第455話『決勝戦④』
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『ルカちゃん! 来るよ!』
空中にて、下から光の槍がマシンガンのように次々と襲ってきた。
『任せて!』
ルカはそれらを全て、光の精霊の力で作成した剣で叩き割るように斬った。
『ナイス、ルカちゃん!』
『ありがと、ってまた来た!』
次は、虎の形を成した炎が空をよじ登るようにやってきた。
『今度は……炎の虎!?』
炎だけで構成されたものなので、虎そのものではないが、まるで意志があるようにこちらをターゲットと認識している。
『しかも速い! このままじゃ追いつかれるイヌ!』
ケルちゃんは空中は慣れていないとはいえ、全速前進で動いているのに、炎の虎と比べて速度ではまるで歯が立たず、追いつかれるのも時間の問題だ。
――――そんなことは百も承知。聖剣に選ばれし少女は剣を取り、雄々しき猛獣に刃を向ける。
(ただ剣を振るうだけじゃダメだ。セカンド・ドライヴさんに習ったことを思い出さなきゃ)
――彼は言った。確かにその聖剣はどんなものでも斬れる万能な武器だと。しかし、それでもただ斬るだけでは追い払えないものもある。
それは魔法だ。
厳密に言うのなら、炎だろうと雷だろうと斬れることは斬れる。しかし、問題はそのあとだ。
真っ二つになった物質に痛みも感情もない。どんなに斬り刻もうとも、術者の命令が生きる限り、標的を潰しにかかるだろう。
つまり、斬っただけでは魔法を無力化することはできないということだ。
(そうだ、オベイロンさんも言ってた)
――精霊王は言った。魔法の根源は必ずどこかにある。それは“精霊眼”を覚醒させなければ視ることはできない。オベイロンの場合は元々視れたようだが、ルカは残念ながら現時点で“精霊眼”をうまく扱えない。
オベイロン曰く“精霊眼”自体は誰もが持っているものだが、個人によってその差は激しく、生涯の果てまで覚醒できなかった者も珍しくはない。まあ、もっとも“精霊眼”の機能を知らなかった者が多数だったので、実は覚醒していた可能性もあるが。
しかし、“精霊眼”に恵まれなかったからといって絶望するには早い。
“精霊眼”が覚醒していなければ魔法の根源を攻撃できないわけではないのだ。
もちろん覚醒していた方が確実だが、それはあくまで根源に攻撃しやすくなるだけで、根源そのものは存在する。
つまり、根源が視えなくても斬ることはできる。
根源の場所に個体差などはなく、どの物質も必ず一つに集中している。
試しに、炎魔法や雷魔法といったほぼ全ての魔法をセカンド・ドライヴに放出してもらい、教えてもらった根源の位置に刃を入れてみれば、なんと全ての魔法が柔く崩れ去ったではないか。
魔法を主にしているファースト・ドライヴ相手にはかなり有利な戦技だ。何なら魔法を斬ってるだけで試合が終わるかもしれない。
それなら理想だが、根源が視えない中で根源を斬る事自体が至難の技だ。ルカも修行の末にほぼ全ての魔法の根源の位置は分かるようにはなったが、それは撃ってきた魔法がいつどこでどんなタイミングで現れるかが分かっているから、正確に斬ることができたのだ。
しかし、試合となると相手はどんなタイミングでどこから魔法を発動するかなんて分からない。たとえば不意を突かれて後ろから炎魔法を撃たれたら、魔法の根源を正確に斬れるだろうか……?
そこまで想定していたセカンド・ドライヴに、そのための修行をつけてもらったが、不意のタイミングでは魔法の根源を斬るのはなかなか難しいものだった。
試合当日直前までその修行を行っていたのだが、完璧に習得できないまま、今に至るわけだ。
しかし、それでも十分勝機はあるとセカンド・ドライヴからの太鼓判も押された。
憧れのオーガスト・ディーンからも、最高の言葉をもらった。
――なれば、今の彼女は最強だ。
『光の精霊よ、力を頂いたこの剣……存分に振るわせてもらいます!』
呪文ではなく宣言を声に出し、彼女は剣のたった一振りで炎の猛獣を塵芥に変えてみせた。
今頃、術者はどこかで驚愕の表情を浮かべていることだろう。思った以上に力をつけた彼女に戦慄しているに違いない。
『よし、いい感じ……!』
その後もルカは、襲い来る魔法の数々を全て斬り、アイテムを取ったり貯めたり、満足いくまで集め続けた。
『あ、なんか足が重くなったかも』
先程までの身軽さが嘘のように消え去り、本来の重さに戻った。
『スピードアップの時間が切れたイヌね。でもまだボックスにあるから安心するイヌ』
一体いくつストックがあるのか、スピードアップのアイテムを、ドリンクを渡すような感覚で渡した。
『ありがとう』
集めたアイテムはスピードアップ、攻撃力アップ、防御力アップ、全部で三種類ある。
それぞれ数にそれほど偏りはなく、時間ごとに一つずつ消費していくことになるので、極端に一種類だけが減少することはない。
つまり計画的に使う以外の使い方は存在しないのだ。
『じゃあ、アイテムもいっぱい採れたことだし、そろそろファースト・ドライヴさんを探しに行こうか』
『分かったイヌ』
広大なステージを見渡す。ファースト・ドライヴがどこに潜んでいるのかも知らず、ただ空の旅を再開したのであった。
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