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第374話『シャイVSルカ・ヴァルキリー①』

お待たせしました。

第374話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 バトルフィールドの広さは、野球が出来て観客席を設けられるくらいだ。それでいて頑丈なので、どんな歴戦の猛者でも、壁や天井を突き抜けることはない、それどころかヒビすら入らないほどだ。たとえレベル千越えだろうと、思う存分暴れられる。


 だが、今のシャイに関してはそのつもりはないらしい。


『痛くしないから、そのまま楽にしてなさい』


 無表情なシャイは光魔法で大きな光の弾を出現させ、ルカ・ヴァルキリーに向かって、光の名にふさわしくないかなり緩めの速度で投げつけた。


 多少手加減しているとはいえ、まともに喰らえば戦闘不能になるだろう。しかし、この速度であればルカ・ヴァルキリーなら回避しようと思えばできる。


 この時ルカ・ヴァルキリーは、ノロノロとした光の弾を見て、まず思ったことは、(あぁ、私はバカにされているんだな)。


 だから剣も抜いてないし、光の弾を放った後は特に何の警戒も構えもせず、ただ己の勝利の報告を待つのみ。


 そんな態度を見ても、ルカ・ヴァルキリーは表情1つ変えずに詠唱する。


『光の精霊よ、その力を(もっ)て私を輝く光に変えたまえ』


 ――瞬間、ルカ・ヴァルキリーは光そのものに変貌を遂げた。彼女の身体は常に(しろ)く輝き、そこに人がいた事すら認識できないレベルで原型を留めていない。


 光の弾となった彼女は、直線上に軌道を描き、怠惰な光の弾を貫通する。


『な――』


 腕を組んで勝利の時を待っていたシャイの目の前に光の弾。それはシャイの身体ごと貫通する勢いで向かってくる。


 この瞬間(とき)、シャイの中のルカ・ヴァルキリーへの警戒心は180度ひっくり返った。


 ――私は最初、彼女をただ賞品が欲しいがために参加した自信過剰な少女だと思っていた。しかし、そうではなかった。精霊の力で自らを光そのものに変換して突進してくるという序の序盤から奇想天外な戦い方をする厄介な相手だった。


 シャイが放った光は彼女によって分断され、空気と化した。


 真っ直ぐ、ただ直線上を飛行するそれはシャイの胸を狙って襲いかかる。


 それは光の弾丸か、それとも隕石か、いずれにしてもまともに喰らえば、特別な力を持つ彼女とてただでは済まない。


 なんとか回避したいところだが、完全に慢心していたシャイにそんな間など与えられるはずもなく、咄嗟に剣を抜き、光と成った彼女を受け止めるくらいしかできなかった。


『私のバカァ!』


 ――本当にバカだ、私は。相手を見た目だけで判断するなんて失礼だし、最低だ。


 刃と光が衝突する。光はまるで鋼鉄のように硬く、刃は金属音という名の悲鳴を上げている。


 このままではシャイが押し切られるのも時間の問題だ。だが、そこであっさり敗北してしまうほどシャイの戦闘経験は浅くない。


 今回は見た目に惑わされて油断こそしてしまったが、彼女の強さは変わらない。


『負けるわけにはいかない!』


 シャイの身体はルカ・ヴァルキリー同様に光を纏う。


『!?』


 この光はただの光ではない。シャイの属性、身体の性質そのものを光に変える。


 双方共に光となった。もはや試合というより、性質が異なる光同士を衝突させる科学実験のようにしか見えない。


 だが、そこにはそれぞれの想いを胸に抱く2人がお互いの魂をかけて、ぶつかり合っている。


 ――宙を舞う、縦横無尽に交差する。


 両者共に引く気配はない。どちらかが魔力(エネルギー)切れになるまで衝突(ぶつか)り続ける。


(なにこの娘……強い……見た目だけで判断してたさっきまでの私を殴りたいわ)


 シャイは自分の浅はかさに唇を噛む。だが落ち込んでなんかいられない。少しでも気を抜けばあっという間にやられてしまう。


 シャイは、自分への怒りを力に変える。単純に力んでいるわけではない。魔力を更に消費し、身を螺旋状に包む白いオーラを作り上げる。


 ずいぶんと神秘的な形容をしたシャイは、白煙をスプレーのように噴射すると、それは段々と形を作り出し、やがて光でコーティングした“光の剣”を完成させ、その手に取る。


 ――まるで、本の世界からやってきた光の戦士。目に触れただけで人々を救うために闇を司る魔物と戦うイメージが頭の中に浮かんでくる。


 なんて神秘的なのだろう。ルカ・ヴァルキリーはシャイの姿に見惚れてしまった。


『きれい……』


 敵意あふれる目から羨望の眼差しに変わった彼女のことなどお構いなしに、シャイは容赦なく斬りかかる。


 その姿を見てハッとしたルカ・ヴァルキリーは光の速度でその場を回避、すぐさま反撃しようと光の弾のまま突進するも、その前にシャイが瞬間移動と錯覚するくらいの速さで彼女の後ろ側に回り込み、水平に剣を振るう。


 すると、光の弾は粘土を斬るよりも簡単に分裂した。しかし、2つに分かれた光は引かれ合うように融合し、何事も無かったかのように戻った。


『うそ、確かに斬ったのに……』


『いくら斬っても痛くないです……だって私……光そのものですから……』


『どういう理屈なのよ、それ……』


『精霊の力ですから……』


『意味が分からないわ……』


 ――実際彼女にダメージはない。次また斬っても斬っても先程と同じように復元してしまうだろう。


『そろそろ、私からも反撃しますね』


 ルカ・ヴァルキリーは光の弾のまま、今度は新たに光の弾を6つほど複製させ、まるで隕石のようにシャイに向かって突進する。


『何なのよ……!』


 シャイは、向かい来る光の流星を全て回避するも、通り過ぎたはずの光がくるりと方向を変え、またシャイに向かって襲いかかる。


『嘘でしょ……!』


 後ろからやってくる事に気づいたシャイは目にも止まらぬ速さで縦横無尽に逃げ回るも、光の弾はまるで意志を持つようにターゲットに直撃するまで追いかけ回す。


『くっ……こうなったら……!』


第374話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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