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第414話『サバイバルバトル〜オーガスト・ディーンVSシャイ②〜』

お待たせしました。

第414話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 精霊の力を使えるようになったシャイは、俺の防壁を貫けると分かると、躊躇いなく剣を振り回し続けるようになった。


 だが、そのせいで周りの木々が巻き込まれ、次々と倒れていった。


 この美しい自然も仮想で創られたものとはいえ、シャイが環境破壊する極悪人物にしか見えない。まるで、どこぞの大王みたいにな。


 彼女は俺を倒すことで夢中なのか、自然が壊されていく光景を無視して、表情を変えることなく、俺に攻撃し続ける。


 俺はどうしているかというと、ひたすらシャイの攻撃を転移魔法“自動回避”で躱している。


 今のところ傷ひとつ無いが、回避した先にたまたま剣筋があると普通に斬れてしまうので、油断はできない。


 辛いところだが、防壁魔法が意味を成さない以上はこうするしかない。


『急に逃げるようになったな、私が怖いか?』


 挑発するように発言するシャイ。ここで俺を怒らせて、正常な判断ができない内に隙をついて……(ザン)ってことだろうな。そうなれば俺もゲームオーバーだ。


『ああ、怖いよ。俺を倒す為なら環境破壊さえ何とも思わないお前がな』


『なに……?』


 俺にそう言われて、彼女は自分が通った所を振り返る。


『……!』


 今まで気づかなかったのか、木々が無惨に倒れていく光景を見て、動揺していた。


 先程の凛々しい顔はどこに行ったのか、彼女の表情はまるでトラウマな光景をフラッシュバックした時のようだった。


 何でそんな表情をするのか分からないが、それにしても、おいおい、シャイの奴、周りが見えてなさすぎだろ。


『……すまない』


 気づかせてくれてありがとうと、俺に頭を下げた。


『いや、気にするな。それにここは仮想空間だしな』


『そうだな。とはいえ、さっきの私の姿を誇りを持って見せられるかと言われればNOだ。痴態を晒すなど私には耐えられない』


 ここが仮想空間かどうかは関係なく、みっともない姿は見せたくないということか。


 心意気は立派だが、監視カメラで全部映ってるんだけどな。口にはとても出せないけど。


『とはいえ、ここは見ての通り自然だらけだ。シャイじゃなくても戦えば被害は確実に出るだろうな』


 むしろ木を倒さずに戦えって方が無理がある。それほどまでに木が密集しているのだから。


 自然への被害が最も大きくなるであろう炎魔法なんて言うまでもなく森林火災沙汰だ。


 炎魔法を得意とするのはよりによってフレイ。あいつに加減して戦うのは無理がある。


『なあ、やっぱ気にしてもしょうがないんじゃないか? さっきも言ったけど、ここ仮想空間だし』


『だとしても、私は……自然破壊などしたくはない……!』


 仮想空間であることを二度言っても意志は変わらない。やはり自然を壊す事にどうしても抵抗があるようだ。


 気持ちは分かるが、そうなるとこんな緑ばかりの場所で戦うなんてとてもできないだろう。


 というか戦う前から気づけよ。こいつ目の前の事に集中しすぎて周りが見えなくなるタイプか?


 ――はぁ、しょうがないなぁ。


『なら空へ行くか?』


 人差し指を上に向けてそう言った。


『は? 今なんと言った? 空だと?』


『ああ、空なら自然を巻き添えにすることはない』


『バカ言うな。空も飛べないのにどうやって行けと――いや、貴様なら可能か』


『手の内を1つ明かすことになるが、俺は空中浮遊魔法というその名の通り空を浮遊できる魔法がある』


 今までほぼ自分にしか使ってなかったが、実は他の人間も浮かせることができるのだ。


『なんと、そんな魔法が……だが、それは悪い。私の分の魔力も貴様が消費してしまうのだろう?』


 それではフェアではないとシャイは言う。


『まあ確かにそうだが、このままだとお前戦えないだろ。今ここで俺がシャイに攻撃しても、自然を気にしてなかなか反撃できない状況なら、俺にとってもフェアじゃない』


 本当は楽に戦いを終わらせる為にはここでシャイに猛攻撃を仕掛けるべきなのだが……どうも乗り気じゃない。だってシャイは、あいつらとは違うから――。


『ぐぬぬ……だが……!』


 俺の提案をどうしても受け入れられない彼女は剣の先を自分自身へ向ける。


『おい、何をするつもりだ?』


『やはり私はここでは戦えない。なぜかは分からんが、ここで戦えば私は後悔する気がしてならないんだ』


『それは自分の願いを捨てられるほど強い後悔なのか?』


『あぁ、そうらしい』


『シャイ……』


 彼女は本気だ。今ここで自決して大会から退場しようとしている。


 ここまで決意が固いのなら、俺からはもう何も言えない……。


 ライバルが自らいなくなってくれるのは結構なことだが、いまいち心が晴れないな。


『私としては橋本ルカを応援しているが、貴様の事も応援しているぞ。私と正々堂々戦おうとしてくれてありがとう。じゃあなオーガスト・ディーン』


『シャイ……俺は、俺は――』


 どうにか方法はないのか……? このままじゃ、シャイが……!


 ――仕方ありませんね、これは特別ですよ――


 突然ノルン様からそんな言葉が脳に直接届いた。


『ノルン様……?』


 ――次の瞬間、俺とシャイは何もしていないのに、まるでエレベーターに運ばれるように上空へ連れてかれた。また俺を上から落とすのかと思ったが、空中なのに足が着いた。何もないはずなのにそこに足場があるみたいだ。


『こ、これは……!』


 空中浮遊に慣れてないシャイは手足を羽のようにバタバタと動かし、透明の足場で尻もちをつきかけたが、そんな醜態を晒す前に受け身を取って何とか立ち上がった。


 ――あなた方を空中へ浮かせて、空から落ちないように設定しました。シャイさん、これであなたは思う存分戦えますよ――


『ノルン様……ありがとうございます。でも良かったのですか? こんなに特別扱いしてしまって』


 確かに俺達だけを特別扱いすると納得がいかない者も出てくるだろう。しかも空は障害物も死角もなく、誰の目にも入りやすい。確実にバレてしまうだろう。


 ――いいえ、確かに措置は特別ですが、あなただけを特別扱いしたわけではありません――


『それはどういう?』


 ノルン様は今度は俺達だけではなく、全員にアナウンスをした。


 ――皆さん。既に戦ってる人もいらっしゃいますが、突然で申し訳ありません。これよりイベントを開催したいと思います――


『イベントだと?』


 なるほど、特別扱いではなく、いっそ参加者全員を巻き込んでイベントにしようってことか。


 (ここ)からじゃ確認できないが、今頃森林にいるみんなにもノルン様の声が届いているんだろうな。


 ――これよりイベントのルールを説明致します。戦いながらで構いませんので聞いて下さい――


 そのイベントの内容をまとめるとこうだ。


 ●障害物のない空中で2人きりで戦える。

 ●誰でも参加できる。

 ●参加料としてこの試合の間だけ自分のレベルを5下げられる。

 ●勝者にはこの試合の間だけレベルを5上げることができる。

 ●イベント開催中の間は、不参加の者が参加者の間に割り込む事はできない。


 以上だ。


 要するに誰にも邪魔されずに好きな相手にタイマンを挑めるということだ。しかも報酬付きで。


 フレイが喜びそうなイベントだが、フレイがタイマンしたいのはおそらく俺だろうが、俺は既にシャイとの決闘が確定している。このイベントでフレイと戦うことはない。


 まあ、そのフレイも今あおいちゃんと戦ってるみたいだし、それどころではないかも。


『良かったなシャイ、これで気兼ねなく戦えるな』


『あぁ、ノルン様に感謝しなくてはな。フーを倒したお前と戦える事、誇らしく思うぞ!』


『誇られたのなんて初めてだな』


 ありがとなシャイ。こんなゴミクズみたいな俺を認めてくれて。

第414話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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