第364話『闇色の感情』
大変お待たせしました。
更新遅れてすみません。
まだ話の構成が完了したわけではありませんが、この話は投稿しても問題ないと判断したので、こうして投稿した次第
宜しくお願い致します。
――とある高層ビルの地下にて。
そこに向かうは秋本春奈こと、特別な力を持った少女の内の1人、ダーク。
情報取得方法が限られている■■■■■に細かい部分の情報を報告するのが彼女の仕事なのだが、■■■■■に惚れ込んでいる彼女には、この時間こそが至福。多少の私情こそあるが、アキモトはどんな仕事も容易くこなす有能。失敗など滅多にないのだが、その自信は今日を以て粉々に打ち砕かれることになる。
『■■■■■様、アキモトがここに報告に参りました』
『うむ、報告を聞かせよ』
『はっ、“見張りの者”の報告によりますと――』
アキモトはその人物から得た情報を余すことなく丁寧に説明した。
『――なるほどな。橋本ルカを取り戻すために異世界の王がな……』
『はい、いかがいたしましょう?』
『特に何もしなくてもよい』
『よろしいので?』
『逆に何を不安がる必要がある? 確かに異世界からの襲撃は想定外だ。オベイロンとやらの精霊の力も気になるところではあるが、聞くところによるとこの世界の魔法とそう変わらんそうでな。それに事前に4人がそれなりにダメージを与えていたとはいえ、たかが少女1人にやられたのだろう? 橋本ルカには貴様とは違う特別な力を持っているようだが、実力など俺達には遠く及ばない。わざわざ我々が重い腰を上げてでもオベイロンに接触したいとは思わぬ』
『■■■■■様のご意向、確かにこの耳に聞き入れました。では、異界の王には何もせずと、そのように伝えます』
『俺はそんなことよりも、気にするべきところがある。アキモト、それが何だか分かるか?』
『いえ、私如きにはなにも……』
偉大なる御方からの質問に満足に答えられない。アキモトはそんな情けない自分を心の中で責めている。
だが、それに関して■■■■■は特に何とも思ってない。ただ会話の流れとしてそう聞いただけだ。アキモトがどう答えようと、■■■■■は表情1つ変えずに話を続けるだろう。
『その島にいる女神ノルンの事だ』
『女神ノルンですか?』
『奴はどうやらヴァルハラを根城にしているようだが、なぜオーガスト・ディーンを留まらせている? 今は定期的にヴァルハラに行かせているようだが、その目的は何だ?』
『そこまでは私では把握しておらず、“見張りの者”からも特にそのことについては何も』
『本当に何もないのか? それともオーガスト・ディーンは女神ノルンのお気に入りなだけか……?』
オーガスト・ディーンの不可解な行動に長考する■■■■■。しかし、いくら仮説を立てようと決定的な確信には至らない。
『アキモト』
『はっ』
『今日はもう下がれ、“見張りの者”には引き続き任務に臨むようにと伝えよ』
『かしこまりました』
アキモトは珍しく指示通りにその場を後にしようとすると、■■■■■は不思議そうな顔で彼女を引き止めた。
『珍しいな、いつもならもっとここに居たいと俺と遅くまでゲームでもしていくのがお前のルーチンだろう。今日は気分が乗らぬのか?』
『……私は、■■■■■様のお役に立てなかった……そんな私の我儘など言う資格は無いのです……』
大した成果も出せず、どうしても心が晴れないアキモト。その落ち込み様が気になる■■■■■。
『――仕方あるまい』
『■■■■■様?』
『アキモトに命ずる、しばし休暇を取れ』
『そ、そんな……やっぱり私は使えないと?』
『いいや、貴様はよくやっているぞ。さっき成果が出せないと言っていたが、お前は全て俺の指示通りに動いていただけであり、お前自身は何1つミスなどしていない。責任は俺にある、アキモトに落ち度などない』
『滅相もございません! 私がもっと臨機応変に対応しなかったから――』
『良い、十分だ。これ以上自分を責めるな』
『■■■■■様……』
『いいから休め、貴様はただでさえ休まなさすぎる。ハードワークは身を滅ぼすぞ。貴様もよく知っているであろう』
『そう……ですね』
■■■■■の言う通り、アキモトは特別な力を持つ1人ダークとしての役割を担っている上、更にアキモトとしても仕事に臨まなければいけない。休暇を取る間もないのだ。
アキモトは有能であるが故、多くの仕事を任される。
それが■■■■■の命令であれば、どんな無茶も引き受けるだろう。都合の良すぎる駒である……が、■■■■■は人をそのように扱うのを嫌う。部下が成果を上げようと下げようと、アフターケアを万全にすることが、■■■■■の信念だ。
『休むことは悪いことではない。むしろ次の仕事を万全に臨むためにはリフレッシュすることも重要な事なのだ』
『■■■■■様の仰る通りです。愚かな私を目覚めさせて下さりありがとうございます。ではお言葉に甘えまして、私、秋本春奈及びダークは、しばらくお暇を頂きます』
『そうするがいい。休暇申請の提出を忘れるな』
『はい!』
アキモトは嬉しそうに返事をして、その場から離れず、ただ■■■■■を見つめている。
『アキモト? もう下がっていいぞ。それともまだ何か言いたい事でもあるのか?』
『いえ、その……』
帰る素振りすら見せず、頬を赤く染める。
『仕方あるまい』
アキモトの心情を察した■■■■■は、引き出しからゲームのコントローラーを取り出し、
『今日は追い返すつもりだったが、特別に相手してやろう』
『■■■■■様!!!』
このあと、2人は日が昇るまで部屋でゲームをした。
朝方になった途端、アキモトは目を閉じてしまったが、■■■■■は眠らない。
――たとえ睡眠時間を割いてでも、叶えたい願いがあるのだから。
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