第384話『選手の想い〜ヒルドとセカンドドライヴ〜』
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4回戦はサンの降参により、あおいちゃんの勝利という結果に終わった。控室で映像を見ていた時はハラハラドキドキだったが、無事に勝てて良かった。内心めちゃくちゃホッとしたわ。
それから程なくして医務室にあおいちゃんとサンが運ばれた。この2人は意識がなくて当然として、3回戦で戦ったパーシヴァルとフレイも未だ目を覚まさない。
ルカちゃんとルカヴァちゃんはとても心配していたのだが、それは決して命に別状があるわけではなく、ただ回復に時間がかかるだけだ。直に目を覚ますだろうと、ヴァルハラ専属の医師から言われたし、心配しなくて大丈夫だろう。
『いや〜でも流石だな、あおいちゃん』
『はい、あおいさん凄かったです!』
ルカちゃんも、あおいちゃんの勝利を喜んでいる。
俺もあおいちゃんとは長い付き合いだ。彼女とは本当に色々あったが、今では家族のように思ってる。というか一緒に暮らしてるからもう家族同然だ。だから、あおいちゃんの勝利は俺たちにとっても大変喜ばしいことなのだ。
『シアンちゃん凄かったね〜』
『ヒルドさんはいよいよ次ですね』
『うん〜、セカンドドライヴ君結構強いんだよね〜。既に私よりもレベル高いみたいだし……だから私も死ぬ気で戦わなきゃ。ダスト君、私のことめっちゃ応援してね〜』
ヒルドさんは上目遣いでそう言いながら、俺の両手を包むように握ってきた。
『も、もちろんです!』
やばい、可愛くてキュンときてしまった。
ちょうどそのタイミングで従者が来て、次の試合の選手を呼びかけた。
『ありがと〜、じゃあ行ってくるね〜』
『はい、頑張って下さい』
ヒルドさんとチートイケメン効率厨野郎はバトルフィールドへ向かった。
――さて、次の試合はどんな感じになるのか。ヒルドさんも相当強いし、イケメン嫌味男の方は生まれたばかりにも関わらず、今はとんでもないレベルになっているらしい。
ただ戦闘経験でいえば、ヒルドさんの方が豊富だ。しかし、あの効率厨の事だ。既に対策も考えてるんだろうなぁ……。
ヒルドさん勝て! あんな効率の事しか頭にない奴なんてぶっ潰しちまえ!
多少私怨も入っているが、それがなくてもヒルドさんに勝ってほしい。彼女はちょっと変わった人だけど、何だかんだ面倒見はいいし、色々お世話になったし、可愛いし。
『ふーん、ディーンさんはやっぱり大きい人がいいんだ?』
ルカちゃんは少し不機嫌そうにそう言った。
『ル、ルカちゃん? いきなりどうしたの?』
『ふんだ、ディーンさんのえっち』
そう言い捨てて、彼女はマリンの元へ向かった。
『えぇ……俺、別にヒルドさんの胸ガン見してないんだけどな』
――――――――――
《ヒルドの場合》
うーん、私の願いか〜。今は特に思いつかないかな〜。
でも、強いて言うなら、みんなと楽しいことしたいかな。旅行だったり、飲み会だったり、美味しいもの食べ放題っていうのもいいかも〜。
まあ、それなら2位の賞金で色々できるし、3位の旅行券でもできるから、正直優勝まではしなくてもいいかなとは思ってる。
まあ、それもまず私が彼に勝てればの話だけどね〜。なんせ1回目からよりによって、あのセカンドドライヴ君だから正直勝てる自信は無い。でも、やるだけやってみる〜。
だって、ダスト君に応援されちゃったからね。負けるわけにはいかないんだ〜!
――――――――――
《セカンドドライヴの場合》
俺はただ目的を果たすだけだ。これはその為の過程にすぎない。
俺は強くなるためにモンスターを効率良く狩っていたが、これだけではダメだ。確かにレベルは上げられるが、戦闘経験が足りない。
この世界のモンスターは行動パターンというものが存在する。元々倒される前提で用意されたものだから当然ではあるが、意志のある敵と戦う場合はどうだ。サンのような単純な思考を持つ者ならある程度は把握することができるが、ルカ・ヴァルキリーやマリンのようなトリッキーな戦術を錬る者相手の行動パターンを把握するのは容易ではない。
だから試合相手のヒルドの情報を集める必要があった。奴は参加者の中でもかなりの手練だ。俺も本気を出さなければ負けることもあるかもしれない。
周知の事実ではあるが、ヒルドは俺とは違い、戦闘経験が豊富だ。戦い方を熟知している者との戦いは俺も初めてだ。
この先ゼウスを倒すには、ありとあらゆる情報を得る必要がある。その為にモンスター以外との戦闘経験が欲しいのだ。
それ以外に欲しいものなどない。たとえ優勝しようと俺の願いはゼウスを倒すのみだ。叶えたい願いは自分で掴む。
あとは、そうだな……俺はあいつらを――
――――――――――
2人の選手はバトルフィールドに立つ。
『セカンドドライヴ君、宜しくね〜』
『ああ』
ヒルドは相変わらず無表情のままで、拳銃を構える。一見すると迫力は無いが、戦意と殺意は確かにそこにある。それをセカンドドライヴは当然のように感じ取っている。
彼もヒルドへの対策は済んでいる。事前にいつ誰と当たってもいいように参加者になりそうな人物を割り出して研究していたのだ。それも効率良く。だが、ヒルドもセカンドドライヴの戦い方を見ていた。それは師匠風を吹かせるように、仕事を適度にサボりながら。
この時点で互いの手の内は晒しているようなものだが、それでも培った経験を元にヒルドはセカンドドライヴを抑えることができるだけの可能性が大いにある。
しかし、逆にセカンドドライヴに有り余る力に蹂躙される事も危惧しなければならないことには変わりないが。
『これより第5回戦、“ウルトラキュート看護婦ヒルド”VS“孤高の効率厨ダストオリジン・セカンドドライヴ”の試合を始める!』
(ちょっと待て、効率厨とは何だ? どういう呼び名なんだ? 一体誰がそんな称号をつけたのか? もしや俺に疑問を感じさせて不意を突かせやすくする作戦なのか? だとしたら見事だ)
セカンドドライヴが気を取られている間に弾丸が眼前に――
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