第415話『サバイバルバトル〜オーガスト・ディーンVSシャイ③〜』
お待たせしました。
第415話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
――今回、突然始まったイベントの参加者は、
一組目
オーガスト・ディーン
シャイ
二組目
早乙女わかな
セカンドドライヴ
以上。
それぞれの二人組が空中というステージで同時に戦う事が決定された。
もちろん同じステージであろうと、俺達は二組目に直接干渉することはできないし、逆に向こうが俺達の邪魔をすることはない。ただ目には映るので、たとえば顔芸を披露して集中力を削いだり、紙に大きくバカとかアホとか書いて精神的な嫌がらせをすることができてしまう。が、そんなことをすれば空から石どころか岩を落とされそうなのでやらない方がいいだろう。それに、そんな卑怯な行為をすれば俺は俺をいじめた奴らと同類になっちまうしな。それだけはゴメンだ。
――両者出揃いましたね――
気がつくと、わかなさんと効率厨野郎も空へ上がってきた。
いけ好かないイケメン野郎はどうせ効率効率言って参加したんだろうが、わかなさんはどういう動機なのだろうか。二人だけの方が周りを気にせず戦いやすいからかな。
まあ、それを知ったところでどうこうするわけでもない。今はシャイとの戦いに集中しよう。
――準備はよろしいですね? それでは、イベント開始です!――
『こちらから行くぞ!』
シャイは再び身体を光に換えて“光の戦士”となる。それからすぐに剣を抜き、真正面から向かってくる。
相変わらずの神々しさだ。こちらに向かって来るのは本当に人なのか、まるで幻想の世界から来た騎士だ。舞台も地上ではなく空なので幻想感に拍車をかけている。
シャイの剣筋が俺の肩から足の付根に定める寸前に、
『光の精霊よ、その力を以って私に更なる光を纏いたまえ』
と、先程とは異なる呪文を唱えた。
様子を見ると、シャイの剣は先程の2色の白いオーラの上に更に違う2色のオーラを融合させ、全く違う白い色のオーラを生み出した。
そして言うまでもないが、そのオーラが纏った剣は防壁魔法を貫くので、攻撃を防ぐには転移魔法で回避するしかない。
『転移魔法』
剣筋から回避した俺は、シャイの背後に立ち、炎魔法を放つ。
『甘いな、それくらい読んでいるぞ!』
シャイは既に斬る対象がいない剣筋をなぞると、その勢いのまま身体を捻り、俺に向けてビームのような斬撃を放つ。
『なに……?』
俺が放った炎は斬撃によって真っ二つにされ、仕事熱心な斬撃はその力と勢いを残し、俺の元へやってくる。
『嘘だろ……?』
回避する暇も攻撃を防ぐ魔法を発動する間もない。
ダメだ、このまま俺は死――
――刹那、記憶の隅に封印されていた思考加速魔法が解放され、すぐに発動した。
この時、まるで時間が止まったかのような感覚があるのだが、フーちゃんのように時を止めているわけではない。ただ俺の脳だけが僅かな時間の中で高速で動いているだけに過ぎない。
目の前には斬撃があるというのに、俺は一ミリも身体を動かせない。そのせいで一刻も早くこの状況を脱したいのに何もできないというもどかしい気持ちが心にも居座っている。
斬撃から逃げたくば、早く案を捻り出さなければならないのだ。こうしている間にも時計の針は進んでいるのだから。
しかし、どうすればいい?
まず身体は反応が大幅に遅れてるので、回避することはできない。転移魔法は発動したばかりで、さすがに数秒のインターバルを置かないと発動できない。このままでは斬撃に飲まれて俺の身体は最中のように真っ二つ☆
直ちに別の魔法を発動して防ぐ必要があるのだが、数秒のインターバルすら置けないのだから他の魔法を発動するなんて不可能だ。
じゃあ、どうするかだって?
うーん、どうしようか。
…………やばい。なんも思いつかねえ。
いくら思考を加速させても、どうにもできないなら意味がない。じゃあ何の為に発し加速した?
そうだ、身体が勝手に動いたんだろ?
自分が本能で思考加速魔法を発動したんだろ?
――あぁ、ダストはいつもそうだ。
そうやって何でも魔法で解決した。
どんな状況であっても。
じゃあ、今この状況はどうにかなるのか?
そもそも魔法が発動できる暇がないのだぞ?
――それだけでダストが敗北ける理由になるのか?
いやいや、話聞いてたか?
魔法が発動できる状態じゃないと――
――魔法が発動できる時間が無いのなら、作ればいいだけの話だろう。
作ればだと? 簡単に言ってくれるな。
――いいや、簡単だ。俺を誰だと思っている? 考えろ。何のためにダストが思考加速魔法を発動したと思っている? 勝利への道筋を見つける為だろう?
勝利への……道筋?
――解放。
おれはダストの封じられた記憶を解放した。
これは……!
――忘れるな。魔法は“意思”だ。
――――――――――
思考加速は終了した。時が止まったようにも感じた時間は加速し、元の速度に戻る。
そして、
斬撃は、
俺の目の前で――
『なに、どうなっている?』
食い止められていた。
もちろん防壁魔法じゃない。魔法なんて発動してる間が無いからな。
では、なぜ斬撃は俺の目の前で止まっているのか。
それは――
『あれは炎か? 炎魔法で作った炎の壁で食い止めているということか。いや待て、貴様には魔法なんて発動できる暇など無かったはずだ!』
『そうだ、あの瞬間に新たに魔法を発動する間はない。だが、既に発動した魔法はどうかな?』
『既に発動しただと……? はっ、まさか……さっき私が斬った……』
『ああ、そのまさかだ。さっきシャイの斬撃に真っ二つにされた炎魔法だ』
ダストは言った。魔法は意思だと。だからさっき真っ二つにされたがまだ消えてない炎魔法に意識を働きかけた。そうしたら炎はまるで本当に意思を持っているように一人でに俺の元まで高速でやってきて、こうして盾になってくれたということだ。
最初は信じられなかった光景だが、思い出してきた。
多彩な魔法があるだけじゃなくて、こうやって魔法を使い魔のように扱って、あらゆる困難に打ち勝ってきたんだ。
いや、困難は訂正しよう。確かに魔王やらドラゴンやら最強種や世界最強とか色々立ち塞がってきたが、
それを追い払うだけのただの作業だった。
『炎よ、俺の盾だけではなく、相手を喰らい尽くす紅蓮の炎となれ』
そう命令すると、炎は意思を持って大きく燃え上がる。
第415話を見て下さり、ありがとうございます。
皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)
次回も宜しくお願い致します。




