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第440話『サバイバルバトル〜最後の弾丸〜』

お待たせしました。

第440話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 バァン!


 打ち出された弾丸が魚雷の如く走り出す――


『!?』


 標的にされた本人は銃弾の気配を感じ、回避しようと身体をくねらせるも負傷した足が重く、弾丸が横っ腹をかすってしまった。


『っ……!』


 神聖な海に赤黒い血液が僅かに侵食する。


『……!』


 痛みを堪えながら、上へ上へと泳いでいく。


 このまま陸へ上がれば、早乙女わかなの勝利だ。


 正々堂々とはとても言えたものではないが、それでも勝ちは勝ちだ。複数人との試合である以上、誰かがこのような種類の勝利を掴んだとしても、不自然ではない。


 だが、その人物が早乙女わかなであるとは誰も予想がつかなかっただろうが――



 《最強と呼ばれた戦士の嘆き》


 無念である。


 何が最後の賭けだ。こんな不意打ちじみた作戦を立てなければ勝つ可能性すら見えてこないとは……。


 無論、これも立派な戦略ではある。真正面から己の拳や剣を交えるだけが戦闘ではない。


 ただ、我がこのような戦略をとるのは初めてだ。


 今までは、それこそ真正面から力の力の衝突を繰り返すような戦いしか経験してこなかった。


 それは最強と呼ばれた故の自信。どんな強敵が現れてもこの拳でねじ伏せてきた。故に小細工など不要。


 我に勝てる者など存在しなかったが、だからといって驕っていたわけではない。常に未知の強敵との戦いに備えて修行は続けていた。我自身が大きな壁となるように、常に頂点に立ち続けるために――


 だが、それでも尚、勝てない相手が現れた。


 それは我よりも大きな壁――否、もはや壁とは呼べぬ。未知数の概念。些か表現が大袈裟かもしれぬが宇宙と戦っているようだった。


 だがそれでも強敵と戦えるのは好機といえる。そうでなくては我自身が面白くないからだ。


 しかし、ファースト・ドライヴ、セカンド・ドライヴ。奴らは強敵という範疇を超えている。


 最初のイベントでセカンド・ドライヴとの決闘を行った時に我は理解した。


 あぁ――次元が違うと――。


 未来の力を持つ者達――

 精霊の力を持つ者達――

 そして、未来から来た者達――


 魔法そのものは知っているが、未来の魔法はあまりにも未知。我の理解を超えている。


 同じく拳が主な戦闘スタイルである者、セカンド・ドライヴ。奴はただ拳を振りかざすだけでなく、まるで自分だけの特技のように魔法を駆使し、柔軟性を持って戦っていた。


 なるほど、我ももし魔法を必要ないと切り捨てずに活用していたら――


 などと考えてみるが、そもそもこの時代の中で未来の魔法などどう習得すればいいのか。


 それが解せない以上、このような不意をつくような手段を取るしかないのだ。


 すまない、ファースト・ドライヴよ。


 我は思ったよりも、勝利に貪欲だったようだ。



 《ただの人間だった者の想い》


 そうか、わかなさん。貴女は自分の願いとは他所に自らの手で勝ちたいという欲望を持っていたんですねゴボボボボボボボボボ――それどころじゃない!


 考えるよりも手を動かせ!


 早くなんとかしないと、敗北(しぬ)ぞ!


 弾丸はあと一発――


 さっき放った弾丸はかすっただけだが、それなりにダメージは与えられたはずだ。現に彼女の泳ぐ速度は先程よりもかなり落ちている。


 とはいえ、あと数十秒も経てば陸へ上がれる距離だ。


 そうなれば、私は彼女に攻撃できず、このまま海の底へ落ちてゲームオーバーだ。


 早くこの弾丸を当てないと!

 

 ――私に当てられるのか?


(え?)


 ――私には射撃の才能はない。


(そうだね。でもやるしかないよ)


 ――そうかな?


(どういうこと?)


 ――今、ここで銃を撃つより、このまま彼女の後を追った方がいいのではないか?


(いや、この激流じゃ泳ぎ切れない)


 ――それでも今ここで銃を撃つよりはいい。弾丸を外して()()()()()()()()()、最後まで泳いで、力尽きた最期の方がよほど()()()()()


(そんなこと気にしてる場合じゃないだろ!)


 参ったな。自分の中に“体裁を気にする自分”が居たとは……。


 確かにカッコいいに越したことはない。現に今の私も男装して大いにカッコつけている。まるで勝利するのは自分だと主張するように。


 だからかなぁ、こんなに()()()()()()()()()のは――


(苦しい)


 こんなに辛いと思うのは、息ができないからか、それとも心が不安定だからか――


(もう嫌だ)


 私は再び狙いを定める。


(あぁ、もう私ってめんどくさい人間だ。あと情けない。自分を殴りたいくらい情けなくて惨めだ! だから前世で私は――あんな死に方(まけかた)をしたんじゃないか!)


 何故やる前からもう勝利を諦めている?


(そこで諦めて、試合終了のホイッスルが鳴ってしまうのを黙って見てる方がよほどカッコ悪いだろうが――)


 バァン!


 自分に喝を入れることで再び奮起した自分が放った最後の弾丸(いちげき)。それは要望通りにまっすぐと――激流を超え――標的へと――勝利を撃ち取りに往く――。


『!』


 案の定、標的は弾丸に気づいた。回避しようとするが負傷した足と横っ腹の痛みが邪魔してうまく動けない。


『……っ!!!』


 険しい顔をしながら地上(ゴール)へ向かう早乙女わかな。


 弾丸はどんどん距離を詰めていく。しかし肝心の標的への被弾に間に合うかと言われると微妙なところだ。間に合うかもしれないし、間に合わないかもしれない。


(いけええええええええええええええ!!!!!)


 そして弾丸(わたし)は――


 早乙女わかなの(勝利をつか)心臓を貫いた(みとった)


(よし!)


 この瞬間、早乙女わかなの脱落は確定し、特典である結界魔法は解除された。


(転移魔法!!!)


 もちろんすぐに脱出するために転移魔法を使う。


『ぷはぁ!!!』


 地面に寝転んだ状態で島に転移した私は、人間の生命線(ライフライン)である空気をふんだんに吸い込む。


 しばらくして呼吸を整えてから、私は自分の想いを外に吐き出した。


『なんとかなったぞ〜〜〜!!!!!』


 歓喜が溢れる。危機を脱出できた事実に心が震える。


 前世(まえ)の自分には絶対出来なかったであろう事を、現世(いま)の私は成し遂げた。


 嬉しい。我ながらなんてカッコいい。


 まるで自分が物語の主人公になったような気分だ。


 自画自賛の極地に至る勢いだったが、まだ全てに片がついたわけじゃない。


『あ、でもまだ試合は終わってない! 急いで治癒魔法かけて、セカンド・ドライヴ君のところへ――』


 ――ピンポンパンポーン。


 突然鳴り響いたアナウンスが次の私の行動を遮った。


『残り二人になった為、試合は終了です』


『え、もう終わったの?』


 どうやら、向こうでも決着が着いたようだ。


『そっか、セカンド・ドライヴ君も勝ったんだね』


 そう決まったわけではないが、彼の強さなら当然の結果だろう。


『今回、決勝進出が決定した二名の発表です。まず一人目の選手はファースト・ドライヴさん。おめでとうございます!』


 アナウンスが私の決勝進出を称えてくれた。ありがとう!


『続いてもう一人の選手の発表です。二人目は――』


第440話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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