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第403話『オーガスト・ディーンVSフー③』

お待たせしました。

第403話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 ――美しい。


 全てが氷でできた城。文字通りの氷の城。


 おとぎ話やファンタジーでしか見たことのない幻想的且つロマンチックが確かに俺の目の中に映っている。


『すげえ……』


 綺麗なのは良いのだが、やはり“氷の城”というだけあって、近くにいるだけで身体が寒さに反応して震動を始めてしまう。


 寒さに弱い“炎神”状態であれば尚更だ。


 せっかくフーちゃんが丹精込めて作った氷の城だが、試合中である以上、俺に都合の悪いことが起きるのは確かなので、俺は炎の勢いを強くして氷の城を溶かしてやろうと目論む。


『うおおおおおおおおおおおお!!!!! 溶けろおおおおおおおおおおおおお!!!!!』


 俺はらしくなく熱血キャラのように叫ぶも、氷の城は燃え盛る炎に屈する様子はなく、当然のように美しさを保っている。


『なんだこれ! 全然溶けねえぞ!』


『氷の城は頑丈。溶解はもちろん破壊も受け付けない』


 氷の城からフーちゃんの声が鮮明に聞こえた。その城にはスピーカー機能でもあるのだろうか。


 それよりも参ったな、炎を近づけても一切溶けず破壊すら適わない氷なんてどうやって対処すればいいんだ……?


『そして私のパンツも見えない』


 さっきパンツめっちゃ見えてたの気にしてたんかい。無表情だし、スカート押さえる仕草すらしなかったから分からなかった。


『まあいいけど』


『いいの?』


『やっぱダメ。今更恥ずかしくなってきた』


『フーちゃんも恥ずかしくなることあるんだ』


 かわいい。


『ある。私だって、いや私は()()人間』


『ああ、そっか。そうだよね……』


『話すの楽しい』


『それは良かったよ』


『もっとあなたと話したいけど、今は試合中』


『そうだな』


『今度はこっちから仕掛けるよ』


『いいよ、かかってこい!』


 お互いに戦闘モードに戻ったところで、フーちゃんが宣言通りに先に仕掛けてきた。


 氷の城の扉が開くと、身体が氷でできた兵士の軍勢が列を成して現れた。


『な、なんだこいつら!?』


 行進していくように前へ前へ進むと、一番前の兵士がターゲットを定めるように俺に剣を向けた。すると後ろの兵士もそれを真似るように剣を向け、一斉に突撃する。


『やっぱ、そうなるよな……!』


 俺は臆することなく、氷の兵士を全部溶かすつもりで身体の炎を更に激しく燃え上がらせる。


 その状態で氷の兵士を迎え撃つ。


 俺は腕を前に出すと、そこから火炎放射の如く炎を吐き出し、氷の兵士を炎の中へ誘う。


 熱に晒された氷の兵士は徐々にその形を失っていき、やがて床に飲まれるように消えていく。


 1体とか2体だけなら対処は簡単だが、それが何百、下手をすれば何千という数だ。しかも氷の城が存在する限り無限に氷の兵士が湧き続けるというチート仕様のようだ。


 さすがにこいつら全て焼き尽くすのは労力と魔力の無駄だ。なるべく兵士の相手はしないようにしよう。


『全部相手にしてられるか!』


 俺は前に立つ兵士だけを“炎の剣”や炎魔法で倒し(焼き)ながら、城へ近づく。それ自体は難なく達成できるのだが、肝心の城が溶けない。


『なっ……!?』


 あまりにも強固すぎた。どんなに城に攻撃してもびくともしない。


『ちっ、こうなったら……』


 俺は浮遊魔法で城の門を飛び越えた。


 “ダストの記憶”でも俺自身の経験上でも、絶対に壊れない城なんてあり得ない。必ずどこかに“核”があるはずだ。


 でもきっと外側にあるわけないよな。となると城の中にあるはずだ。


『どこかに……入口があるはずだ』


 俺は襲い来る氷の兵士を倒しながら、城を見渡す。


『あれか!』


 城全体が氷一色なので少し分かりづらいが、扉らしきものを見つけた。


 俺は氷の兵士に追われながら、その扉に手をつけた。


 やはり城というだけあって扉が大きい。多少強い力を込めて押さなければ開かないだろう。というかそもそも鍵が空いているのか。


 俺は扉を押してみると、鍵が掛かってないどころか片手で軽く押すだけで開いた。


『え、こんなあっさり……?』


 簡単に開きすぎて逆に罠じゃないかと疑いつつも、他に入る方法が無さそうなのでおそるおそる入ることにした。


 俺が完全に中に入って進むと、扉はまるで意志があるかのようにバタンとひとりでに閉まった。


『なんてベタな』


 ありきたりすぎる展開に思わず笑みを浮かべた俺であった。


 氷の兵士が扉を破って追ってくると思って警戒もしていたのだが、何故だか追っては来なかった。


 城の中には入れないのか……?


 それならそれで好都合だが、得体が知れない陣地の中にいる以上は警戒態勢を解除するべきではない。この城の中だってどんな罠が潜んでいるか分かったもんじゃない。


『さて、これはどう進めばいいのか』


 ――選択肢はいくつかある。


 ① 階段を登る。

 ② 1階を探る。1階には見渡す限り部屋がいっぱいあるので片っ端から入ってみる。

 ③ 階段は使わずに浮遊魔法で一気に上まであがる。


 果たしてどこにフーちゃんがいるかだが……どこだろうか?


 普通に考えれば最上階にいるのが定石ではあるが……。


『うーん……………………………………………………』


 ――考えても答えは出てこなさそうだ。


『とりあえず階段を上ってみるか』


 俺は透明感あふれる階段に足をつけようとした――その刹那――


『あれ?』


 ――気づいたら、俺は逆さまの状態で宙に放り出されていた。


 どうやら、俺は氷の階段を上っている最中に()()()()()()しまったようだ。


 そして――


 ゴォン、ボキ。ドサッ……。


 城の中で俺は鳴らしたことがない鈍い音を奏でた。その音が鳴り終わると、演奏会や祭りが終わった後のようなしんみりとした空気が流れた。


 ――彼はそれから二度と音を鳴らすことはなかった。だって、そこにあったはずの楽器(いのち)はもうないのだから――。





 ――という未来予知を見た。


 氷の階段に足をつける寸前のことだった。


『危ねえ!!!』


 俺は足を下げて、階段から距離を取った。


『階段で行こうとすると()()()()のか。怖ぇ〜』


 今回はすごい滑りやすい階段だったから未来予知のようになったんだろうが、普通の階段でも今後も気をつけて慎重に上り下りしないとな。


 というわけで①の階段を上るはハズレの選択肢というわけだ。ならば次は②の1階の探索を選択しよう。


『よし』


 次の目的(やること)を決めると、俺は念のため防壁魔法を張った状態で、1番近い扉を開けた。


 そこで俺が見た光景は――


『これは……!?』


第403話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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