第408話『オーガスト・ディーンVSフー⑥』
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便利すぎる魔法ベスト3入りを果たした探知魔法に分析魔法……それらを駆使して得た結果、この部屋はおろかこのフロアにすら核が無いことが判明した。いや、そもそも核なんて最初から無かった。
弱点さえ突けばこの頑丈すぎる城だって一瞬で崩落できると俺は勝手に期待していた。それ自体が間違いとも気づかずに。
しかし、絶望することはない。確かに核は無いとは言ったが、この城自体が完全無敵の要塞というわけではない。
この城そのものがフーちゃんと繋がっているのなら、城を傷つければ彼女にダメージがいく。それを続ければ彼女はいずれ蓄積されたダメージに耐えられずに倒れるだろう。
炎魔法が効かなかったのはフーちゃん自身に炎魔法に耐性のある結界魔法を張っていたからだ。
元々顕現できた氷の城と、未来の魔法である結界魔法。未来の記憶を引き継いだからこそ出来た世界一頑丈な氷の城。まあ、世界でトップとは言っても、氷の城なんて芸当ができるのはこの世でフーちゃんくらいだろうが。
――俺はもう1つ重大な事に気づいた。そもそも俺がこの部屋に来たのは、ここにフーちゃんの反応が他の部屋と違って3人もいたからだ。きっとここに核があるに違いないと俺が勝手に勘違いしたのだ。
考えてみればフーちゃんには未来の記憶がある。未来の彼女……時の女神とはあまり面識は無かったが、未来にどんな魔法が存在するかくらいは熟知しているだろう。
つまり、彼女が俺が未来から来たことを知っているのなら、俺が未来の魔法である探知魔法や分析魔法を使って、ここに来させるように、あえてこの部屋に3人配置したんだとしたら?
まだ確信したわけではないが、嫌な予感がした俺は踵を返し、ドアノブまで手を付けたところで、扉は凍りつき、廊下への道を開く役割は一時的に凍結された。
『くそっ! ハメられた!』
どうやら俺の推測は当たっていたようだ。フーちゃんは最初から俺をこの部屋に誘き寄せたということだ。
『溶けろ、壊れろ!』
凍りついた扉を炎を纏った拳で殴りつけるも、溶けることもなくヒビ一つすらつかない。どうやら、これにも炎対策の結界が張ってあるようだ。
分析魔法によると壊すには氷を物理的に排除できるだけの力がいる。しかし、先ほど俺が実演したように素手でこの硬い氷を壊せるほどの力は無い。
それならば筋力増強魔法を使えば、ご主人様でも簡単に殴り壊せるぞ。と分析魔法は言った。
俺は筋力増強魔法を発動し、行く手を阻む氷を破壊しようとする。
『させない』
突然隣に現れたフーちゃんに風魔法で反対側に吹き飛ばされた。
『うおっ!』
同時に身体の炎も全て風に持っていかれ、また“炎神”状態を解かれてしまった。
『さっっっっっっっっむ!!!』
冷気漂うこの空間に炎を取り上げられ、さらに追い打ちをかけるように冷風が楽しそうにこの空間を暴れ回ることで、俺の身体は超絶な寒冷によって悲鳴を上げた。
ガタガタガタガタガタガタガタ。
寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒い寒――
ダメだ寒すぎて何も考えられない。
とにかく身体を暖めようと本能が頭と身体を無理やり動かし、“炎神”状態を発動しようとする。
しかし、せっかく発火した炎も獲物を狩り取るように風が持っていってしまう。
――こうなったら。
『か、かか、かかか、かか、かかか、か風に、ににには、か、か、か、かぜで、おし、おししかえ、かええええ、し、して、か、返してやる!』
風には風で押し返してやると言いたかったのだが、寒さに言語機能までもが震えているのでうまく喋れない。
だが風魔法はうまく発動できた。最悪向こうの風を押し返すことはできなくても“炎神”状態になる時間さえできれば上等だ。
そして互いの主人を守るため前へ押し切ろうと風と風が衝突した。
こちらが若干押してる状況だ。しかもこれで向こうの風がこちら側に届くことはなくなった。つまり、今なら“炎神”状態で発火した炎が風に煽られることはない。
『よし、今のうちに“炎神”状態だ!』
身体から炎を発火させ、今度こそ邪魔されずに“炎神”状態になることができた。
一方、風魔法同士の戦いもそろそろ幕が閉じようとしている。なんと俺の風魔法の方が押し切り、フーちゃんの方に自分の風魔法も含めて2倍返しで突風を受けた。すると、フーちゃんのスカートも激しくめくりあがり、またしても下着が見えてしまうという事故が発生した。
ほうほう、どうやら本体のフーちゃんと分身のフーちゃんの下着の色は同じらしい。
ついマジマジと下着を見てしまった俺に気づいたフーちゃんは頬を赤く染めて、必死にスカートを押えた。しかし、それでも激しい風はしゃかりきにスカートめくりに命を懸ける。
これには温厚なフーちゃんもさすがにキレた。
『時魔法“時間停止”』
――再び時計の針は休業に入り、世界は時を動かすことを一時的に忘れた。
だが、それも一瞬で終わる。
今回彼女が時魔法を使ったのは、これ以上スカートの中を見られたくなかったので、スカートめくりの主犯である強風から離れるためであった。
『どうせなら』
凍りついて機能しないこの世界でたった1人、銅像のように動かない彼の元へと歩き出す。
『■■■のばか』
無表情な彼女は彼の耳元でそう呟いた。その声は決して彼に届くことはないが。
『そして、時は動き出す』
――いつの間に俺の懐に立っていたフーちゃんは水魔法を纏った短剣が俺の横腹に刺さり――
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