表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
458/725

第444話『サバイバルバトル〜VS怪物②〜』

大変お待たせしました。

更新が遅れてすみません。

第444話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


『やあああああああああ!!!』


『はあああああああああ!!!』


 剣と拳の撃ち合い。時々魔法や精霊の力を使い、勝利への道を開拓しようとする。


 それはまるでオーケストラの如く、音と音を響かせる。見る者が見れば、これは芸術だと心を躍動させるだろう。


 まあ、(もっと)も演奏会を開くほどの時間は残されていないのだが。


『きゃあっ!』


 撃ち合いに負けて、押し返されたあおいとルカ。デバフに取り憑かれた彼を、二人がかりで攻めても尚、勝利を掴むビジョンが見えない。それほどまでに力の差が顕著に現れている。


 しかし、あおいはそれでも諦めずに立ち上がり、世紀の大怪物に挑む。


『はああああああああああああああ!!!!!』


 斬って、斬って、その度に硬い金属音が耳に入る。全て拳だけで弾かれている。


 剣越しに伝わる気分が悪くなるほどの手応えが無さすぎる感触。絶対に斬れない概念(オブジェ)を斬っているようだ。


 青いオーラを全身に纏う一人の少女。その背後には赤い髪の戦士が控えているような、そんな気迫すら相手に感じさせる。


『……』


 彼女の(想い)を全て受け切るセカンド・ドライヴ。少女に対し何を思うのか、口を開いた。


『もうやめたらどうだ?』


『……!』


 あおいは、セカンド・ドライヴからの問いかけに耳を傾けつつ、剣を振ることをやめない。


『分かっているだろう? 貴様では俺に勝てないことは』


 圧倒的な差があり、どう対抗しようとも勝てるはずがないと現実を叩きつける。


 事実、現状彼女が勝てる道理はない。彼が重傷になるまで自害でもしない限り、敗北の道しか残されていない。


 ゲームで例えるなら、負けイベントを勝つまでやろうとしているようなものだろう。負ける事で次に進めるイベントに反逆し、勝つことに拘っている。


 あおいには諦めるという選択肢はない。たとえ勝つ可能性が全くなくとも、彼女は命ある限り、剣を振り続けるだろう。


『そんなことは分かってます。でも、たとえどんなに無謀でも意味はあります』


『いや、無謀は無謀だ。勝ちに拘るのは理解できる。しかし、勝てもしない勝負に固執し続けるものほど効率の悪い事はない』


『ええ、そうでしょうね。もし貴方と私と一対一ならこんな試合全くの無意味です。でも、今の私には仲間がいる……!』


『……仲間?』


 あおいは、華麗な跳躍で一旦引き下がり、さらに口を開く。


『そうです、私一人で勝てなくても仲間が勝てば私の勝利なのです! ルカさん!』


 ルカの方を見ると、彼女の剣にいくつもの色の小さな光が囲っている。


『あれは……精霊の力というやつか』


 見たこともない景色に警戒するセカンド・ドライヴ。


『準備は完了です。あおいさん、時間を稼いでくれてありがとう。いつでも撃てるよ』


 ルカの剣に吸収されるように光が入り込むと、剣は虹色のオーラを纏う。


(なるほど、無謀だと思われたあおいの行動はこのためのものか。この程度の企ても見抜けないとは、俺もまだまだだ)


『いくよ……』


 剣先を相手に向けるように構える。


『数多の精霊よ、私……いや私達に輝かしい道を切り拓きたまえ!』


 すると、オーラはルカの身体ごと包み、彼女の背中から虹色に輝く羽が授けられた。


 まるで()()のような姿をした彼女は、剣を振り下ろすと、斬撃と化したオーラがセカンド・ドライヴに向かって襲いかかる。


 それがあまりにも綺麗な光景だったので、セカンド・ドライヴは思わず魅入ってしまった。それ故、一切躱す動作をすることなく、虹色のオーラに呑まれた。


 セカンド・ドライヴに完全に命中した。するとオーラが天空を突き刺す勢いで伸び、この創り物の世界に不可思議な光景(れきし)を刻み込んだ。


『やった……!』


 渾身の一撃が命中し、あのセカンド・ドライヴに勝利したと確信し、歓喜するルカ。


『あ、一応本当に倒したか確認しなきゃ』


 心が油断に支配される前に、最後の警戒作業を行った。


 死体確認も兼ねて、オーラを放った場を見直すと、そこには――


『なっ……!?』


 何事も無かったかのようにその男には傷一つなく、ただ衣服についた汚れを振り払っている。


『なん……で……?』


 不可解だった。最終奥義とも呼べる切り札をまともに受けて少しのダメージすら無かったのだ。


 彼女の奥義なら、どんなに防御が硬い相手でも、ある程度のダメージが入らないと道理が通らないはずだ。


 では、目の前にいる“アレ”は何だ? どんな化物でもダメージが通るのに、彼はその遙か上――“神”とでも言うつもりか――。


 困惑に心を支配される彼女に、彼は口を開く。


『まさかだと思うが、これがお前がしたかったことか?』


 さらに彼は、お前の先程のアレは技ですらないただのマジックショーじゃないのかと付け加えるように言った。


 ルカは屈辱と怒りで拳を強く握った。


『これなら普通に剣を振った方がマシだろう』


 さらに酷評を容赦なく放つ。それはルカの心に深く突き刺さり、この先なかなか抜けることはないだろう。


 すっかり戦意を失い、膝をついたルカ。


『ルカちゃん! 立ち上がるイヌ!』


 彼女の武器が必死に言葉をかけるも、主人の心に届くことはなかった。


『ルカさん!』


 ルカを案じたあおいは、彼女を守るようにセカンド・ドライヴの前に立ちはだかる。


『ほう、貴様はこの状況でまだ戦意が残っているようだな』


『まだ、負けたわけじゃないですから』


『そうか、どうやら貴様には何を言っても無駄のようだ。俺がお前たちに引導を渡した方が早いようだ』


 セカンド・ドライヴは拳を引くと、その周辺を中心に風が吹き荒れる。まるで風が彼に従うかのように。


 このまま二人を吹き飛ばす大技を発動して、この試合を終わらせる気なのだろう。そんな雰囲気を二人揃って感じ取っていた。


『させません!』


 あおいは剣を突き立て、セカンド・ドライヴを妨害するも、風が邪魔をして近づけない。


 顔を守るように腕を前に置きながら、彼女は剣に魔力を込めた。


『くっ……! 私だって……!』


第444話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ