第435話『サバイバルバトル〜秘密の部屋〜』
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早乙女わかなによって開かれた落とし穴。それはまるで意図して作られた地下へ通ずる道のように幅が広く、整備もされている。
『うわあああああああああああ!!!!!』
地中の世界に引きずり込まれた二人は抵抗する間もなく、そのまま島の下層部まで連れて行かれたのだった。
地底近くまで着くと、早乙女わかなは捕まえた二人を地へ投げ飛ばした。
『いてっ!』
『いたたた……』
地面に軽く叩きつけられた二人は、痛みを押さえてその犯人を睨みつける。
『てめえ! 何しやがる!』
底まで行くと、そこには人が住めるくらいの空洞があった。
壁や床はほぼ全面土で出来ているのだが、一部分だけ海が見える窓ガラスが貼ってあった。
まるで誰かの帰りを待っているかのような人工的な部屋。しかし、そこに生活跡はなく、ただ静かに佇んでいる。
意図して出来たこの空間に、いくつか疑問を抱きそうなものだが、
『ちょっと! 乙女の真下から出てこないで下さい! もし私が今スカート履いてたらどうするんですか!』
落ちてきたお客さんは、周りの事などまるで見えておらず、女子としての尊厳を主張する。
『いや、ツッコむところそこじゃねえだろ!』
もっと他に言うことがあるだろと、フレイはまるで常識人のように指摘する。
『もし、スカートの中に履いてたパンツがごく普通のパンツだったらどうするんですか!』
『だからそこじゃねえだろ!』
『私自慢のドラゴンパンツならいくらでも見せれるんですけどね!』
『一体何の話してんだよ!』
『今履いてるのは結構地味めなパンツだからダメです!』
『どうでもいいわ!』
『どうでも良くないでしょ! 何言ってるんですか! パンツは人に見せるものです! かっこよく決めなくてどうするんですか!』
本来は見せるものではないのだが、ファースト・ドライヴにとっては見せてなんぼだと思っているらしい。
大きな価値観のすれ違いが、二人の口論に拍車をかける。
『知らねえよ!!! てめえのわけわかんねえ趣味なんかよ!!!』
『わけわかんねえ趣味とは何ですか! こっちは真剣なんですよ!』
『んなことより、ここはどこかを議論する方が先だろうが!』
正しい論点をフレイが物申したところで、早乙女わかながここぞというタイミングで会話に割り込んだ。
『よくぞ聞いてくれた、この空洞はな――』
『んなことより、ですってー! ムキー! ちょっと今のは許せませんわ! 表出ろですわ、このすっとこどっこいしょの承知の助!』
『上等だ! この野郎! 最後の悪口はよく分かんなかったけどな!』
せっかく解説役を買って出た早乙女わかなの話は完全に遮られ、蚊帳の外に置いてかれた。
『うむ、聞く耳持たずか』
二人の議論はさらにヒートアップする。
『もういい! 早く喧嘩の続きだ!!!』
『いーや! それよりもパンツの話の方が重要ですわ!』
『ぜんっぜん重要じゃねえよ! どうでもいいだろ!』
このようにギャーギャー、ギャーギャーと口から兵器を放つが如く、暴言が連射される。
譲れないものを否定されたファースト・ドライヴと、それよりもこの状況について話したいフレイとの戦いは終わりそうにない。
『閑の間であるな。我は最早背景と同化』
ギャラリーと化した早乙女わかなは、割り込むべきか、二人の議論が終わるまで静観を決め込むか悩んでいる。
『うむ、こういう時は――筋トレでもするか』
早乙女わかなは色々と諦めた。
しかし、中断された戦闘は意外な理由で再開することとなる。
『じゃあ貴女のパンツ何色ですか!!』
『なんでてめえに教えなきゃいけねえんだよ!!』
『いいから教えろですわ!』
『なんかムカつくから嫌だ!』
『じゃあ、力づくで!』
ファースト・ドライヴは、防壁魔法を発動しながら前に進む。ズボンを脱がせる為に必死だ。
『させるか!』
フレイは、向かい来る変態に殴りかかろうとするが、防壁が張ってある事に気づき、一旦踏みとどまり、その場から走って離れる。
『あ、さすがに学習してる!』
だが、殺意だけは防壁越しにまっすぐ飛ばしている。
『だけど、このままじゃ私に攻撃届かないはずです。わかなさんのように地割れするしか――』
『それは推奨しない』
筋トレしながら、汗だくの彼女は口を挟んだ。
『なんでだ』
『此処は既に地底だ。即ち、下は土ではあらず、海である』
『つまり、ここを割ると海が溢れるってことか』
珍しく理解が早いフレイ。
『なるほど、言われてみればそうですね。でも、じゃあわかなさんは何故私達をここに連れてきたんですか? 私に有利なステージに移動するなんて、貴女にとって損でしかないはずですよね?』
ファースト・ドライヴは当然の疑問を投げかけた。
『あ、言われてみりゃそうだ! なんでだ!』
『無論、我が意図したものだ。だが勘違いをするな。決して貴様だけが有利なわけではない』
『どういうことですの?』
『我はどのような激流であろうと遊泳できる』
つまり、早乙女わかなはこの空洞に水が溢れて魚類の住処と化したとしても、嵐のような奔流が襲ってきたとしても問題なく陸へ上がってこれるということだ。
『いいえ甘いですわよ。転移魔法を使えば楽に上がって――あれ?』
ファースト・ドライヴは、転移を実演することでこの空洞が海に浸かれても問題ない事をアピールするつもりだったが、肝心の転移魔法が発動できなかった。
『転移魔法が発動できない!?』
『そうだ、この空洞に結界魔法を作らせてもらった』
『結界魔法!? 貴女が何でそんなものを!?』
無論、現代の人間には扱えない。況してや普段魔法を使わない早乙女わかなが突然、結界魔法を使うなど天がひっくり返ってもあり得ない事態だ。
『お前、さては未来人か!』
『否、我は現代の人間だ』
『じゃあなぜ!?』
『説明しよう。アレは数分前、貴様達と戦っていた時に我が穴を掘った時のことだった――』
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