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第427話『サバイバルバトル〜作戦会議②〜』

お待たせしました。

第427話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 あおいちゃんが発案した作戦は、俺とルカちゃんと三人でチームを組んで残りの参加者を一人ずつ倒していく。そうすれば勝率も決勝まで残る確率も上がる。


 生き残るのが二人だけということを考えると、二人組で組むのが基本ではあるが、ルール上禁止ではないので問題はない。


 そこで俺はフレイに取引を持ちかけた。内容は、俺が転移魔法でフレイも連れて行くから、参加者がこの四人になるまで俺達に手を出さないというものだ。そうすれば、作戦の成功率がさらに跳ね上がることになる。フレイにとっても悪い話ではないはずだ。


『転移魔法……ってああ、転移(ワープ)か。前にお前が大会で抜け出した時に使ってたアレか』


『そうだ、それを使えばわざわざ泳がずとも一瞬で最初の島に転移できる』


 また遠泳なんてすれば、当然体力も落ちる。不意打ち等の作戦で討つならまだしも、フレイの場合、見かけ次第突撃するというスタンスでいる。となれば、少しでも体力を温存しておきたいと考えるのが自然だ。いくらフレイでも――


『なるほどな、話は分かった。だが断る』


『なんで!?』


 うっそだろ……どう考えてもメリットしかないのに、まさかここまで脳筋だったのか……。


『借りは作りたくねえってのもあるが、俺はな、ムカつく奴は俺の手でぶっ潰さねえと気が済まねえんだ……だから邪魔したら殺す』


 そう言って、こちらに殺意を向けた。


 俺の戦いに手を出すな。そんな漫画で言いそうなセリフを現実で言う奴が居たとはな……。


『そうか、分かった。お前がファーストドライヴと戦ってる限りは手を出さないでおく』


『ああ、悪いな』


 フレイは最後に謝罪して、海の中へ飛び込んだ。


 バシャバシャバシャと海を割る音が段々遠くなる。完全に聞こえなくなる頃にはフレイの姿は地平線の彼方へ消えていった。


『フレイさん……』


 ルカちゃんは悲しそうな目で、フレイの姿が海に消えるまで見つめ続けていた。


『なんで一人で行っちゃったんだろう……本当は私達の事嫌いなのかな……』


 フレイが手を組まなかったのは、自分が嫌われているからだとルカちゃんは考えているようだ。


『そうじゃないと思うよ。フレイはただ“一人で”倒したかっただけなんだよ』


『一人で? それで勝てるかも分からないのに?』


『そうだね、確かに一人だと勝てる可能性は高くはないかもね』


『ならどうして……?』


『多分だけど、フレイは勝つとか負けるとかは関係なくて、自分の信念が崩れるのが嫌なんだと思う』


『信……念?』


『たとえばルカちゃんはさ、絶対に譲れないものってある?』


『絶対に譲れないもの……』


 数秒後、ルカちゃんは何を思ったのか、ボッと顔を赤くした。


『ルカちゃん?』


『え、えええっと……そうだ、私の聖剣の“ケルちゃん”!』


 ケルちゃんって、聖剣にしてはずいぶんと可愛いネーミングだな。


『……えっと、そのケルちゃんをその辺の人にあげるなんてできないよね?』


『うん、絶対にできない』


『その気持ちと同じように、フレイもこれだけは絶対譲れないものがあるんだよ。それが“一人で”倒すことなんだと思う』


 まあ、フレイの場合は信念というより感情的なだけなんだろうな。だが、譲れないという思いは同じだ。


『そっか……それじゃあ別にフレイさんは私達が嫌いなわけじゃないんだね』


『うん、それはないと思うから安心して』


 ルカちゃんにとって“嫌われる”ということは、いじめられる対象に選ばれたと考えている。それは“そういう過去”をあまりにも多く経験した故に歪んでしまった部分だろう。


 だから嫌われる事に敏感になっている。もう二度と悲しい思いをしたくないから、出会ってきた人達に嫌われないようにする。それが橋本ルカという人間だ。


 でもね、ルカちゃん。君はいつか思い知る事になる。この世の全ての人間に嫌われない事が、どれだけ難易度の高いことか。


 人の数だけ思いがあり、価値観がある。みんながみんな手を取り合って共に進むのは不可能だ。それができるなら醜い争いも犯罪も起きない。ルカちゃんの理想は本当に理想でしかない。


 本当はルカちゃんを応援したいんだけどな。


 少なくとも俺だけは彼女の味方でいよう。もし彼女を嫌う者が彼女に危害を加えるのなら、その時は俺がルカちゃんを守る。彼女の未来と笑顔を守ること、それが俺の快楽の一つでもあるのだから。


『ねぇ、ルカちゃん』


『なに?』


『……いや、何でもない』


『?』


『ダスト様、そろそろ作戦会議をしましょうか』


 あおいちゃんは何かを察したのか、話題を変えるように誘導した。


『そうですね。ルカちゃんも』


『うん、そうだね』


 ルカちゃんのことが気がかりではあるが、俺は頭を切り替えて作戦会議に入った。


 仕方ない、今は大会に集中しよう。



 ――フレイとの取引は失敗に終わったが、こちらに利が無くなったわけじゃない。ファーストドライヴが残っている間は少なくともフレイの邪魔さえしなければ、彼女は俺達に手は出さない。ならば実質(ライバル)の数は残り三人だけだ。


 一人目はファーストドライヴ。幻覚等の厄介な魔法を使うが、まずはフレイがカチコミに行くので、後回しでいい。


 二人目はわかなさん。ヘラクレスを倒せるくらい強い人だが、さっきのイベントでレベルが5下がっている。弱体化してる今の状態なら、俺達三人で囲めば勝ち目は十分にある。まあ、俺が本気出せば一人で十分なのだが、なるべくルカちゃんとあおいちゃんに経験値が行くようにしたい。今は俺は後衛に徹して、前衛は彼女達に任せよう。


 三人目は効率お兄さんことセカンドドライヴ。なんとしてもあの効率野郎の鼻を明かしたいところだ。絶対潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す潰す――


 多少私怨が入ってしまったが、俺達が仕掛けるのはあとでいい。


 ルカちゃんが言った通り、今は最初の島で戦う四人に潰し合わせてから、俺達三人が乗り込んで残りの参加者を一気に攻める作戦がベストだろう。作戦会議でもその方向に話が進んでいる。


 卑怯と罵られるかもしれないが、それも戦略だ。悪く思うな。


 俺にも背負ってるものがあるんだ。


第427話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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