第441話『サバイバルバトル〜二人目の化物〜』
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時はフレイがファースト・ドライヴがいる最初の島にたどり着いた頃まで遡る――。
遠くの島に滞在中の俺、ルカちゃん、あおいちゃんで作戦会議を開いていたが、その最中に“奴”は現れた。
『セカンド・ドライヴ!』
向こうの島から、どうやってこんな遠い島に来たのか。
答えはシンプルだ。奴は脚力だけで空を駆け、飛行機のようにこの島まで飛んできたということだ。
いや、どういうことやねん。相変わらず脚力キモいわ。
『うむ、ファースト・ドライヴの言う通り、お前たちはこの島に潜伏していたようだな』
どうやらファースト・ドライヴが俺達の居場所を特定し、セカンド・ドライヴに情報を提供したようだ。
ということは、つまり――。
『ファースト・ドライヴと手を組んだな?』
『そうだ。その方が――』
『効率が良いからだろ』
『そうだ。奴は二番目に強い。一番強い俺と組めば効率的だろう。だから手を組んだ』
手分けして、それ以外の有象無象を片付けに来たと言いたいわけだな。舐めやがって……!
だが、セカンド・ドライヴの言うことは間違っていない。この効率厨野郎は間違いなく優勝候補だし、ファースト・ドライヴも下手したら俺達三人がかりでも勝てない可能性すらある。
そんな化物二人が組めば、ほとんど勝ち目はない。
でも、向こうの島にはわかなさんと泳いでいったフレイがいるはずだ。あの二人が簡単に負けるとも思えない。
まあ、二人が仲良く手を組んでいればの話だが。
もし、仮にファースト・ドライヴが勝って、こっちの島に援軍しに来られたら、もう絶望するしかない。
ただでさえ、セカンド・ドライヴ一人にすら勝てるか不安なのに……。
『ルカちゃん、あおいちゃん』
俺は二人の顔を見た。
『なに?』
『ディーン様?』
俺は真剣な顔で二人に頼み込んだ。
『力を貸してほしい』
『もちろんだよ!』
『そのつもりです』
『ありがとう!』
もはや愚問だった。俺がわざわざ頼まずとも、この二人はいつだって味方で居てくれる。もちろん俺の方も二人を絶対に裏切らないし、あらゆる脅威から守ってみせる。
『いい顔をしているな』
師匠ヅラで俺の顔を見て、褒めてきた。
『そりゃどうもイケメン野郎。そんな口叩けなくなるほどボッコボコにしてやるよ』
漫画にしか出てこないイキリ野郎みたいなセリフを吐くと、セカンド・ドライヴが少し険しい顔をして、
『口が悪い、訂正しろ』
『は? なんでだよ?』
思わず、思春期みたいな反応をしてしまったが、いくら口が悪いとはいえ、そんなこと言われる筋合いなんてないはずだ。
『お前はその娘の教師だろう? 生徒の見本となるお前が目の前で礼儀を欠いてどうする?』
ド正論、圧倒的ド正論。
これには返せる言葉が見つからない。
そうだった。ルカちゃんはほとんど家族のようなものとはいえ、俺とルカちゃんの関係は教師と生徒だ。人の見本となる先生が悪い部分を見たら、それを正義だと勘違いしてしまう……!
ある意味反面教師として機能するかもしれないが、俺はそういう役割じゃない。
癪だけど、ここは素直に頭を下げるとしよう。
『そうでした。すみませんでした』
俺は自らの過ちを素直に謝罪した。
『ルカちゃん、さっきの俺みたいな言葉遣いは他人に使っちゃダメだからね。家族や友達とかはともかく』
『ディーンさんは家族みたいなものだけど、言葉遣いは気をつけるね! あ、いや気をつけます……』
ルカちゃんはいつもの親しみやすい言葉遣いをやめて、敬語を使い始めた。
『あ、別に敬語は使わなくていいよ』
『いいんですか……?』
『時と場合を考えて上手く切り替えてくれればいいから。まあ他の先生達は違う考えかもしれないけど』
『そっか、うん、分かった! “今は”いつも通りに接するね!』
そんな俺達の様子を見たあおいちゃんは、『ふふ』とちょっとだけ笑っていた。
――改めて。
『準備はいいか?』
これからお前たちと戦うぞとご丁寧に聞いてくるセカンド・ドライヴ。いつも効率効率うるさい癖にこういう時は律儀なんだな。
『ああ、いつでもいいぞ』
無論、ルカちゃんもあおいちゃんも準備万端だ。
『やってやるイヌよ!』
ルカちゃんの聖剣の気合の入った声が響く。相変わらず語尾は気になるけど、どうやらやる気満々らしい。
『ケルちゃん、一緒に頑張ろうね!』
ルカちゃんも気合十分だ。なんて頼もしい。
『ディーン様、ルカさん。私も居ますから――いや、影が薄くてすみません。皆さんが私を認知するまで前に出ますので、難しいでしょうけど私の事を忘れないで居てくれたら幸いです。あ、いや烏滸がましいですね、なんでもありません忘れてくだ――』
『あおいちゃんの事は常にちゃんと認知してますから! いつも側に居てくれてありがとうございます!』
ネガティブに陥りそうな彼女を救い出す。
『うぅ〜ごちらごぞ〜』
あおいちゃんは感極まって泣き出してしまった。その後ハンカチを取り出して戦闘に邪魔な涙を全て払拭した。
『うぅ、皆さん……ご心配をおかけしました……』
涙の跡を残したあどけない顔も、数秒後には戦士の顔つきに変わる。
『もう大丈夫ですか?』
『はい、もう大丈夫です!』
勇ましく剣を掲げ、セカンド・ドライヴに向ける。
『うむ、今度こそ準備が出来たようだな』
さっきから空気を読んで待ってくれたセカンド・ドライヴ。ボクサーのように拳を構える。
『引き伸ばしてばっかで悪いな、もう――大丈夫だ!』
俺は持っていた剣を取り出し、それを浮遊魔法で浮かせ、大砲のようにまっすぐにぶっ放す。目標はもちろんセカンド・ドライヴだ。
『一本だけでいいのか?』
セカンド・ドライヴはその一本の剣を最低限の動きだけで回避した。
『これだけか?』
もっと剣を投げてきてもいいんだぞと挑発された。そう言うからには十本いや百本超えて千でもキレイに避けられるんだろうな。
だが、今回は一本で十分だ。
もちろん、セカンド・ドライヴを舐めているわけではない。むしろ一番警戒しなくてはいけない相手だ。
だからこそ、事前にもう仕込んでいるのだ。
『これだけだと思うか?』
『なに?』
先ほど投げたある物に視線を向けた。
『?』
不審に思ったセカンド・ドライヴは俺を警戒しつつ、攻めの姿勢に入る。
――が、突然セカンド・ドライヴの背後から剣が突き刺さった。
『なに……?』
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