第447話『サバイバルバトル〜決着〜』
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『炎魔法』
『風魔法』
『岩石魔法』
『雷魔法』
『氷魔法』
『水魔法』
『光魔法』
『闇魔法』
分身の軍隊はそれぞれ異なる魔法を連射し、セカンド・ドライヴを追い詰める。
反撃する間もなく、攻撃を受け続けるが、僅かな隙を見つけ出しては呪術のオーラを浴びせて分身に攻撃をしかける。
そうして、ようやく1体分身を倒せるのだが、その間に増援が3体やってくる。
そこから1体倒してもまた3体くらいのペースでやってくる。このままだとこの場はダストの分身で埋め尽くされるだろう。
『……』
無言で戦闘を続けるセカンド・ドライヴ。
彼は何を思うのか、とうとう反撃すらしなくなった。
苦悶の表情も浮かべずに、ただ粛々と、全ての魔法を受け止めるだけ。
あまりにも無抵抗のセカンド・ドライヴに、ルカは違和感を覚え、剣を置いた。
そんなルカに、
『ルカ、まだ戦闘中だ。なぜ武器を置く?』
攻撃魔法が直撃しているにも関わらず、ルカに話しかけた。
『え、いや。セカンド・ドライヴさん、さっきから抵抗しないからもう試合放棄したのかなって』
『そう見えるのか』
『え、違うんですか!?』
諦めたような態度はフェイクだったのかと、ルカは急いで武器を取った。
『いや、確かに俺は諦めた』
『やっぱり諦めた……んですか?』
なぜ試合放棄をしたのか、気になったルカはそう質問した。
『まず俺はお前達にハメられて、身体もうまく動かない上、魔法すら使えない。最後の希望である呪術も魔法より負担が大きい故、あまり間髪入れずに使うことはできない』
現状彼の使える武器は格闘しかない。それもデバフがついている状態で、大量のダストの分身を倒し、さらにどこにいるかも分からない本体を探し出して倒さなければならない。
そこまで達成したとしても、聖剣を使うルカもどうにかしなければならない。
『さすがの俺もここまでの策略に陥れば、どうにもできない。やれやれ、ノルンも見てるだろうが、まだまだ調整不足だな』
あとでノルン様に何かしらの調整を施されるようだ。
『ルカ、敵がどのような状況でも、完全に勝負が終わるまでは武器を置くな。もし今の俺がまだ秘策を持っていたらどうする? 武器のないお前など簡単に屠れるぞ』
『うぅ……そうですよね』
ルカはこの場で反省し、剣を強く握る。
『その通りイヌ。僕もそう言えば良かったイヌ』
『ううん、ケルちゃんのせいじゃないよ。私が浅はかだっただけだもん』
戦場であるまじきミスを侵した彼女だが、この反省を今後の戦闘で活してくれることだろう。
『セカンド・ドライヴさん。ご指摘ありがとうございました』
ルカは礼儀正しくお礼を言った。
『戦闘中に礼は――まあいいだろう。慢心をうまくコントロールしてくれれば、それでいい』
そう言い残し、限界を迎えたセカンド・ドライヴは影も形もなく消え去った。
役目を失った分身達も、あとを追うように粒子となり、やがて空気と化した。
その場に残されたのは、橋本ルカという聖剣を持った少女だけ。
『……』
ルカは緊張が解けたのか、尻もちを一瞬ついてしまったが、セカンド・ドライヴの言葉を思い出し、すぐに立ち上がった。
『そうだ、まだ試合は終わってない』
残り二人になれば試合は終了するのだが、その告知は未だ来ていない。ということは、少なくとも三人は生き残っているということ。
セカンド・ドライヴのように向こうの島から一人がこちらの島の存在に勘づいて、来襲してくる可能性も十分にありえる。
たとえばフレイは、この島の存在を知っている。向こうの島の参加者を全員倒してからこっちに戻るなんてこともあるし、ファースト・ドライヴのような多彩な魔法を持っている者なら、この島の存在を知る術も一瞬でこちらに来る術も持っているだろう。
向こうで誰が勝ち残っていても、とても油断なんてできない。下手をすれば突然の強襲に対応できずにあっさり脱落してしまう、なんてこともあり得ない話ではないのだ。
それをセカンド・ドライヴは口数が限られている中で彼女に教えてくれたのだ。
『ディーンさんの元へ行こう』
ルカは戦士の顔つきになると、無言のまま彼の元へ向かった。
島の下層部の行き方は、ダストから事前に聞いており、草木に隠れた地下への階段からそのまま下って行けるようだ。
ルカは周りを警戒しつつ、階段へと足を踏み入れると、第三者に見つからないように入口を塞いでから階段を下った。
『ディーンさん!』
ぐったりしたように床に両手を後ろにつけている姿を見かけた。
きっと分身魔法を多発したから疲れたのだろう。ルカはそう思いながらも声をかけた。
『お疲れ様でした! セカンド・ドライヴさんを倒しましたよ!』
嬉しそうに報告するルカ。しかし、ダストは外の様子を見ていたので当然知っている。
『うん、見てたよ。お疲れルカちゃん』
『はい!』
ルカは兵士のように姿勢を正して返事をした。
『さて、じゃあ次の作戦だけど――』
『あの、ディーンさん』
『なに?』
『すごくお疲れのようですが、一旦休まなくて大丈夫ですか?』
『ああ、大丈夫だよ。ほらこの通り元k――――』
重い腰を上げて元気をアピールしようとした瞬間――
『ディーンさん?』
ダストは膝を崩し、床に全身を委ねた。
『あの、ディーンさん?』
『……』
彼は電池が切れたように動かなくなり、返事をしない屍と同義の存在となった。
『ディーンさん、ディーンさん、ディーンさん!』
ゆさゆさと彼の身体を揺らしてみるも、何の反応も無かった。これではただの人形も同然だ。
すると――
『ああルカさん、すみません。ちょっと失礼致しますわ』
突然どこからかノルン様が現れ、ダストことオーガスト・ディーンは女神によって抱きかかえられた。
『えっと、ディーンさんはどうなったんですか?』
『残念ながら脱落ですわ』
『そんな……さっきまで元気だったのに……』
『いえ、貴女が来る前からもう限界でしたわ』
『え、そうなんですか……?』
その事実を聞かされたルカは青ざめた顔になった。
『そんな顔しないで下さい。ただの魔力の使いすぎです。いくら無限に分身魔法を使えるからってあまりにも間髪入れずに生成したから、ちょっと身体に負荷がかかってしまっただけで、寝てればすぐに目を覚ましますわ』
『そう……ですか。それなら良かったです……』
その言葉とは裏腹に、心の中は彼が気掛かりでしょうがないようだ。
『なので、オーガスト・ディーンさんは私が然るべき場所へ連れてきます』
『お願いします』
『そして、この瞬間からお知らせがありますのでよく聞いてくださいね』
そう言い残し、女神ノルンはダストと共に消えていった。
次の瞬間、彼女の言った通りに運営から通知が来た。
『残り二人になった為、試合は終了です』
――こうして、合計八人によるサバイバルバトルは橋本ルカとファースト・ドライヴの勝利で幕を閉じた。
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