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第38話『俺とあおいちゃんVS赤髪ちゃん』

お待たせしました。

第38話できましたので、宜しくお願い致します。



※2022年4月24日改稿しました。

※文字数かなり多めです。

『ダスト様! あおい! 2人まとめてかかって来てください! 遠慮なく!』


 うきうきの赤髪ちゃんは、シュッシュッと拳を突き出した。


 いやどんだけ戦いたいんだよ……脳筋かよ……あ、脳筋か。


 はぁ……やれやれ、やるしかないか。


『はい、分かりました』


 もちろん本気の殺し合いというわけでもない。これは戦闘の訓練のようなものだ。脳筋の赤髪ちゃんといえど、ある程度は加減してくれるだろう。


『……行きますよ、お姉さま!』


 あおいちゃんは迷いの森でモンスターに遭遇した時と同じく水魔法で水を出し、それを剣の形にすることで“水の剣”を創り出した。相変わらずかっこいい。


 俺は残念ながら剣とか使えないけど、あおいちゃんから簡単な攻撃魔法を教えてもらったし、一応レアリティが高くて強い魔法だって覚えてる! これは赤髪ちゃんには無いものだ。その点で言えば俺にだって利はあるのだ。


『私は今回は武器や魔法を使いません。(これ)(これ)だけで行きます』


 赤髪ちゃんはそう言ってファイティングポーズで構えた。


 つまり赤髪ちゃんは物理的に殴る蹴るだけというハンデを背負ったというわけか。


『さあ、戦闘訓練開始です!』


 そう言って訓練が始まった。……が、赤髪ちゃんは開始直後は意外にも距離を詰めずにこちらの様子を見るだけだ。


 まずはこちらの攻撃を見極めようということか?


 まあそういうことなら――


 俺と赤髪ちゃんとの間には距離がある。赤髪ちゃんがダッシュしてこない限りは攻撃が当たることはない。それなら遠距離からの攻撃をし続ければいいのでは?


 俺はそう思い、未来予知魔法を挟みつつ、先ほどあおいちゃんから教わった炎魔法を撃った。


 簡単な魔法なので魔力レベル1の俺でもちゃんとコントロールして魔法を放つことができる。


 やった! 初めてファンタジーっぽいことができた! と心の中で喜んでいると、あおいちゃんが焦った顔でこう言った。


『ダスト様! お姉さまに炎魔法はダメです!』


『え?』


 なんと赤髪ちゃんは俺が撃った炎魔法を素手で受け止めた後、その炎を吸収するように手のひらに()()()()()()()()()()()


『ええ!? どういうこと!?』


 マジックショーでも見てるのか、俺の放った炎魔法が効かないと思ったら文字通りに吸収されてしまった。いくら魔法レベルが低いって言ったって、()()()()炎だったぞ。触れたもの全てを燃やす炎だぞ? いくら赤髪ちゃんが怪物並の戦闘力を持ち合わせていたとしても、ここまで効かないなんてありえるのか……!?


 俺が頭の中でそう疑問を並べていると、あおいちゃんがさっきの現象について親切に解説してくれた。


『ダスト様、お姉さまは()()()()()()()()を得ているせいで、余程強い魔法レベルじゃない限り、ダメージを一切与える事ができないどころか、自分の力として、()()()()してしまうんです!』


『なにぃ!?』


 炎に強すぎる耐性とかチートかよ! 俺にもそういうの欲しかったよ! 俺TUEEEEEして、美少女ハーレムしたかったよ畜生!


『さて、行きますよ!』


 赤髪ちゃんは先ほど放った俺の炎を見せつけるように拳に纏わせ、それから俺に向けて拳を放つように見せかけ、あおいちゃんに矛先を向けた。


 赤髪ちゃんが距離を詰めずに炎の拳を放つと、纏っていた炎はまるで弾丸のように速く軌道に乗り、あおいちゃんに襲いかかる。


 完全に不意の攻撃だが、あおいちゃんはそんな攻撃など一切恐れることなく、先ほど創った水の剣で炎の弾丸を真っ二つに斬った。


 あおいちゃんの動体視力であれば、弾丸程度の速さなど、簡単に避けられるし、今みたいに剣で綺麗に真っ二つにすることもできる。


 俺からしたら充分すごいことだが、あおいちゃん自身はその程度であれば当たり前のようにできる。故にそんな自分に酔いしれず、すぐに赤髪ちゃんに攻撃を仕掛ける体勢に入った……のだが――


『なっ……!?』


 赤髪ちゃんの攻撃を避けたところまでは良かったのだが、問題なのは()()()だった。


『間に合え……!』


 俺は未来予知魔法を発動した。赤髪ちゃんの攻撃を防いだあおいちゃんが、その隙をつかれ、またしても不意をつかれる未来を見たのだ。


 俺は赤髪ちゃんが瞬時に消えるタイミングで、現在のあおいちゃんの位置から、十センチくらい後ろの何もないところに向かって水魔法を撃った。すると、その水魔法を撃ったところに、あおいちゃんを不意打ちしようとする赤髪ちゃんが超スピードで現れた。


『なっ……!?』


 赤髪ちゃんは、突然目の前に水魔法が飛んできた事に驚き、避けきれず水魔法をもろに喰らったが、そんなにダメージが通っていなかった。だが連続して攻撃されるのを恐れたのか、一旦後ろへと距離を取った。


『なるほど、ダスト様の未来予知魔法が厄介ですね……。ならば!』


 次に赤髪ちゃんが誰を狙うかなんて、未来を読まずとも分かっていたが、一応、未来予知魔法を使った。すると赤髪ちゃんは今度は超速ダッシュで俺の目の前まで来て、右手で軽く腹パンを喰らわせようとする未来が見えた。


 そして()()()()()()()程なくして見えた。


 どうやら赤髪ちゃんは俺の()()()()()()()()()()()()()()()()


 さっきも俺が未来予知魔法を使って、避けようとしたら見事に見破られ、俺に攻撃(風圧)を当てていた。またこれと同じ事をしようとしてるようだ。


『貰いましたよ』


 未来予知で見た通り赤髪ちゃんは俺に右手で腹パンを喰らわせようとした……だが、それはフェイクだ。赤髪ちゃんは腹パンするように見せかけて、左手で俺の右手を掴み逃げられない状況にさせた後、確実に拳を当てにいこうとした。


 だが俺は()()()()()()()()()()()()


 俺は右手を掴まれる前に、あらかじめ数秒後に赤髪ちゃんが居る位置に雷魔法を発動する準備をしておいた。


『なっ……!? これは……雷魔法……!?』


『引っかかりましたね』


 俺はすぐさま雷魔法を放った。これも不意打ち且つ至近距離だったので、赤髪ちゃんはまたしても避けきれず、雷をもろに喰らい、痺れて動けなくなった。


『うあああああ……しまった……! 私としたことが!』


 その雷魔法はさっき水魔法を喰らった際に、()()()()()()()()()赤髪ちゃんには、効果ばつぐんだった。


『あおいちゃん! 今だ!』


『はい!』


 あおいちゃんは、痺れて動けない赤髪ちゃんに向けて容赦なく水の剣を赤髪ちゃんに当てた。


 水の剣の刃の部分は文字通り激流のようだ。その勢いは凄まじく、水の剣に斬られた赤髪ちゃんは軽く後ろにふっ飛んでいった。


『よし!』


『くっ!』


 喜んだのも束の間、赤髪ちゃんはふっ飛ばされる際に床に足をギイイイイイイイイと引きづらせることで、すぐに体勢を立て直し、距離があるのにも関わらず、なぜかまた拳を構えていた。


 嫌な予感がした俺は魔法の使いすぎで倒れそうだったので魔法を使いたくなかったが、勝ちたいという気持ちの方が勝っていたため、また未来予知魔法を使って避けようとしたが、既に遅かった。


『遅い!』


 赤髪ちゃんはさっきよりも速いスピードで、俺の目の前に現れ、風圧の弾丸をぶち込まれた。


『ぐっ……!』


 赤髪ちゃんの一撃は葛木の攻撃なんかよりも重かった。しかもこれでまだ手加減してる方なんだよな……。


 防御力0の俺は赤髪ちゃんの一撃で早くも床に身を伏せてしまい、そのまま立ち上がることはなかった。


『ダスト様!』


『人のこと心配してる場合ですか!』


 赤髪ちゃんはさっきと同じようにあおいちゃんに風圧の弾丸を浴びせた。


『くっ……! ま……まだ……です!』


 あおいちゃんも風圧の弾丸をまともに喰らったのに、一撃でノックアウトした俺とは違って、まだ立っていた。


『私は……強くなるんだ!』


 あおいちゃんはそう強く意気込むと、水の剣をしっかりと握りしめ、目の前の赤髪ちゃんに剣を振り下ろす。


『やああああああああああああああ!!!』


 だが、そううまくはいかなかった。


『その根性よし! でもやはりまだ攻撃パターンが読めてしまいますね』


 あおいちゃんの決死の攻撃は、赤髪ちゃんに容易にかわされたが、あおいちゃんは諦めずに次々と剣を振り続けた。


 しかし、あおいちゃんの攻撃は全てかわされた。まるで全て読まれてるように。


 水の剣を振る際に飛び散る一滴の水すら赤髪ちゃんには当たらず、床に吸収されるだけ。もはや攻撃そのものが赤髪ちゃんに当たる気がしなかった。


 さっき攻撃を当てられたのは、赤髪ちゃんの行動を雷魔法で一時的に封じたからであって、そうじゃないのなら、攻撃が当たることはない。赤髪ちゃんからしたら、あおいちゃんの攻撃をかわすなど朝飯前だ。


 そんな実力差を見せつけられても、あおいちゃんは諦めることはしなかった。とっくに諦めている俺とは大違いだ。強くなりたいそんな意志が今のあおいちゃんを動かしているのだろう。


 すごいな……立派だな……それに比べて何やってんだ俺は……。


『遅いです!』


 赤髪ちゃんはまたしても超スピードであおいちゃんの背後に立ち、バトル漫画で見たことある首を手刀でトンと叩いてあおいちゃんは気を失わせた。


 まさか漫画で見たような首トンを生で見られるとは思わなかった。俺は思わず感心してしまった。


『おっと』


 あおいちゃんがそのまま倒れてしまう前に赤髪ちゃんはあおいちゃんの身体を支えた。


『ダスト様、今回はここまでにしましょう』


『は、はい……』


 俺に手を差し伸べてくれた赤髪ちゃんの手を掴んで、俺のボロボロの身体はなんとか起き上がった。


『思った以上に良い立ち回りでしたよ。私も思わずギョッとしてしまいました』


『ありがとうございます』


 もちろん、これは俺の力なんかじゃなくて、かつての記憶の中での戦闘の経験が活きたからだ。クソ雑魚の俺があんな立ち回りなんてできるわけがないだろ。


『お疲れ様でした』


『は……い……』


 なんかめっちゃ疲れた。


 でも、()()()()()()()()()という気持ちもあった。それはかつての俺の感覚なのか、それとも、俺自身が実は戦闘狂なのか……。


『では、これから私はあおいを治療室へ連れていきます。ダスト様もボロボロですので、あおいと一緒に治療したいと思います。そこまで歩けますか?』


『はい、なんとか……』


 風圧の弾丸に殴られた所はまだ少し痛むが、なんとか歩けなくはない。


『分かりました、もし体調が悪いようでしたら遠慮なく仰って下さいね』


『はい』


 赤髪ちゃんが治療室へ向かうために扉を開けようとするそのタイミングで、ちょうどブロンズちゃんが現れた。


『お兄ちゃん達いるー?』


『ブロンズさん、どうかしましたか?』


『女神様の意識が戻ったみたいよ』


 お、思ったよりも早かったな。やっぱり女神となると、人間よりも回復が早いんだな。


『お! それは良かった!』


『私が想定するよりも早かったですね』


 待てよ……これで、アースちゃんをあんな目に遇わせた犯人が分かるってことだよな? そう思った俺だったが……。


『だけどね……その女神様なんだけど……』


『その女神様がどうかしたのですか?』


『襲われた時の記憶が()()されてるようなの』


『封印……!?』


 どうやら、この世界の神は簡単には犯人を教えてはくれないみたいだな。

第38話を見て下さり、ありがとうございます。

次回は、今日か明日、投稿予定です。

宜しくお願い致します。

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