第379話『戦闘狂の想い〜パーシヴァルとフレイ〜』
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2回戦が終わると、俺はルカちゃんの勝利を讃えに控室を飛び出した。医務室にいるだろうが、ついでに1回戦で飛び出したパーシヴァルも呼び戻さなきゃな。
その道中、曲がり角で、どこかで見たことがある緑髪のメイド美少女に衝突しそうになった。
『あ、ごめんなさい』
緑髪の美少女は盛り上がった胸部を揺らしながら、心底申し訳なさそうに目を逸らし、すぐにその場を去った。
『……』
――俺はかつて、彼女と同じ緑髪の女の子に会ったことがある。そいつはお人好しの騙されやすいアホで、俺が最初に会った時には猪になっていた。しかも、ややナルシストで、ことあることに自分は美少女など巨乳など、空気を読まずに自己主張していたものだ。
でも、彼女は俺達が魔王軍に所属している事を知っても尚、協力してくれた数少ない仲間でもある。厚意を振りまけば誰にでも良い人認定するような奴だからかもしれないが、それでも魔王軍という立場が世界にとって犯罪者側だと言うことは、いくらアホでも分かるだろう。
でも、あいつは“親友だから協力するのは当然じゃないですかぁ“、とか言いそうだな。
そういう奴だよ、全く……だからお前は騙されやすいんだぞ。
――あぁ、気づいたら眼から謎の汗が出てきたな。何の病気かな、早く拭かなきゃな。
『……あいつらに……会いてえよ……』
全く……何でまた泣くんだ俺は。もう散々泣いただろうが。いや、泣いてないけど。
さて、泣き言はここまでだ。顔に張り付いた謎の汗を拭き取ると、俺は最初の目的地へ向かった。
『ルカちゃん!』
医務室に到着すると、そこにはベッドの上で談笑してるルカヴァちゃんとパーシヴァルとルカちゃん、シャイとマリンの姿もあった。
1回戦が終わったあとのルカヴァちゃんは意識を失っていたが、どうやら無事に回復したようだ。しかもノルン様の権限は使わずに。
『あ……ディーンさん……』
『おお、主人も様子を見に来たのか』
『ディーンさん来てくれたんだ、ありがとう。ところでちょっと話があるんだけど』
『……』
『オーガスト・ディーンって貴方ね、ちょっとルカちゃんを交えて、お話したいことがあるんだけど……』
俺が来るなり、5人はそれぞれの反応を披露してくれた。ルカちゃんとマリンからは何故か圧を感じる。どことなく怒っているようだ。俺、またなんかやっちゃいました? 悪い意味で。
決して2人のお話を聞きたくないから誤魔化したいというわけではないが、何よりも先に俺はルカちゃんの勝利とルカヴァちゃんの戦いっぷりを讃えた。
『ルカちゃん、お疲れ様。マリンさんに勝つなんて凄いね! もしかしたら俺よりも強いかもね! ルカヴァちゃんも、惜しかったね! もう少しで勝てたかも、でもあそこまで戦えただけでも凄いよ! 次もこういう大会があったら、きっと勝てるかもよ!』
2人への健闘を絶賛すると、ルカヴァちゃんは頬を少し赤くして小さな声でお礼を言い、ルカちゃんは『ありがとう』と圧の無い満面の笑みを見せてくれた。
『あ、そうだ。パーシヴァル、次はお前の番だぞ』
『やべ、そうだった!』
パーシヴァルはルカヴァちゃんに、『じゃああとでな』と一言添えた後、全力で控室へ向かった。
そんなパーシヴァルを見送ると、マリンは目が笑ってないが笑顔で俺に寄り添い、マリンの胸をガン見したことに関して、ルカちゃんを交えて、不毛な言い争いを繰り広げることになるのだが、それはまた別のお話。
――――――――――
《パーシヴァルの場合》
賞品なんて特に興味なし! ただ強い奴と戦いたいから参加した! ただそれだけ!!!
でも、まあもし優勝したら、頭の隅でずっと引っかかってる“記憶喪失する前の私”の記憶を復元してもらおうと思ってる。思い出さない方がいいこともあるかもしれないが、中途半端は嫌いだ。どうにか思い出してスッキリしたい。
2位の1000万は、まあ主人やみんなと美味しいものでも食べに行ったり、テーマパークとか行くのもいいな!
3位は世界旅行だっけな、強い奴を探しに行くという意味では世界を巡るのも悪くないな!
まあ、私が今語れることはそんなところだな。
あぁ、早く戦いてえ!
――――――――――
《フレイの場合》
うるせえ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!
いいから早く戦わせろ!!!!!!!!!!!!!!!!
――――――――――
戦闘狂の2人がバトルフィールドに立つと、両者既に興奮状態に陥っており、試合開始の銅鑼を鳴らす前に、武器と武器をぶつけ合う事になりかねない。
審判は呆れた顔をしながらも、早く試合を始めようと放送室から銅鑼の音を流す係の者に合図を送る。
しかし、ここで事件が起こる。
現在、銅鑼を鳴らす係を務めている従者と遅刻してきたバイトの間で、トラブルが発生したようだ。
『おい! どうした、なぜ銅鑼が鳴らない!』
『おかしいですね、ちゃんと鳴るはずなんスけどね……』
『って、お前何でスプーンなんて使ってんだよ……?』
『え、いや俺実は、“スプーンで銅鑼を鳴らす派”なんスよね……』
『馬鹿野郎! 何だその意味の分からない派生は! そんなんで鳴るわけねえだろ! ゴングを使え、ゴングを!』
『えぇ〜、先輩“ゴングで銅鑼を鳴らす派”なんですかぁ〜。気が合わないっすね』
『気が合わないとかじゃねえだろ! 選手を待たせてんだよ! 早くしろバイト!』
『あーあ、今やろうと思ったのに、やる気うーせた! 先輩からパワハラ受けたんで辞めますね〜、おつかれーっす!』
『あ、おい待て!』
若い男のバイトは不貞腐れ、仕事を放棄し、本当にその場をあとにした。
『あの野郎……!!!』
先輩が怒り心頭の中、フレイも、
『早くゴングを鳴らせ!!!!!!! 戦わせろ!!!!!!!!!!!!』
『は、はい! ただいま!』
先輩は壁越しなのによく通るフレイの怒号に恐れながら、ようやく銅鑼を鳴らした。
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