表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
45/722

第36話『ステータス』

お待たせしました。

第36話できましたので、宜しくお願い致します。


※文字数多めです。

※2022年4月10日改稿しました。

 手合わせ……? 手合わせってつまり勝負するって意味だよな……この修練場でこの雰囲気で勝負って言ったら……ストリートにファイトするってことだよな? ラァウンドワンファイッ! というコングを鳴らすことになるってことだよな?


『本気なんですか?』


『ええ、本気です』


 うん、あおいちゃんの真剣な顔を見る限り本気で言ってるっぽい。まあそもそもあおいちゃんは冗談とか言うタイプじゃないだろうしな。


『でも俺弱いですよ? 勝負にならないんじゃ……』


 ボタン1つで一瞬でHP0になる自信がある。所詮俺は無双される有象無象の1人でしかないだろう。


『いえ、手合わせと言っても本気で戦うわけではありません』


『じゃあどういう……?』


『どういう形であれ、ダスト様に実戦経験を積んでほしいのです』


 あれ? あおいちゃん……今、一瞬だけ口元が笑ったような……気のせいか?


『前にアミさんの武器屋で言われたこと覚えてますか?』


『ああ……確か、俺は魔法や格闘の方が向いてるとか言われましたね』


 あの時俺に合う武器がないとか言われて地味にショックだったな。剣とか弓とかかっこいい武器使いたかったぜ……。


 そんな悲しい思い出に浸っていたからか、俺は目から一粒の涙が零れた。


 え? 泣いてるのかって? バカ野郎、聞くんじゃねえやい。


『ダスト様……? やっぱり、私なんかと一緒に居たくないですか……?』


 俺が悲しみの表情を露にしたせいで、あおいちゃんは自分と同じ空気を吸いたくないんだと勘違いして、ネガティブモードに移行してしまった。


『そんなことないですって! それより魔法や格闘の方が向いてるって言われたのがどうかしたんですか?』


『あ、はい、まずダスト様の魔法適正と、身体能力を確認させて頂きたいと思いまして……』


『確認ですか?』


『はい、本来ならベンリ街から帰った後に行う予定でしたが、色々ありましたので、引き延ばしになってしまいましたが……今、よくやくやるときが来たようですね』


 魔王は本当は俺を強くしたかったようだな。でも、俺が――――あれ? ()()()()()? 何かを忘れている気がするが……まあいいか。


『ダスト様、準備はよろしいですか?』


『はい』


 あおいちゃんは頷き、手のひらから占い師が使っているような水晶玉を出してきた。これもあおいちゃんの魔法の1種かな。


『この水晶玉に手を触れて、“ステータス”と言ってみて下さい』


『あ、はい』


 俺はあおいちゃんの言う通りに水晶玉に手を触れた。冷たいと思いきや意外と暖かかった。何か魔力的なものが込められてるだからなのだろうか?


『ステータス!』


 俺がそう言うと水晶玉は青く光り、その上に俺の能力に関する文章や数値が浮かび上がった。その内容が……。


 名前:ダスト

 総合レベル:1

 格闘レベル:1

 魔法レベル:1

 魔力レベル:1


 魔法適正一覧

 未来予知:UR

 空中浮遊:SSR


 総合判定:E


 なにやら色々書いてあるが、レベル1ということは1番最低値だということを表しているのか?


『これは……!?』


『これってつまり、最低最悪ってことですか?』


『い、いえ、確かに総合判定はEと最低の判定ですが、魔法適正一覧に注目して下さい』


 魔法適正一覧……つまり現状、俺が使うことができる魔法ってことか。横に書いてあるURとかSSRって何だ?


『未来予知と空中浮遊……これらは、なかなか習得できない珍しい魔法なんですよ! 凄いです! 初めて見ました!』


『あの、横に書いてあるURとかSSRって何ですか?』


『これはレアリティですね。どれだけ珍しいかを表しています』


 レアリティだと……まるでガチャみたいだな。つまり、今の俺ってゲーム始めたばかりで、ガチャを引いたら、めっちゃ良いのを引いて、皆から羨ましがられるアレか……。まあ、俺は友達いないからそんな感覚味わったこともないけどな……。


 あれ、俺の目からまた二粒の涙が零れた。え? やっぱり泣いてるだろって? うるせえ! 聞くんじゃねえやい!


『ダ、ダスト様……!? や、やっぱり私と居たくないんですね!?』


『だから違いますって!』


『いえ! そう決まってます! じゃなきゃ2回も泣くわけないじゃないですかぁ!』


 あおいちゃんは涙と乳を揺らしながらそう嘆いた。


 なんとかあおいちゃんの誤解を解かねば……なんか……なんか言わなくちゃ――


『と、時には、じ、時代と共に涙を流す時だってあるんですよ!』


 超苦し紛れに俺はそんな訳のわからない事を言ってしまった。いやマジで何言ってんだ俺……。


『じ、時代と共に涙を……!?』


 あおいちゃんの後ろの背景に稲妻が落ちたような気がした。まるで俺が名言を発して、感銘をうけたかのような……。いや、そんなわけないない、さっきの俺の発言死ぬほど滑ってたはずなんだぜ? こんなの学校のクラスとかで言ったら、間違いなく空気が凍るぜ? 一生モノのトラウマだぜ? そんなレベルの滑り発言に感銘をうけるわけ……。


『素晴らしいです! 私、とても感銘をうけました!』


『はい! 圧倒的フラグ回収!』


『時代と共に涙を流す……なんて素晴らしい言葉なんでしょう! ああ、涙が止まりません……この涙も時代と共に流れていく……深い! なんて深いんでしょう!』


 あおいちゃんの歓喜は止まらない……涙も止まらない……。俺の名言はここまで人の心を動かせるというのか……!? ……そんなわけねえだろ。


『ってそうじゃなくて、あの……あおいちゃん? ステータスの説明の続きをして下さると助かるのですが……』


『あ、失礼しました。自分1人だけはしゃいでしまって申し訳ございません』


『あ、はい。で、このステータスのレベルって最高値はどのくらいなんですか?』


『コホン! それも含めて、ステータスの全てを説明しましょう!』


 あおいちゃんの説明をまとめると……。


 まずレベルは1から100まである。この世界の勇者・冒険者以外の一般人の平均は15くらいらしい。つまり、オールレベル1の俺はもはやミジンコである。


 総合レベルは全てにおいて戦闘に向いてるかどうかを表している。レベル1の俺はクラスのちょっと強い女子にワンパンされるレベル。


 格闘レベルは身体能力の高さを表している。レベル1の俺は50メートル走るだけでバテてしまうだろう。


 魔法レベルは魔法の威力・影響力を表している。レベル1の俺はクラスで魔法を発動しても、しょぼすぎて誰も何も反応してくれないレベルだろう。


 魔力レベルは魔法を発動するために消費する魔力……要するにMPの大きさを表している。レベル1の俺は多分、序盤の1番雑魚モンスターにさえ、マウントを取られるレベルだろう。


『あ、はい、つまり俺はカスということですね。分かります』


 もうマヂ無理……リs……はやめとくけど引きこもる。一生心に鍵を掛けて引きこもる。


『落ち込まないで下さい。ダスト様にはレアリティの高い魔法があります。これらを駆使すれば自然とレベルをあげることができますよ』


『そうなんですか?』


『はい』


 どうやらレベルを上げる1番効率の良い方法はとにかく戦闘経験を積むことらしい。だから俺と手合わせしてと言ってきたのか。


 夢……というか、かつての俺の記憶の中もカウントしてくれたら良かったが、それはさすがに無理か。そこは記憶があるだけで、今の俺の身体には染み込まれていないだろう。


『だから手合わせをして、戦い方を学んで頂ければと思いまして……』


『なるほど……よく分かりました。そういうことならどうかお手柔らかに』


『はい!』


 まず、あおいちゃんは子供でもすぐに覚えられる超簡単な基本の魔法を教えてくれた。その魔法と元々ある魔法を使い、あおいちゃんに攻撃魔法を当てられればこちらの勝利という勝負をすることになった。まともに戦ったら勝てるわけないからな。


『ダスト様! 行きますよ!』


『はい!』


 勝負は始まった……! かと思いきや、誰かがドアが開こうとしていた。


『あおい! ここに居たのですね!』


『あ、お姉さま』


 赤髪ちゃんはドアを開けた後、引き寄せられるようにあおいちゃんに抱きついた。あおいちゃんと手合わせする前に皆にあおいちゃん見つけたよ! という報告をするべきだったなぁ……と思う俺であった。


『心配したんですよ! もし、あおいに何かあったら……』


『お姉さま……ご心配をおかけして申し訳ございませえええええええええん』


 赤髪ちゃん、あおいちゃんはお互いに抱き合いながら大号泣した。すると幻覚でも見てるのか虹がかかるみたいに徐々に背景に百合の花が出現し始めた (ような気がした)。まさかこの後百合百合するのか……ゴクリ……。


『あ、お姉さま。ダスト様が見てますよ』


『構うもんですか。むしろ、どんどん私達の仲を見せつけてあげましょう! ただもし私達の間に割り込んだら、たとえダスト様であっても、その頭……叩き割ります』


 赤髪ちゃんは、俺に絶対来るなオーラを出して、俺を睨み付けてきた。めちゃくちゃ怖い。


『いいえ、絶対割り込みません。どうぞ続けて下さい』


 これは俺からしても百合百合してる仲に割って入ろうだなんて頼まれてもやらない。むしろそこに割り込んで来る男がいるなら俺がそいつをぶん殴ってやる。


『それはそうと、ダスト様あおいと何をしていたんですか? まさか、いかがわしい事してないですよねえ?』


 赤髪ちゃんは目をギンギンに口元だけ笑いながら俺にそう聞いてきた。だから怖いって……それ完全に復讐心を剥き出しにしてる時の顔じゃねえか。やめてくれよ……。


『してないしてないしてないしてないしてないしてない』


 というか今、それどころじゃないでしょうが!


『お姉さま。ダスト様には、前に言ってたステータスを上げて頂こうかと思っておりまして』


『ああ、なるほど。確かに、元々そうする予定でしたし、丁度いいですね』


 赤髪ちゃんは、まるでこれから戦うぞと言わんばかりに、準備体操をし始めた。


『え、あの』


『せっかくなので、私も……ダスト様のレベル上げ、協力致します』


 赤髪ちゃんは気合いを入れて、手をポキポキ鳴らしている。これは嫌な予感……。


第36話を見て下さり、ありがとうございます。

第37話の方は、今日か明日に投稿する予定です。

宜しくお願い致します。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ