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第418話『サバイバルバトル〜オーガスト・ディーンVSシャイ(決着と白い雫)〜』

お待たせしました。

第418話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 《光の戦士視点》


 一体何が起きたのか一瞬理解できなかった。


 私の召喚した精霊が最後の手向けとオーガスト・ディーンに突撃したと思ったら、天から神の鉄槌とでも言うようにいくつもの光が降り注ぐと、精霊も私の翼も削ぎ落とされていた。


 本当に一瞬の出来事だった。あまりにも刹那的すぎて危機感が作動しなかった。


 空を飛べなくなった私は空の足場という名の地に墜落した。


 翼を失った者は退場を意味する。私も例外ではない。


 この翼はいわば私の心臓のようなもの。空を翔け、大きな力を得た代償だ。


 それをオーガスト・ディーンは見抜いていたのかは分からないが、これほどピンポイントに攻撃してくるなんて狙ってやったとしか思えない。


 これも未来の魔法なのだろうか?


 すごいな、未来は。何のヒントも与えていないのに翼が弱点だと見抜ける魔法があるくらいだから、もっとすごい事もできるんじゃないか? 私の普通の女の子になりたいという願いも叶えられそうだ。


 いやぁ、凄いものを見させてもらった。そんなのズルいと思わないといえば嘘になるけど、めちゃくちゃすぎて逆に清々しいとすら思う。だって私は全力を出したんだし、もう悔いはない。


 あぁ、でも悔しいな。優勝したかったわ。


 優勝さえすれば、私は私の願いが叶えられたはずだったのだから……。


 失意に暮れた私は意識を底に沈めた。


 それから全く動かなくなった私は敗北が確定し、彼は報酬としてこのイベント中のみレベルが5上がり、私はレベルを5下げられたままとなる。まあ、どちらにせよ降参するつもりだったから関係ない。仮想空間とはいえ自然を破壊したくはないからね。


 ところで、私は今どこにいるのだろうか? 恐らく運ばれただろうから医務室だと思われるが、今私は夢の中だ。現実の私がどうなっているかなど確認する術はない。


 まあ夢と言っても、いつものチグハグな映像を見るだけの混沌とした世界ではない。ここは私の意識の中だ。海底のように暗く、それでいて何もない世界。それを私が勝手に夢の中として当てはめているだけにすぎない。


 情報が遮断された代わりに物理的な痛みが全くない。この(せかい)で私は目を覚まさない限り、好きに行動でき、全てが思うがままだ。まるで神になったような気分だが、ここには私しかいないのが難点だ。いくら何でもできる状態とはいえ独りでは何の意味もない。そんな世界で神になっても虚しいだけだろう。


『さて、どうしたものかな』


 現実の私が目を覚ますまで待つしか――ん?


 私の元に、白い小さな光が寄ってきた。


 あぁ、あなたね。私の召喚した精霊。私と共に戦ってくれた精霊だ。どういうわけか私の夢の中に入ってきたのだが、その理屈を説明されたところで私には理解できないだろう。


『――――――』


 精霊は何かを話しているようだけど、声がよく聞き取れない。そもそも私に分かる言語で話してるのかも疑問だけど。


『――――――』


 うん、やっぱり分からない。どうにかして聞き取りたいけど、どうしようかしら。


『――――――なさい』


 え?


 彼女が喋る度に声が少しずつ大きくなっていった。私は耳を傾けた。


『ごめん、なさい』


 やっとまともに聞き取れるようになった。


 可憐で、今にも消えてしまいそうな弱々しい声だった。


 涙らしきものも流れてる。私達人間とは違って宝石のように綺麗な雫だ。彼女は悲しい気持ちなのに私は美しいと見とれてしまって申し訳ない。


『なぜ謝る?』


『私が、役立たず、だった、せいで』


『何を言っている、お前は役立たずなどではない』


『そんな、こと、ない』


『むしろ悪いのは私なんだ、私がもっと強ければ……お前と連携できるように動かなかった私が良くなかったんだ』


『私の方が、連携不足』


『今のは気遣いじゃない。本当に私が修行不足だっただけなんだ。そこは履き違えないでくれ』


『でも、でも……』


『ああもう、だから――』


 それから私は泣き崩れる精霊を慰め続けた。その成果が実り、やっと落ち着いたのだが、まだ自分を責めているような様子だ。


 やけにネガティブな娘ね。初仕事がうまくいかなくて落ち込む気持ちも理解できなくはないけど、これほどまで泣いて落ち込むなんて、一体この娘の過去に何があったのかしら?


『――本当に気にしないでくれ。あいつ、オーガスト・ディーンが、強すぎたんだ』


『……はい』


 ふぅ、やっと泣き止んでくれた。夢の中とはいえ泣かれるのは気分が良くない。


 ――それにしてもオーガスト・ディーン、この一瞬の間に一体何があった? 急に魔法に意思があるとか言って命令したり、私の弱点を見抜いたり……。


 フーとの試合もモニター越しでバッチリ見させてもらったが、その時と今とではまるで別人だ。 


 確かに戦闘中に覚醒して強くなることはあるが、この成長スピードはさすがに異常だ。


 彼の事情は私の知るところではないが、どうやら彼は相当複雑なものを抱えているのだろう。ただ未来から来たってだけではなさそうだ。


 私の天使状態もそうだが、力には必ず代償がある。それは寿命、時に人格すらも変えることもある。


 彼の場合は後者だ。まるで戦う度に人格が変わっているように見える。


 今の彼は……誰なんだ?


第418話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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