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第33話『お兄ちゃんって鈍感だよね』

お待たせしました。

第33話できましたので、宜しくお願い致します。


※2022年4月2日改稿しました。



 ハーレムデート……それは、複数の女の子とデートするということだ! それ以外の何者でもない! 説明は以上だ!


 朝ブロンズちゃんにハーレムデートよ! と言われ、衝撃を受けた。そりゃそうだろう普通のデートはともかくハーレムデートなんて聞いたことがない。これはモテ期襲来か!? 美少女ばかりでキャッキャウフフを出来るのか!? 素晴らしい……ああ……ここは天国ですか……?


『お兄ちゃん、脳内キモすぎなんですけど』


 ブロンズちゃんは蔑むような目でこちらを見ている。我々の業界ではご褒美です! とよく言うが、俺の精神的にはかなりの大ダメージである。つまりこうかはばつぐんだ! あはははは!


『我々の業界では……ご褒美……? えぇ……お兄ちゃんの趣味の界隈どうなってるの? マジ引くんですけど……』


 ブロンズちゃんはマジでドン引きしたような目でこちらを見始めた。美少女の蔑みやドン引きが好きな人にはたまらないだろうな……。でも、俺のライフはもう0よ!


『お兄ちゃんのライフも0だし、サイフも0……いや、怪盗ゲームをやった時に私から借りたからもうマイナスね』


 ああ……そういえばそうだったね……残念魔王に外出許可を貰ったら、どうにか仕事を探して稼いで返そう。はぁ……なんか情けないな……。


『ふふふ……安心して、お兄ちゃんのようなダメダメ男には、常に私がついてるわ』


『ブロンズちゃん……』


『私が、一生お兄ちゃんの側にいてあげるわ……』


 ブロンズちゃんはそう言って俺を壁の隅に追いやり、バアン! と壁ドンした。トクゥゥゥンと俺の胸の鼓動が鳴る……これってまさか……恋……!?


『ブ、ブロンズちゃん……』


『ふふふ……一生……いじめ尽くしてあげるわ!』


 少女漫画のような雰囲気から一変、急にバイオレンスな雰囲気になった。


『うわああああああ! ですよねえええええええ!』


 そうだった……。ブロンズちゃんはそういう娘だった。さっきまでのイケメンモードから、嘘のように悪党モードに変わり、俺大ピンチ! 本能的危機が身体全体に染み渡り俺はその場から全力で逃げた。しかし人をからかうことに執着を見せるブロンズちゃんは待って待って〜と可愛らしく笑顔で追ってくる。その姿はまるで泣きながら逃げ惑う人々を追いかける鬼のようだ……。


『さあさあ、この首輪をつけなさい! 私特製の首輪よ! ありがたく私のペットになるのよ!』


 一体どこから持ってきたのかブロンズちゃんはそんな特殊なデザインの玩具を取り出した。


 首輪(あれ)をつけてしまえば俺は女王様(ブロンズちゃん)の奴隷になって、あんなことやこんなことをされてしまう。


『ぎゃああああああああああ!』


 年甲斐もなく大きな声で泣き叫んでいると――


『うるさいです! 何やってるんですか!』


 突然通りかかった近くのドアから鬼のような形相をした赤髪ちゃんが出てきた。


 やべえ、これまで見てきた赤髪ちゃんのブチギレ記録の中でダントツでブチキレてる……。


 これにはブロンズちゃんも恐怖を抱いた。滂沱の汗を流して、心の中ではあ、やっちまったっと後悔しているだろう。


『あの、その……ごめんなさい』


『お2人共……次は気をつけてくださいね……? じゃないと……おらああああああ!』


 赤髪ちゃんはとても美少女の喉から出たとは思えない野太い声を発しながら、壁を思いっきり殴った。その殴った部分の壁が赤髪ちゃんの拳の形に凹み、その凹みの中でいくつものヒビが入っている。


 この魔王城の壁はとても硬質な素材で出来てるらしいが……赤髪ちゃんのゴリラ並……いや、おそらくそれ以上の腕力においては、硬質な壁さんも『もう勘弁してください』と泣き出すだろう。


『これですからね、分かりますね?』


『『はい、以後気を付けます』』


 俺とブロンズちゃんは正座し、キレイに90度の姿勢で謝罪した。


『はっ! 私ったら取り乱してしまいました。申し訳ございません』


 ブチギレた後の赤髪ちゃんは我に返り、いつもの赤髪ちゃんに戻った。マジで怖かった……。


『あ、いえいえ、こちらこそ、ごめんなさい』


『あらやだ、壁が壊れてるじゃない。私、()()()()()なのに、ちょっと殴っただけでこんなにヒビ入るなんて……コラコラ壁さん、もっと踏ん張らないとダメだぞ☆』


 わざとらしくかわいこぶった赤髪ちゃんは、凹ませた壁に指をつけてそう言った。


 どこが弱い乙女なんですかねぇ……。そんなに可愛く言っても、きっと壁さんも『ふざけんな! この脳筋が!』とブチギレてるに違いない。


『ね、ねえ、お兄ちゃん、早く朝ごはん食べてデートしよ』


『そ、そうだね。赤髪ちゃん、それじゃ』


 俺とブロンズちゃんは赤髪ちゃんから逃げるように、迅速に食堂へ向かった。また下手に話して怒らせたら……ひえっ……考えただけで恐ろしい……。


『あの2人何か怪しいですね……』


 赤髪ちゃんがそうポツリと呟いた。一体()()()()()()()怪しいと言っているのか……。この時の俺は、まだ知る由もなかった……。



――そして食堂に着くと……。


『お! ブロンズ! ダストっちも! 昨日突然倒れたらしいじゃんか! 大丈夫?』


 そうか、俺、突然倒れたんだった。


『大丈夫だよ。心配かけてごめんね』


『そうか、大丈夫なら良いんだ! ほら、朝飯食ってきな!』


『お、待ってました!』


 その後俺は食堂で可愛いゴールドちゃんに癒されながら、朝飯を食べた。そんなゴールドちゃんを見ながら、俺はまさにご飯3杯行けるわ~という気分になった。


『お兄さん、ホントキモいわ。確かにゴールド姉は可愛いけどさ……』


『あぁ……ごめんよ、俺の妄想キモいよな……』


『別に良いわよ……一生軽蔑するけど』


『……えぇ……あの、ホントごめんね?』


 いつもの対応とは異なり、明らかに不機嫌だった。そんなに、俺の妄想が不快だったのかな……。


『お兄さんって鈍感だよね』


『え? どういうこと?』


『察して』


 そう言うとブロンズちゃんはさっさと食器を片付けて、その場を去ってしまった。なんか、悪いことしちゃったかな?


『ブロンズのやつ、急に機嫌悪くなっちまったなー、何で?』


 その様子を見ていたゴールドちゃんも、ブロンズちゃんの気持ちを察せなかったようだ。


『それがさっぱりなんだ……』


 なんかもやもやする……畜生! 俺も心が読めれば……!


『……ああ、ご飯ごちそうさま、美味しかったよ』


『おう、ありがとよ! あと、ブロンズの事よろしくな。理由は分からんけど、あいつ多分ダストっちに追いかけて欲しいんだと思うんだよ』


『そうなのか……?』


『伊達にお姉ちゃんしてるわけじゃねえからな、ガハハハハハハ!』


『うん、分かった。ありがとう! ゴールドちゃん』


『頑張れよ!』


 俺は、ゴールドちゃんに、グッドと親指を立てて、食堂を去った。




 《???視点》


『……本当はアタシの事も追いかけて欲しいんだけどな』


 ゴールドちゃんはダストの耳に入らないのを承知で最後に一言残して食堂を去った。その後ろ姿はどこか切なさを感じた。


『さて、最近引きこもってるまーちゃんの部屋へ愛情がこもりにこもった朝飯を届けてやるか!』


 今日もゴールドちゃんは元気に可憐に魔王城を駆け抜ける。




 ――――その頃、図書室では――――


『お? 何すか?』


 地の女神アースの前に現れた“誰か”は、ダストについてある情報を聞きたがっているようだ。


『いやいや、そんなの教えられないっすよ』


 どうしてもダメなのかとその“誰か”は問い詰める。


『ダメっすよ! だってその情報は()()()()()()()()()()()()()()()()()()くらい、危険なんすよ!』


 “誰か”は出直すと言って一旦退くことにしたようだ。だがまだ諦めたわけではないと言わんばかりに“誰か”はアースを睨み付けた。


『それが君の()()なんすか?』


 “誰か”は何も言わずに去っていった。


『……はぁ……ダスト君ここは危険だよ。()()()……あなたを狙ってるよ……』


 少しすると、さっきの“誰か”ではない、()()()()が、図書室に入ってきた。アースは幻の図書室なのに、こんなに客が来るなんて珍しいと思ったと同時に不気味さを身体全体で味わった。


『はーい……どちら様でしょうか?』


 入り口まで顔を覗いた瞬間、“別の誰か”はアースに向かって短剣を突き刺した。アースは突然の事で避けきれず椅子や机を巻き込んで、傷口から血を撒き散らし倒れてしまった。


『ぐはあっ……! お、お前は……!』


 アースちゃんの言葉はここで途切れ、力尽きて意識を失った。その時“別の誰か”には、憎しみのような悲しみような複雑な表情をしていた。

第33話を読んで下さり、ありがとうございます。

次回も、なるべく早く投稿したいと思います。

宜しくお願い致します。



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