表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
418/725

第406話『オーガスト・ディーンVSフー⑤』

お待たせしました。

第406話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 3人のフーちゃん……仮にフーちゃんA、フーちゃんB、フーちゃんCと勝手に心の中でそれぞれ呼ばせてもらう。


 フーちゃんAは氷の剣を持って反撃しようと待ち構えている。フーちゃんBは氷塊を俺にぶつけるつもりだ。フーちゃんCは氷で纏った拳を作って俺に殴りかかろうとする。


 全員同一人物といっても、戦い方がそれぞれ違うということは、分身ごとに思考が異なるのか。それともそういう作戦なのか。


 考えても全く分からんが、今ここで3人をどうにかしなければ敗北は免れない。


 とにかく目の前のターゲットを倒すことだけを考えろ。


 俺は身体の炎を使い、俺を守るように“炎の防壁”を張る。


 普段俺が使っている防壁魔法との違いは当然ある。メリットとしては“炎神”状態でいられる限り、魔力消費量が激減すること。デメリットは防壁魔法(オリジナル)よりも脆いことだ。


 ただ炎を纏う防壁である為、相性的に氷系の攻撃は防壁に傷ひとつ付ける間もなく消滅する。


 これで防御は完璧だ。


 ――さあ、来い。


 結果は、フーちゃんBが投げた氷塊とフーちゃんCの拳に纏った氷は情けなく溶けていき、跡すら残らず氷の床と同化していった。


『……』


 炎の防壁を前にフーちゃんCが立ち尽くした。


『隙だらけだ』


 俺は炎の防壁を押し出すことでフーちゃんCに物理的且つ熱いダメージを与えた。


『痛い、それに熱い』


 機械的に自分へのダメージを具体的に口にした。分身であろうと相変わらず無表情ではあるが、頭を押えて足元が一瞬ふらついている。


 ただ押し出したといっても、壁に激突するのと同じダメージだ。さぞかし頭が痛いだろう。ついでに火傷のような痛みも感じるだろう。


 分身とはいっても彼女もフーちゃんそのものだ。ダメージは通るはず。


 次は反撃の機会を伺ったフーちゃんAが痺れを切らしたのか、氷の剣を持って俺に斬りかかろうとする。


『おいおい、マジかよ』


 さっきフーちゃんBとフーちゃんCの攻撃が通らなかったのを見なかったのか? 氷の剣も例外なく炎の防壁によって溶けるのは明らかだろうに。


 そして氷の刃が炎の防壁に衝突する頃、案の定氷の剣は為す術もなく溶けていった。


 現在フーちゃんAの手にあるものは、数秒前まで氷の剣だったただの水滴(ざんがい)しかない。


 ほれ見ろ、言わんこっちゃない。


 俺は容赦なく炎の防壁をフーちゃんAに向かって押し出そうとすると同時に、フーちゃんAは手の中にある水滴を氷の床にバンと叩き付けた。


『……?』


 そのよく分からない行動に俺は数秒呆然としていたが、隙だらけの彼女に俺は火炎放射をお見舞いした。


 炎に飲み込まれたフーちゃんAは最初からいなかったように消え去った。核を守るという役目も果たせずに。


 さて、あとはフーちゃんBとフーちゃんCだ。仲間(ぶんしん)が消滅しても表情を変えることなく、先ほどと同じ攻撃を続ける。


『何度やっても同じだ』


 炎の防壁の前では氷塊や氷の拳など無意味。それを理解していれば同じように攻撃するわけがない。


 何か企んでいるのか、それとも単に分身は学習機能が低めに設定されてしまうのか。


 早いところ決着(ケリ)つけるか。


 俺は身体中に発火してる炎を爆発させるように燃え上がらせると、部屋全体が熱気に包まれる。


 するとどうなるか。氷系の魔法は放つ瞬間に溶けてなくなり、炎系の魔法は威力を上げる。


『全然ダメ』


『氷がすぐ溶ける』


 氷魔法しか使えない2人はろくに攻撃できずに、その場で立ち尽くしてしまう。


『一気に決着(ケリ)つけてやる……炎魔法“炎海(えんかい)”』


 部屋の隅から炎が生えたように現れ、次第に炎が大きくなり、やがて部屋全体を包む。


『熱い』


『立ってられない』


 2人は表情こそ変わらないが、身体は正直に()を上げた。


『苦しませる趣味はない。さっさと決めてやる』


 俺は周りの炎にこの部屋全体を焼き払うように命じると、その通りに炎はここら辺一帯を焼き尽くす。


 まさに火の海。逃げられることなかれ、(きぼう)など期待するなかれ。


『業火に焼かれろ』


 なんて厨二病くさいセリフを吐いてみたが、気分が上がらない。まあ、分身とはいえ焼殺するのは気分が悪いからかな。次からはこの戦法は取らないようにしよう。


 ――しかし。


『なんだ!?』


 突然、氷の床から大量の水が噴射した。それは(ぜつぼう)をかき消す希望のように、英雄のように、全てを鎮火させた。まるで俺が悪人だとでも言われたような気もした。


 でも、なんで床から水が……?


 そういえば、さっきフーちゃんAが消滅する前に床に手を叩きつけていたけど、もしやそれと関係が……?


 俺は慧眼魔法で氷の床を覗いてみた。


『やっぱりそうか』


 フーちゃんAが仕掛けたであろう位置に時限式の水魔法を使用した形跡があった。


 部屋の炎が完全に消えた途端、フーちゃんBとフーちゃんCは立ち上がり、再び俺に氷魔法を放った。


『切り替え早いな!』


 今の水で炎の防壁が脆いだけの壁になってしまったので、代わりに普段使用している防壁魔法を発動した。


 俺に向けて投げられた氷塊は防壁の前で弾かれ、(ひざまず)くように地に落ちた。


『こっちからも反撃だ! ってあれ?』


 身体の炎を燃え上がらせ……炎が全て消えていた。先ほど噴射した水を浴びて“炎神”状態ごと鎮火してしまったようだ。


 あぁ――思い出した。“炎神”状態は身体の炎を全て消されると解除されるんだったな。


 もう一度発動しようと思えばできるけど、別にいいか。最近解放された“ダストの記憶”を見て少し試したかっただけだし。


『よし、ここからは()()()()戦うとするか』


第406話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ