第367話『日常編〜休日のクソゲー①〜』
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――それから2週間が経った。
その間俺達はいつも通り日常を送りつつ、レベリングをひたすら行うという作業を繰り返していた。
これまでなんだかんだレベリングに参加できなかったあおいちゃんもスケジュールを調整することで巨人狩りができるようになった。
未来でゼウスに襲撃された魔王城のみんなの事を思うと、不思議と力が湧いて、虐殺の限りを尽くして巨人を狩り続けたらしい。ただのデータの塊と知っていてもなんか巨人が可哀想になってきたな……。
――それでこれはつい先ほどノルン様から送られた俺と仲間達の現在のステータス表だ。
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名前 ダスト(オーガスト・ディーン)※本名は隠匿
年齢 16+(300+1)=317
性別 男
身長 166
体重 53
レベル 3554
魔法属性 炎水雷氷光闇 他Unknown data
女の子のパンツを見た回数 1402
ゲームやってて台パンした数 82
人に泣かされた数 682
靴下が左右違った数 4
友達の数(この世界に来る前) 0(草ァwww)(←草に草を生やすな)
男の証をディスられた数 2
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名前 橋本ルカ
年齢 12
性別 女
身長 145
体重 37
レベル 4052
魔法属性 炎水雷氷光闇(精霊・勇者)
世界ランク 第1位
聖剣ランク SSS
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名前 パーシヴァル(パーシー・バルキリー)
年齢 24
性別 女
レベル 3328
魔法属性 炎水雷氷光闇
喧嘩をしたいと思った数 66882
最近下着を見られて恥ずかしいと思った数 0
はしたない行動をしているなと思った数 0
自分を見つめ直そうと思った数 0
主人のプリンをこっそり食べてしまった数 1
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名前 ルカ・ヴァルキリー(橋本ルカ)
年齢 12
性別 女
身長 145
体重 37
レベル 1022
魔法属性 光
異性にときめかれた数 128
戦闘に高揚感を覚えた数 17
パーシヴァルにときめいた数 222223
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名前 カレンちゃん
年齢 不明
性別 女
身長 50
体重 500g
レベル 1788
魔法属性 光闇(精霊)
ルカチャンダイスキと思った数 測定不能
正直ダストを見下してた数 1
ダストを変態だと思った数 23
ダストに求婚されるんじゃないかと思った数 3
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名前 シアン(あおいちゃん)
年齢 16
性別 女
身長 157
体重 45
レベル 2487(現在急上昇中)
魔法属性 炎水雷氷闇 他Unknown data
お姉様好き好き力 測定不能
ダストにパンツを見られた数 8
お姉様にパンツを見られた数 100928
お姉様のパンツを見た数 測定不能
お姉様のパンツを物色した数 測定不能
ネガティブ大会に優勝した数 1(今後も増える見通し)
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以上☆
………………キレそう。
ここは憤怒の大噴火を抑えるとして、みんな順調にレベルが上がっている事は大変喜ばしい。
最近パーシヴァルもヴァルハラに行く頻度が高くなり、戦闘狂の限りを尽くして、経験値を稼ぎに行ってる。しかも流石というべきか、俺とのレベル差が数千もあったのに今では約二百の差にまで追いついている。
このペースなら俺もルカちゃんもうかうかしてたら、すぐにレベルが追いつかれそうだ。
別に味方だし抜かされてもいいんだけど、俺が1番になってやるという気概くらい持っておかないと、ゼウスに勝つなんて無理だ。もちろん俺だけが戦うわけじゃない、みんなで戦うんだ。でもライバル意識はあった方が抜かされた方も火がついて、レベル上げが更に捗るんじゃないか、という俺なりの気持ちの持ちようだ。
本当はルカヴァちゃんとカレンちゃんは基本的にこの件には関わらせないようにしたかったけど、ルカちゃんはガンガン関わっちゃってるし、過保護なカレンちゃんが彼女を守るためにレベリングをしないわけがない。
あとはルカヴァちゃんだが、消極的な性格かと思いきや、意外と熱のある娘で、この前も突然モンスター狩りに行った俺に続いて一緒に来てくれたし。まあ、みんなが行くからっていうその場のノリもありそうだが、それでもルカヴァちゃんがモンスターに攻撃してた時の目は輝いていた。
ルカヴァちゃん、まさかパーシヴァルのような戦闘狂にならないよな……? レベルは上げれば上げるほど嬉しいが、将来が心配になってくる……。
『さて、今日はどうしようかな……』
今日は休日だ。以前は少しでも強くなるために休日にヴァルハラでレベリング作業をやっていたのだが、それでは身体を壊すということで、家でゆっくり休むことにした。
ちなみに今この家には俺1人だけだ。ルカちゃんとルカヴァちゃんは学校の友達と遊ぶ約束だったり、パーシヴァルは仲の良い同僚の友達とトレーニングジムに行ったり、あおいちゃんは以前家に来た赤髪ちゃん似のマゼンダとどこかへでかけてるとか。
家主のマーリンは毎日のように忙しいようで、なかなか家に帰ってこれない。
『みんな予定があっていいなぁ……』
べ、別に羨ましいわけじゃないんだからね! 俺に友達がいないわけじゃなくて、最近は何かと忙しかったから、たまには1人で居たかったんだからね!
でも、それは本当で異世界に来てから1人の時間が本当に少なかった。たまにはこういう機会もいいだろう。
……とは言ってもやることがないのは退屈だ。
娯楽自体はあるにはある。日本でお馴染みのアニメやゲームもあり、小説ウェブサイトで小説を読むことも書くこともできる。
『小説か……』
実は小説には興味がある。読む方ももちろんだが、書く方だ。
しかし、俺には語彙力も学力もない。妄想力は多少あるが才能があるとは思えない。
『やめとこうか』
俺は一瞬にして小説家という道を途絶えさせた。本当に才能なんてあるのか無いのかも分からないまま――
『適当にゲームでもやろうかな』
俺はマーリンがやっていた最新型ゲーム機に手を付けた。許可は貰ってるので文句は言われないはずだ。
色々ソフトはあるが、どれも知らないタイトルばかり。マイナーなゲームしかないという意味ではなく、俺が元々居た世界のメジャーなゲームがほとんど無いだけで、この世界ではかなり有名なゲームがここに勢ぞろいしてるらしい。
『これやってみるか』
俺はRPGのゲームを取り出し、起動した。
『おお、画面めっちゃ綺麗だな』
久々のコントローラーの感触を味わいつつ、美しい液晶画面に見とれていた。
記号が書かれた突起物を押していくと、冒険が始まった。
まず主人公の名前を決めるようだ。
名前を自由に入力するタイプではなく、選択肢の中から1つを選ぶタイプだった。
『珍しいな、こういうのは大抵名前は自由に選べるんだが』
――表示された名前の候補はこの4つだ。
①バカ
②アホ
③カス
④クズ
『いやいやいや、なんだこれ! もっとマシな名前は無かったのか……?』
何かの間違いかと思い、俺は眼の曇りを取り払うように擦ったり、ゲームを再起動したりしたが、候補の名前が変わることは無かった。
『この中から選ぶしかないのか……?』
どれも選びたくないが、まあ自分の分身とはいえゲームだし、名前なんて所詮ただの文字列に過ぎない。適当に選ぶか。
『仕方ない……“バカ”にしておくか、不本意だけど』
名前を選ぶと、次に容姿の選択に入った。これも自由にパーツを決められるわけではなく、予め用意されたアバターを選ぶだけだ。
めちゃくちゃ嫌な予感がする……。
俺は不安になりながらも、ボタンを押すと、画面に現れたのは――
①ぬめぬめ触手まみれのグロいモンスター
②目玉がいくつもあるグロいモンスター
③Gに似た造形のグロい虫モンスター(※モザイク加工あり)
④かわいいスライム(※ただし捕食シーンはグロい)
『やめよう』
俺はゲーム機の電源を切り、先程までの一切の記憶の消去作業に入った。
俺は何も見なかった。ゲームなんて知らない。
ロクな名前も選べず、容姿もヤバいのしかないクソゲーなんて俺は知らない。
『やることないし、寝るか』
俺は自分のベッドに潜り、夢という名のゲームにログインする準備を始めた。
『………………』
あれ?
『………………』
眠れない。
『………………』
何で?
『………………』
気になるのか?
『………………』
あのゲーム……いや忘れろ。
『……………』
やっぱり気になる。
俺はベッドから降りて、ゲーム機の前に立った。
『………………』
俺は電源ボタン押した。
その後は先程と同じ手順で名前を決めて、容姿はスライムにした。グロいのは多少耐性はあるし、まあこれが1番無難だろう。
というわけで、スライムダストが画面に誕生した。
――そして主人公の為の冒険が今、主人公の都合によって始まるのであった。
第367話を見て下さり、ありがとうございます。
皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)
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