第410話『性悪女神は本音を隠さない』
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激闘の第8回戦は俺の勝利となった。だが今回は“ダストの記憶”が良いタイミングで解放したからこそ勝てた勝負と言っても過言ではない。運も勝負の内とはいえ、もしタイミングが少しでも悪かったら負けていたと思う。それくらいに切迫した戦いだった。
でも、ここまで運が良いとまるで俺に主人公補正がかかったようだ。いや、もしやそれもノルン様の仕業だったり???
――いや私は何やってねえですよばーか――
なんて言ってきそうだ。でもファーストドライヴに俺が戻ってくるまでの時間稼ぎを命じてきた事もあったから、わりと何かやってきそうな感じはあるけど……。
まあ、さすがのノルン様も立場があるだろうし、必要以上の干渉はしてこないはずだ。
たまには信じようじゃないか。俺達の女神を。
――たまにはって何だよこの野郎、ブチこ(ry――
『さて、控室へ戻るか。でもその前に――』
フーちゃんは眠るように意識を失ってしまったので、俺がおぶって医務室まで連れて行った。
フーちゃん、めっちゃ良い匂いした上に胸元の柔らかい2つの山が背中に伝わって、ちょっと理性がかき回された事はナイショだよ☆
その後、控室へ戻ると、あおいちゃんやルカちゃん達から勝利を祝われ、歓喜の嵐に飲まれていくように盛り上がった。
――此れにてそれぞれの1回戦の試合は無事に幕を閉じた。
試合結果は以下の通り。
第1回戦勝者 シャイ
第2回戦勝者 橋本ルカ
第3回戦勝者 フレイ(※サドンデス腕相撲対決にて勝利)
第4回戦勝者 シアン
第5回戦勝者 ダストオリジン・セカンドドライヴ
第6回戦勝者 早乙女わかな
第7回戦勝者 ダストオリジン・ファーストドライヴ
第8回戦勝者 オーガスト・ディーン
以上。
これで一通りの戦いは終わった。次の試合は1週間後の休日に行う予定だ。
ずっと医務室で眠っていたパーシヴァルとフレイもようやく意識を取り戻し、サドンデス対決として腕相撲を行い、激闘の末フレイが勝ったそうだ。
ただ、代わりにファーストドライヴは未だに目を覚まさない。意識の底に閉じ込められているようだ。どうか早く目を覚ましてほしい。それを祈るしかない。
さて、試合が終わった俺達だが、少しの休息のあと、みんなで夕食を取ってから、ファーストドライヴ以外の勝利者達は控室へ呼ばれた。
本来のトーナメント方式であれば、残った8人で同じように2人ずつ戦って更に人数を絞るはずだったのだが、ここでノルン様もとい運営から、試合方式の変更を提案された。
『サバイバル方式?』
『はい、トーナメント方式ですと順番に2人ずつ選出して戦ってましたが、サバイバル方式では全員が一斉に戦いの場に出て大乱闘をぶっかまします!』
決められた相手と戦うわけではなく、この中の全員と相手にする可能性があるのか。
『ちなみにその試合で残ったのが2人だけになった時、試合は一旦終了し、後日その2人で決勝戦を行います。つまりタイマンというわけです』
『残った2人が……か』
なるほど、参加者の内の2人が手を組んで片っ端から1人1人を潰すこともできるのか。そうすれば決勝戦まで残る可能性も高くなるし、とりあえず2人で最後まで残れればいいのだから途中で裏切ることも、よほどの事情が無い限りメリットもないだろう。
となると、俺はあおいちゃんかルカちゃんのどちらかを選ぶことになるが……どうしよう。
『そのサバイバルとやらは、あのバトルフィールドで行うのか?』
シャイがそう質問した。
『はい、ですが、バトルフィールドの形を変えます』
『どう変えるんだ?』
『それは……1週間後のお楽しみですわ』
『なるほど、ところでなぜ急にトーナメント方式からサバイバル形式に変えたのだ?』
『それは……すげえぶっちゃけますと、トーナメント方式だと時間がかかるので、これが1番手っ取り早いと思った次第です』
『ノルン様、少しは本音を隠そうとは思いませんか?』
『てめえに言われたくはねえですわよ』
『え? 何の事ですか?』
『とぼけんなこの変態野郎が』
『???』
『???じゃねえですわよ、さっきの聞こえてたんですわよ』
『あっ』
このあと俺がどうなったのかは想像にお任せする。
――――
性悪女神の説明が終わると、俺達はそれぞれの家へ帰っていった。
『ただいま』
我が家の玄関を潜ると、そこにはエプロン姿のマーリンが、お玉を片手に、
『おかえりなさ〜い♡ ご飯にする? お風呂にする? そ・れ・と・も、わ・た・し?』
きゃぴきゃぴという表現がしっくりくる言動に、俺達は困惑ではなく『あぁ、こいつまたなんかやってるよ』と横目に見るように適当にあしらった。
思ったよりも反応が薄かった故に、マーリンはショックでその場に立ち尽くしてしまった。
1人玄関の前に残されたマーリン。しょうもないネタを披露してスベるという最悪の結果だけがそこにあった。
心の中で泣いても、なんで反応しないんだとキレても不思議ではないが、彼女は微笑んでいた。それは決して嬉しいわけでもヤケクソになっているわけでもない。ただ彼女は――
『ふっ、私の心は燃え尽きたよ、真っ白にな』
燃え尽きてしまったのだ。
――――
家に帰ってきてからというもの、俺達はあまりの疲労で夕飯を食べることすら困難なくらいの眠気に襲われた……しかし、マーリンが頼んでくれた人数分の高級焼肉弁当が机に置かれた瞬間、俺達は目の色を変え、獲物を狙う肉食動物のように弁当を食い荒らし、順番に風呂に入った後、電池が切れたように一斉に夢の中へ誘われた。
次の日も休日ではあったが、疲労でそれどころではなく、みんなで引き籠もり1日体験コースを満喫し、さらに次の日には仕事か勉強に励み、何事もないいつも通りの日常を過ごした。
え、フーちゃんとのデートはいつにするかって? そうだなぁ……まあ、大会が終わって落ち着いたらかなぁ……。
――そして次の休日、生き残りをかけた試合が幕を開ける。
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