』と小声でツッコむ優等生もいた。


 俺だって本当は宿題なんて出したくねえよ……でもしょうがないんだ……あのふざけた学園長の命令なんだ……逆らったら、どんな事をされるか分かったもんじゃない。例えば女体化されて、あんなことやこんなことを……。


 まあ、でも宿題の内容自体はそれぞれの担任に任せると言ってくれたので、それほど悩むことはなかった。とは言ってもクラスによって量が違うと、生徒及びその保護者から不公平だと苦情が殺到してしまうので、量だけは全クラス平等に揃えた。


 で、その宿題の内容だが、俺の場合はこれまでの授業の復習プリントと自由研究だ。小学生の時の夏休みの宿題としてはお馴染みだが、これくらいしか思いつかなかった。でもだからといって、好きな本の紹介や好きな動物とかにしても、それに興味が無い生徒がいたら、可哀想だし、不公平だと俺は思ったから、自由研究がいいかなぁと。


 それを正しくないという教師もいるかもしれないが、宿題の内容は任されてるので口を挟む筋合いはない。まあ、そんな人は同僚の中にはいなかったけどな。


 文句を言いつつも、宿題を受け入れた生徒達。このホームルームが終われば、今目の前に浮かぶ光景はしばらく見えない。寂しくないと言えば嘘になるが、まあ一ヶ月半だ。学校通ってた時は長く感じたが、社会人になればあっという間だ。なんてことはない。ただ、せめてみんな無事に楽しく過ごしてくれればそれでいい。それが俺の――



 ――ホームルーム後。


 俺は職員室に戻る前に、教室にある自分のデスクを整理していた。普段から整理整頓してないせいで、結構散らかっていて、わりと後悔している。


 部活もなく、もう下校時間だったが、生徒たちの賑わいはまだ続いていた。


『自由研究かー、何にしようかー?』


 名残惜しい気持ちがあるのか、教室に残る男子生徒二人が雑談していた。


『俺あれがいい。面白いWEB小説を紹介してみたい』


『あー、お前よく見てるっつってたな。何紹介するんだ?』


『えっと、これとこれとこれかなぁ』


 端末の中の文字列にそれぞれ指を指した。


『お、どれも面白そうじゃん。てかどれもタイトル長w』


『そんなんばかりだぜ、この小説サイトの作品は』


『へー、あ、この“今日は8月31日、宿題忘れて怒られたくないので異世界へ逃げました”と“返事がないただのしかばねが返事してしまった件”ってやつ気になる』


 一人は、あまり注目されていないと思われる短編小説を挙げた。


『あー、これ? 俺一応見たけど微妙かな。なんかギャグが寒いし、ストーリーも何が言いたいのか分からんし、終わり方もなんだかなぁ……って感じだし、正直見る価値ないかも。あと作者がちょっとうざい』


『微妙ってわりにはずいぶんと酷評じゃねえか、そんなに酷えのか』


『まあ今のは俺の個人的な評価だ。本当に酷えかどうかは人によるさ』


『ふーん、そうなのか。俺は後で見てみようかな』


 端末をスクロールしながら、そう言った。


『ん? この作品……』


 気になった作品のページをタップした。


『ん、これ一年以上更新してないのか』


『あーこれか』


『知ってるのか?』


『ああ、“佐藤波瑠斗”先生の作品だ。あまり知名度は高くないが、知ってるわ』


 ――佐藤波瑠斗……?


 いや、まさかな。()()()()()()()()()()()()


 一抹の不安を覚えた俺は、逃げるように職員室に戻り、残りの仕事(タスク)を終わらせた。


『帰ろ』


 ちょうど仕事が終わったパーシヴァルと共に家に帰り、いつものようにみんなで夕食を平らげ、湯船に浸かり、布団の上で就寝し、一日を終えた。


 ごく普通のなんてこともない日常。魔王城にいた頃とはまた違う生活だが、なんだかんだ今の生活が一番付き合いが長い。こっちの方が馴染みが深くなりつつあるのに、何故か魔王城が恋しい。


 帰りたい。


 その願望を胸の中にしまい、明日の俺へ引き継ごう。


 今はまだ長い旅の途中だけど、着実に一つ一つ歩んでいく。


 大丈夫。願いは必ず叶う。


 じゃないと、俺は――


 楽しくなければ生きてる意味なんてないから。


 俺の快楽はこんなものじゃ終わらない。毎日毎日、風船が膨らんでいくように欲望が止まらない。


 快楽を――俺の理想の快楽の世界を実現せよ。絶対に絶対に絶対に絶対に絶対に絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対絶対――


 あぁ――やっぱり俺は壊れてるなぁ……。

第464話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)


ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、今回の話で出た二つの作品名は、リアルで僕が書いた短編小説です。

本文のように実際に批判されたところを見たわけではありません。ただ話を繋げる為のおまけです。

え? そのわりには結構自虐してるって? ただのネタです。特に深い意味はありません(^^)

ホントダヨ、ウソジャナイヨ。


はい、まあというわけで

次回も宜しくお願い致します。

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