第450話『試合のその後③』
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その後も様々な来客が訪れ、お見舞い品を置いては雑談し、気づいたら月が空に張り付いていた。
その来客の中にルカちゃんはいなかったが、まあ仕方ない。決勝戦へ向けて一秒でも多く特訓したいだろうしな。
同じく決勝戦に出場するファースト・ドライヴも俺のお見舞いには来なかったし、彼女も準備とかでそれどころじゃないだろうな。
あとは、セカンド・ドライヴも来なかったな。まあ、あんなイケメン効率厨野郎なんて一ミリも来てほしいとは思わんし、それにあいつの性格的に、どうせ効率効率言ってお見舞いになんか行かないだろう。
それよりも俺はルカちゃんの事が気になる。決勝戦まで進んだのは喜ばしいことだけど過度にプレッシャーになってたりしないかな……。
『今はルカちゃんを信じるしかない』
どうかこの物語の主人公が彼女であることを祈ろう。そうすれば固定スキル“主人公補正”がルカちゃんを助けるだろう。
『なんて、はぁ……何考えてんだ俺』
でも、ルカちゃんに勝ってほしいのは事実だ。それだけは絶対だ。
ファースト・ドライヴにも恩はあるが、どうしてもこれだけは譲れない。
今の俺にできることは、ただ祈るだけ。
そして――それよりはるか未来の事も今のうちに考えなければならない。
『………………』
色々考えている内に俺は意識を失った。まるで何かに呼び寄せられるように――
――――――――――
――というわけで、夢の中へ招待された俺なのだが。
『ここはどこだ?』
目の前には白くて丸い机と、向かい合うように白い椅子が二つ。それ以外は何もなく、背景は全て真っ黒だ。
まるでこれから二人とお話する為のだけにセッティングされたようだ。
というか、そうだろ。もうこれ確定だろ。
まーた俺の夢の中を溜まり場にしようってことだろうな。
もう慣れたもんだが、人の家にズカズカと入った上に勝手に模様替えされてるようなものだから、気分はあまりよろしくはないぞ。
まあ今更言ったところで、誰も聞いてはくれないだろうがな。
『で、今回は誰なんだ?』
誰もいない空間に話しかけた。
すると――
『ごめんごめん。私だよ』
闇の中から見たことある白い髪の美女が白いドレス姿を披露しながら現れた。
『学園長?』
少し様子が違う気もするが、容姿も態度も紛れもなく彼女だ。
でも何故マーリンが夢の中に?
『でも何故マーリンが夢の中に?』
俺の心を読んで復唱するな。
『質問には答えよう。でもまずは順を追って説明しよう』
マーリンはそう言って、椅子に腰掛け、いつの間に置いてあったコーヒーカップを手に持った。
『聞いてくれるね?』
中身にはちゃんとコーヒーが入っている。ポッドも無いのに、いつどこで淹れたのだろうか。あ、夢だから別に物理法則なんて存在しないのか。愚考だったわ。
『いいですよ』
俺は肩をすくめ、椅子に腰掛けた。
『で、人の夢の中にまで入って何の用ですか?』
どうやって夢の中に入ってきたかは聞かない。どうせノルン様が――
『その前に、私があの超ド級ウルトラ性悪女神を頼ったと思ってる?』
またしても俺の心を読んだようで、彼女は嫌悪な表情を浮かべている。
『え、違うんですか?』
未来ならともかく、この時代でそんな芸当ができるのはノルン様くらいしかいないはずだが。
『違うよ! 私の夢見魔法で君の夢に干渉してるんだよ!』
『夢見魔法だと……? この時代にそんな魔法はないはずですが?』
『この時代にはね。だって私は学園長じゃなくて、君の知ってる未来の私なんだ』
『え、あ、そっちか』
俺の目の前にいる学園長は正義教団の国で会った方のマーリンか。てっきり学園長がノルン様に頼んで、俺と夢の中で話をしようともちかけたのかと思ってた。
なるほどな、未来の人間なら未来の魔法を使えるのも納得だ。
だが、まだ疑問が晴れない。
『でも、何で今このタイミングで俺に夢見魔法を? というか、時代を超えて魔法って使えるんですか?』
『ちょっとちょっと、一度に二つも質問しないでほしいな』
『あ、ごめんなさい』
『まあ突然の事で混乱してるだろうし、今回は許してあげよう』
許された。ちなみに許さなかった場合どうなるんだろうか。
『――じゃあ一つ目の質問から答えるね。今このタイミングで夢見魔法を使った理由はね……どうもこの世界線の歴史がほんのちょっとだけ変わってしまったようだから様子を見に来たんだ』
『歴史が変わった……?』
『ああ、あんのクs……ノルン様主催の大会があったでしょ?』
今とんでもない暴言吐こうとしたな。どんだけ嫌いなんだよ。
『はい、ついさっきまでやってました。負けちゃいましたけど』
『ダスト君が負けるのは決定事項だったよ』
クソが。
『あ、でもセカンド・ドライヴという効r……強敵には勝ちましたよ!』
俺はセカンド・ドライヴに勝った。俺はセカンド・ドライヴに勝った。重要すぎることなので何度でも言ってやる。俺はセカンド・ドライヴに――
『それだよ』
『ん?』
『本来の歴史なら、その大会で優勝したのは、アク……セカンド・ドライヴ君だ』
『え、そうなんですか?』
ちょっと待て、そうなると本来の世界線から逸れて、この世界線から俺達がいた未来に帰れなくなる……?
『うん。こっちの記録ではそうなってる。でもこの世界線では、どうやらセカンド・ドライヴ君は敗退したそうじゃないか』
『は、はい。俺が……いや俺達のチームワークで勝利しました』
それがマズイってことか? でもあの二人とのコンビネーションと俺が多少無茶をすれば倒せるレベルだったぞ。ギリギリだったとはいえ。
『それがおかしいんだ。本来ならチームワークを以てしても君達は勝てなかったんだ』
『え、でも、じゃあ何で俺達はあいつに勝てたんだ……?』
『ねえ、君のチームって誰がいた?』
『あおいちゃんとルカちゃんです』
そう答えると、マーリンは今まで表現したことのない驚愕の表情を浮かべた。
『どうかしたんですか……?』
俺がそう聞くと、マーリンは口を震わせながら言葉を発した。
『ル、ルカちゃんって、だれ?』
『え?』
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