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第385話『ヒルドVSセカンドドライヴ①』

大変お待たせしました。

遅れてすみません。

第385話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 本来であれば、弾丸くらいハエを払うように素手で弾ける。何なら身体で受け止めても多少痛いくらいで済むだろう。しかし、ヒルドが撃ったものとなると話は別だ。


 一般的に知られる拳銃は弾丸を装填して撃ち込むものだが、ヒルドが持っている銃は火薬等を必要とせず、ただ魔力を込めれば、それを塊にして弾丸のように放つことが出来る特別な武器だ。その威力・スピードは普通の弾丸を凌駕する。


 ――セカンドドライヴの強靭な肉体さえも貫くほどの力を持つ。



『……』


 セカンドドライヴは僅かな時間の中で咄嗟に身体を数センチ動かして回避しようとするも、頬を掠めてしまう。


 とはいえ、まともに直撃していたら、セカンドドライヴでも目を潰されて大きなダメージを負っていた。それを頬をほんの僅か抉られただけで済んだのだから、かなりマシな方だ。


『こちらから行くぞ』


 セカンドドライヴは反撃しようと前へ踏み出そうとするも、今度は足下に向かう弾丸があった。それもあと数十センチの距離で。そうなるともはや回避は不可能だ。


『なに……?』


(いつからそこに弾丸が……? 音なんてしなかったぞ?)


 いつの間にヒルドが引き金を引いていたようだが、一切の発砲音も無く、そこに弾丸があったことすら認識できなかった。


(どうやらあの拳銃……無音で発砲することもできるようだ。少し目線を逸らさせるだけで、今のこの状況のように弾丸を避ける間すら無くなるということか。厄介だな)


『やるな』


 回避するだけの時間(インターバル)はない。セカンドドライヴはやむを得ず左足を負傷することを許し、それでも尚、可憐な銃撃犯の間合いを詰めようと足を動かす。


 そんなセカンドドライヴを見ても表情1つ変わらないヒルドは、戦闘スタイルを変えることなく銃弾を撃ち続ける。


 セカンドドライヴは負傷した足を容赦なく働かせ、迫りくる鉄の雨を全て回避する。


『やっぱセカンドドライヴ君はすごいね〜』


 ここでヒルドは拳銃をレッグホルスターにしまうと、次は魔法で“光の剣”を作り出した。


 剣を持って構えるのかと思いきや、剣を槍投げのような持ち方をすると、本当に槍のように垂直に投げた。


 ――光の剣は、レーザー砲のようにセカンドドライヴに襲いかかる。それも1本ではなく、何本も何本も。


 ヒルドは光の剣を作り出しては投げるという行為を何回も繰り返している。


『ちっ』


 さすがに表情を歪ませるセカンドドライヴは、剣のマシンガンを何とか全て避け続けるも、負傷した左足がセカンドドライヴの思いに応えきれず、飛んできた1本の剣が頭に突き刺さる――ところだったが、代わりに右腕を盾に使った。


『ぐっ……』


 頭に直撃するよりはマシとはいえ、これでは右腕が使い物にならない。回復する手段が無い限り、セカンドドライヴが最も得意とする格闘スタイルが脆弱のものとなった。


 だが幸いな事にセカンドドライヴは一応6属性魔法を使うことができる、それも器用に。なので戦う手段が完全に絶たれたわけではない。


『やはり、やるなヒルド。正直1番手強い相手だとは思っていたが、ここまでとはな』


 セカンドドライヴは柄にもなく、ヒルドにコミュニケーションを取ろうとするが、当のヒルドは、それでもお構いなしに光の剣を投げまくるが、話には付き合う姿勢を見せた。


『えへへ、褒めてくれてありがと〜。褒めてくれるのは嬉しいんだけど、今、戦闘中だよ〜』


 ヒルドはそう言ってセカンドドライヴに向けて、戦闘中に気を抜くなと言わんばかりの圧を出してきた。さらに怒りの表れか、光の剣を作るスピードを上げてきたが、セカンドドライヴは光の剣を全て回避しつつ、済ました顔で会話を続ける。


『分かっている。こうやって戦闘中に会話するのも戦術の内なんだ』


『なにそれ〜、普段あまり喋らないセカンドドライヴ君にそんな戦術があるとは思えないんだけど〜』


『確かに普段の俺なら使わない手段だ。では逆になぜ俺がこうしてヒルドと会話しているのはなぜだ?』


『知らないよ〜』


『分からんか? お前は会話すると集中力が僅かに欠けることを』


『あ』


 ヒルドは気づいた。自分は会話しても射的精度は変わらないと思っていたが、確かにほんの僅かにズレていることに。


 ヒルドが自分の過ちに呆けていたその刹那、セカンドドライヴは全力で走り出した。血だらけになっているはずのその足で。


 不思議に思うヒルドはセカンドドライヴの足を見ると、弾丸に貫かれた時にできたあの痛々しい怪我は、きれいさっぱり()()()()()()()


 ――実はセカンドドライヴには人類を超えた治癒力がある。それはほんの数分動かさずにいるだけで、よほど深い傷でなければ治ってしまう。


 戦場にいる以上、たった数分であっても全く動かさずにいることは難しい。しかし、先程セカンドドライヴがヒルドに会話を持ち掛けて時間を稼いだ事で完全回復させる事に成功したのだ。


 そのあり得ない光景を見てもヒルドの表情が変わることはなかったが、僅かに動揺している部分が見て取れるのかもしれないが、実際はどうだろうか。それは本人のみぞ知る。


『全く、デタラメだよ君は……でもね、私だって伊達にノルン様のそばに立っていたわけじゃないんだよ〜!』


 ヒルドは“雷の剣”“氷の剣”“光の剣”をそれぞれいくつか出して、それらをマシンガンのように投げつけた。それからヒルドはセカンドドライヴに向かって、飛んでいく剣と共に走り出した。拳銃を発砲させながら。


 剣とほぼ同スピードで走るヒルドだったが、引き金を引くと途端に止まり、セカンドドライヴをその場に留まらせるように足元に発砲し続ける。


(しまった、このままでは避けられない!)


 銃弾に翻弄されるセカンドドライヴは、なんとかこの状況から脱出しようとするも、放たれる弾丸が邪魔すぎて身動きが取れない。彼が危惧するようにこのままでは無数の剣に貫かれ――


『う……ぐおっぐおおっぐおおおおおおおお…………!』


 ――そこに在るのは“剣の花”。背中から生えたようなその無数の刃にはどれも濃い目の赤い彩りがついており、より凄惨さを際立たせている。


 ――まるで花が咲いたようだった。赤い水を成長源にして。


 その姿をシルエットだけで見るなら、それを人だと思う者はいないだろう。それこそ植物だと思うこと間違いなしだ。あるいはモンスターとも思うかもしれない。


 ――この時、ヒルドは思った。私はその気になれば、人をあのように猟奇的に殺すことすらできてしまうのかと。セカンドドライヴはあの程度では死なないとはいえ、やり方があまりにも残忍だ。


 己の戦い方の歪さを自覚したヒルドは自分が怖くなった。もし、自分が理性を失い、ただ人を蹂躙するだけの兵器になってしまったのなら、私は――


 “また花を咲かせてしまう”


第385話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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