第424話『サバイバルバトル〜爆炎の犯人〜』
遅くなってすみません。
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《セカンドドライヴ視点》
『なんだこれは』
垂れ下がる糸の先端に、剣や銃、槍や斧といった武器がそれぞれ接着していた。
しかもどの武器も上質で刃の研ぎ具合から言っても、よく作られている事が分かる。まるで絵に書いたような完成度だ。
思わず手を取って試し撃ちしたくなってしまうくらいには魅力的だが、それが狙いなのだろう。
それを手に取ってしまえば、何かしらの罠が作動することは目に見えている。釣り餌のようなものだ。
『こんなあからさまな罠に付き合ってられるか』
俺は拳を突き出し、目に映る罠全てを吹き飛ばした……つもりだったが、壊れるどころかほんの1ミリすら揺らせなかった。
『ふむ、どうやらこれは幻覚の類いらしい』
となると、話は簡単だ。気にしなければいい。所詮は脳を錯覚させるだけの小細工だ。術中にハマってしまえば厄介だが、種さえ分かれば、どうということはない。
『先に進むか』
俺は幻覚を無視し、その場をあとにする。
少し歩いていると、人型の機械の軍勢が俺の前に現れた。
『なんだこいつら』
見たところ、武器を持っているだけで魔力の流れは感じない。
『なるほど、魔法が使えない量産型の機械兵士か』
一つ一つの戦闘能力は大したことないだろう。束になってかかってきたところで俺に傷一つすらつけられずに終わるだろうな。
『一気に排除するか』
俺は上空へ跳び上がり、そのまま勢いよく下降すると同時に機械の軍勢に向かって拳を振りかざす。
拳には魔力が備わっている。その状態で突き出すと、拳圧が風船のように広がり、まるで爆発したかのような威力を放出することができる。
俺は全てを吹き飛ばすつもりで拳という爆弾を放った。
すると、機械の軍勢どころか島の一部までもふっ飛ばされた。抉られた部分から海が侵食しようとしているが、すぐに何もなかったように修正された。
『機械兵士は全滅したか』
目視する限り、その姿はどこにも無かった。在るとすれば辺りに散らばった機械の欠片だけだ。
『ん?』
遠目だが、一瞬誰かが少し遠くの方に居た気がした。空からなら見えたが、地上に着地すると木々に遮られて何も見えない。
『行ってみるか』
気になった俺はその場へ向かう。
『ん?』
あいつは……何をやっているんだ? 笑みを浮かべながら指先から紫色のオーラを発光している。
『何をやっている。ファーストドライヴ』
『セ、セカンドドライヴくん!?』
ファーストドライヴは慌てて、両手を後ろに隠したが、もう手遅れだ。
『さてはお前か。妙な幻覚を見せたり、機械の兵士を送り込んだのも』
『な、なんのことですか? 私はただここで様子を見てただけですよ?』
ファーストドライヴは、そっぽを向いて大してうまくない口笛を奏でた。
『茶番はよせ、犯人はお前しかいないんだ』
『はぁ? なんでですか?』
『こんな芸当、この時代の人間には不可能だ』
『確かにこれは未来の魔法ですが、それを使えるのは私以外にいるでしょう? 例えば私たちの本体、オーガスト・ディーンこと本物とか!』
『ふむ、確かにダストでも可能かもしれんが、あいつは今、別の目的があるのか、こことは違う、はるか遠くの場所にいる』
遠隔操作をしている可能性もなくはないが、ダストは先ほどまでこの島で戦っていた。もし遠隔操作ができるなら、わざわざこの島に留まらず、最初から遠くの島に転移すればいい。その方がよほど有利に効率的に進めるはずだ。
『じゃ、じゃあシアンさんは? 彼女も未来の人間だから当然未来の魔法は使えるはずですけど?』
『シアンはさっきの爆発に巻き込まれているんだぞ。そんな状態で魔法を使える余裕があると思うか?』
『あ、そうだった……』
『もう無駄な弁明などするな。効率的じゃない。どうせこの試合は個人戦。ルール上チームで組むこともできるが、結局最後は敵同士だ。お前が犯人にしろそうでないにしろ、ここで俺がお前を倒す事は決定事項だ。覚悟しろ』
俺は拳を構える。
『そうですか。せっかくあなたとチームを組もうと提案しようと思っていましたが、何を言っても無駄なようですね!』
ファーストドライヴはおどおどした態度から一転し、紫色に輝いた指先を堂々と見せつけた。
『行きなさい、爆炎を起こす蝶よ!』
ファーストドライヴの指先から青紫色の蝶が現れ、ひらひらと舞い踊る。
『蝶? 一体何をするつもりだ?』
爆炎を起こすと言ったな。さっきの爆発はやはりこいつの仕業だな。
触れないのは当然、近づく事すら避けた方が良さそうだな。
『一匹だけじゃないですよ』
ファーストドライヴは言葉の通り、指先から次々と同色の蝶を召喚する。
『ちっ』
俺は爆発に巻き込まれない距離まで離れてから拳圧を放って排除する作戦に出た。
『はああ!!』
俺は作戦通り、距離を稼いでから魔力を帯びた拳を放つ。
すると、蝶は連鎖的に爆発を起こし、島の全ては海の中に還ったが、それは一瞬の話。すぐに修正プログラムが作動し、何事も無かったかのように復活を遂げた。
爆炎によって発生した煙も空に全て吸収されるように消えた頃になると、海に潜っていた俺は顔を出し、すぐに島に足をつけた。
遠目で見えたが、ファーストドライヴとわかなもそれぞれ島に上がってきたようだ。
今のところは脱落した者以外は無事のようだな。さすがに強者ばかりの大会で一勝した猛者達だ。この程度の事は乗り越えられるだろう。
『さて、これからどうするか』
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