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第395話『オベイロンVSファーストドライヴ②』

お待たせしました。

第395話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 《ファーストドライヴ視点》


 ――私は今、試合をすると同時にやらなければならないことがある。それは、ダスト(オリジナル)がここに戻ってくるまでこの試合を長引かせる……つまり時間稼ぎをすることだ。


 彼は今あるトラブルに巻き込まれている。数十分前、彼の生徒に起きたトラブルを解決するために一旦日本(むこう)へ戻った。しかし、思った以上に事態が深刻化してしまい、なかなか戻れずにいる。


 もし、この第7試合が終わるまでに彼が戻って来なかった場合、大会のルールに則り、彼は不戦敗となってしまう。そこに温情も例外もない。


 私個人からしたら完全に他人事なので、本来ならば一ミリも気にする必要はないのだが、私には(オリジナル)の記憶が備わっており他人事とは思えなくなっている。


 それに、“あるデータ”によると、彼が強くならなければ未来を変えることはできないと判明している。


 その為には、まず彼とフーと試合をするという過程が必要なのだ。この事はフーには既に話してある。彼女はあまり表情に出さないからなかなか分かりづらいが、意外にもこちらに協力的なようで、話が早かった。


 あとは、この試合で私がひたすら防御し続けることで、試合を長引かせる。


 (オリジナル)が帰り次第、私は防御体勢を解除し、猛攻撃の末、オベイロンさんを倒す。彼には悪いけど、未来を救うためにはそれしか方法がない。


 ――さて、現在進行系でそのオベイロンさんからの攻撃を全て()()魔法で防いでいるわけですが、それでも諦めずに戦闘を続けています。それも色々なパターン、たとえば空を飛んで上から攻撃してきたり、“氷の力”で氷塊を放って、それを“風の力”で追い風を立てて、強い力でぶつけてきたりと、他にも色々工夫していたようだけど、どれも私には通用しません。


 そもそも防壁魔法を張っている限り、私は無敵です。文字通り防ぐ壁ですから。


 本来なら防壁魔法はこの時代では使えない、というか概念すらない未来の魔法を使えるのは、本体(オリジナル)の記憶が頭の中にあるからだ。その概念が身体に記録されているからこそ使えるのだ。ただ存在を知るだけでは使えない。


 精霊界の王がどれほどの力を使えるのかは分からないが、彼の戦い方を見る限り、属性の種類はこちらと比べて天と地の差があるようだ。


 となれば、色々な戦術を行使できるこちらが圧倒的に有利だ。とはいえ、それは魔法や精霊の力のみで考えた場合だ。残念ながら私には格闘術や剣術はほとんど心得ていないのに対し、オベイロンさんの身体能力はかなり高めだ。私は存じ得なかったが、聞いた話だと以前よりも力が増しているそうだ。


 なので、もし私が魔力切れを起こした場合、私の負けは確定する。


 まあ、魔力量が豊富な私にそんなことは起こり得ないのだけれど。


 たとえば、このまま防壁魔法を1日中張り続けても、まだ半分以上は魔力が残っているだろう。他に魔法を発動しなかった場合の話だが。


 はぁ、退屈だ。本当ならこちらも攻撃を仕掛けて一気に決着をつけたいのだが、まだ本体(オリジナル)が帰ってこない。もしトラブルが解決してこちらに戻ってくる場合は、すぐにノルン様からテレパシーで知らせてくれるのだが、その気配が一切ない。


 早くしてくれないだろうか。別に負けそうだからではなく、単純にこのまま立ってるの疲れるし、早くミルクココアでも飲みたいのですわ。


 はぁ……。


 早く、早く早く早くしろ、早くしろ早くしろ早くしろ早くしろ早くしろ早くしろ早くしやがれ早くしやがれ早くしやがれ早くしやがれ早くしやがれ早くしやがれ早くしやがれ早くしやがれ早くしやがれください、ねえ本当に早く早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早早――


『――そうか、それならば私が早々に決着をつけてやろう――』


 え……?


 なぜ、私の心を――


 刹那、私の防壁はガラスが粉々になるような感じで崩れていった。


 無論、解除などしていない。魔力切れを起こしたわけでもない。


 ――まさかと思い、彼の方を見てみると、そこにはたった今、剣を振り終えた美しき戦士の姿があった。明らかに彼が何かを斬ったのだろうが、私の防壁は斬れないはずだ。どんな攻撃でも防ぐものだからだ。しかし、現に今、私の防壁は壊された。


 一体どのような手を使ったのだろうか?


『あなた、今何をしましたの?』


 あくまで冷静に、まだまだ余裕であることを示すために微笑みの表情は崩さない。


 すると、オベイロンさんは息を切らしながら、


『なに、ちょっと試しに斬ってみただけだ……()()()()()をな』


 先程の行為の説明をすると、汗を拭いて剣を構え直す。


『魔法の根源ですって……?』


 確かに魔法だろうと何だろうと、物質である限り必ず根源は存在する。しかし、それは目に見えるものではない。見えたとしても、ただ斬っただけで破壊できるものではない。


 私の疑問に答えるように、オベイロンさんがさらに詳しい解説をしてくれた。


『ああ、私には“精霊眼”というものがある。それは眼に見えたものの根源を見ることができるのだ。でもまあ、先程まではただ見えるだけだった。だが、試しに根源を斬ってみたらこの通りだ』


『精霊眼……』


 当然ながら聞いたことがない。魔力の流れを見ることができる“慧眼魔法”のようなものだろうか。それが視力ある限り、常備されている状態か。なかなか厄介だ。


『先程私の心を読んでいたようですが、その精霊眼はそんなことも出来てしまうのですか?』


『いいや、私達精霊の力を持つ者は元々人の心を読むことがあるのだ。コントロールできないのが玉に瑕だがな』


 つまり、タイミングを選べないということか。それに関してはなかなか不便ではある。心を読まれることに関しては、あまり脅威に思わなくても良さそうだ。彼が嘘をついていなければだが。


 しかし参りましたわね。まだ本体(オリジナル)が帰ってこないのに、時間稼ぎが難しくなってしまった。どんなに防壁を貼っても根源を破壊できてしまうのなら意味がない。


 もはや、私の敗北は決定した。どんなに抵抗したところで無駄なのだから。


 ――なんて、ここで降参するほど諦めが早い私ではありません。それは本体(かれ)の為ではなく、私自身の為、叶えたい願いがあるから――。


『岩石魔法!』


 私は私の周りに、人の胴体くらいのサイズの岩石を6つほど浮かせた。咄嗟の防御にも使えるし、投げて攻撃することもできる。


 その他にも魔法はいくらでも覚えている。戦術ならいくらでもこの頭に入っている。


 まだ負けたわけじゃない。むしろ私の絶対防御を剥がして、ようやく彼は私と同じ土俵(フィールド)に立ったのですから。


 ――ここからが、彼との本当の戦いだ。そして――


『ごめんなさいね、オベイロンさん。私、諦めが悪いんですの』


 というか、もしろくに時間稼ぎ出来なかったら、ノルン様に叱られる……。


 罰として、“シュバルツシルトトマトブラッドバーニングラインヴァイズ“を無理やり喰わされる〜〜〜〜〜!!!


 それだけは……阻止しなくては!!!


 ――そう、これはノルン様との戦いでもある。色々な意味で。


第395話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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