表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
417/725

第405話『オーガスト・ディーンVSフー④』

お待たせしました。

第405話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


『……』


 時の女神の記憶らしき映像を見た俺は今が試合中であることを忘れ、魂が抜かれたように呆然としていた。


『今のは……一万年後の記憶か……?』


 答え合わせをするまでもない。さっきの映像は紛れもなく一万年後の記憶だ。


 かつて俺達が正義教団へ赴いた時、時の女神と風の女神ウィンが突然失踪したと思ったら、別の場所で計画を立てていたということか。


『そうか、そういうことだったか』


 だったら、俺もやることやらなきゃな。


 俺は改めて気合を入れ直し、フーちゃんを探しに行く。


『浮遊魔法』


 俺は地から空気を足場に変え、そのまま空を飛ぶように城の最上階へ向かう。


『!?』


 上から、車1つ分よりも大きい氷塊が落ちてきた。


 防壁魔法を発動すればダメージを受けずに済むが、防壁の上に乗ったままの形になると弾くことはできないので、氷塊の重さに耐えられず落ちていくだろう。


 それならば――


『俺が“炎神”状態であることをお忘れか!』


 俺は両腕を前に出し、そこから氷塊を飲み込めるほどの炎を噴射する。


 案の定、さすがの氷塊もあっという間に溶けて液体となり、地へと落ちていった。


 しかし――


『なに……?』


 氷塊が影も形も無くなると、まるで突然現れたかのように手榴弾が目前にあった。


 しかも、通常刺さってるはずの安全ピンが見当たらない。もう間もなく爆発してしまう。


 ――なるほどな。氷の中に時を止めた手榴弾を入れて、氷が溶けた瞬間に手榴弾の時を動かすように仕掛けたというわけか。


 あぁ――ダメだこりゃ。回避できそうにない。


 肉片すら残さない威力の爆炎に俺は巻き込まれてしまった。


 熱い。熱い。熱い。熱い。熱い。


 でも、気持ちいい。もっと燃えてもいいくらいだ。


 “炎神”状態の俺には爆発は効かない。まぁ少しは痛いと感じることは感じるが、それだけだ。タンスの角に指をぶつける方がよほど痛い。


 爆炎から煙に変わると、その煙を突き抜けるようにして飛行を再開する。


『上から落ちてきたってことは、フーちゃんは上にいるんだよな』


 俺は確信を持って最上階へ目指す。


『今度は何だ?』


 次に上から落ちてきたのは氷塊ではなく、氷の剣の大群であった。


 氷の剣の軍隊は待ち構えていたように、俺を突き刺す勢いで襲いかかる。


 動体視力ゴミカスな俺にあの氷の剣の集団を全てかわすことは不可能だ。だが――。


『このまま串刺しになるのはごめんだ』


 ありがたいことに防衛策はいくらでも思いつく。


 最初は常に発火してる身体に氷の剣なんて突き刺さる前に溶けるだろうと思ったのだが、たとえ氷でも勢いがあれば溶ける前に俺をぶっ刺すことくらいはできるだろう。


 最悪死んだとしてもノルン様によって生き返れるとはいえ、痛いのは嫌だ。一本たりとも攻撃を通すつもりはない!


『防壁魔法だ!』


 シンプルに防御する手段としてはやはりこれが1番てっとり早い。これなら氷の剣にどれほどの力と勢いがあろうと、貫かれることはない。


 案の定、降り注ぐ氷の剣は順番に全て弾かれ、力尽きたように地に落ちていったり、普通に俺の身体の炎に耐えられず溶けていった。


『よし』


 氷の剣による脅威を全て弾くと、俺は更に上へ上へと駆けあがる。


『着いた』


 最上階へ足を踏み入れた。内装も部屋の数も1階とほぼ変わらない。異なる点といえば上へあがる階段が無いことくらいだ。最上階だから当然の話だが。


『探知魔法……って、え?』


 探知した結果、この階にフーちゃんはいることは間違いない。だが、このフロアの部屋()()にフーちゃんの反応がある。


『どういうことだ?』


 たとえフーちゃんが分身魔法で自分を分裂したとしても、分身したものと本物は探知した時点で気づくことができる。


 ところが、今回の場合は全ての反応が本物だと示している。


 ここは、訳が分からないとお手上げのポーズを披露するところだが、“ダストの記憶”の中に似たようなケースがあった。


 その記憶(けいけん)と今回の事象を照らし合わせると、これは恐らく()()()()()()()()()()()()()()()だと推測できる。


 それなら分裂したもの全てが本物と断定されるのも頷ける。だって、この城で作り出されたもの全てがフーちゃんの一部なのだから。


 となると、やはりこの城のどこかに“核”があることは間違いない。


 しかし、それがどこにあるのかは依然として不明のままだ。


『おいおい参ったな……』


 上から氷塊やら氷の剣やら落ちてきたからてっきり最上階にいるのだと思い込んでいた。この城そのものがフーちゃんであるのなら、どこから攻撃してこようと関係ない。


『このフロアに核があるとは限らないってことだよな……ん?』


 探知魔法で探知した結果をよく見ると、このフロアの奥の部屋のみ、フーちゃんの反応が3つほどあった。つまりその部屋にのみフーちゃんが3人いるということだ。


『なんでここだけ3人も……?』


 もしかしてここに核があるのでは? 普通に考えると守りが多いところに何か重要なものがあるのは確かだろう。


『……行ってみるか』


 俺は奥の部屋へ向い、躊躇なくドアノブを回した。


 中に入ると、探知した通り3人のフーちゃんが相変わらずの表情で待ち構えていた。


『よく来た』


『思ったより早い』


『なぜここが分かった?』


 同一人物の3人は順番にそれぞれ違う言葉を発した。慧眼魔法で魔力の流れを見ても、僅差すらなく魔力の量も流れも等しいものであった。


『探知魔法だ。ほら未来の記憶の中で俺が使ってただろ?』


『そういえば』


『言われてみれば』


『確かに』


 3人揃って失態を犯したと気づいた。


『せっかく未来の記憶を持ってたのに……』


 いくら情報を得ていても、それをちゃんと有効活用できなきゃ意味がない。


 まあ、とはいえ、フーちゃんは今日未来の記憶を受け継いだばかりみたいだし、全てを受け入れて情報の有効活用をするのは難しいだろう。俺だったら情報過多で脳がぶっ壊れる自信があるわ。


『やっぱここに核があるんだな?』


 そう聞くと、3人は表情を変えないまま、あたふたと動き、攻撃陣形を作り始めた。


『その反応はもう正解ってことだな?』 


『……』


『答えずか、まあ答え合わせをするまでもない!』


 俺は身体の炎の勢いを上げて突撃する。


第405話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ