第360話『女神は傍観し、少女は剣を握る』
日付変わるギリギリですみません。
腰痛の野郎が構ってほしいと抱きついてきたので、なかなか執筆に入れませんでした……許さねえ……。
改めて、皆様
お待たせしました。
第360話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
一方、ヴァルハラの城の一室にて。
今、尚戦う4人の援護を頼まれたノルンとマーリン。しかし4人の実力と相手の戦闘能力を鑑みて、援護はせずに様子を見ることにした。
現にフレイとヒルドだけで精霊軍は壊滅寸前の危機に陥った。そこから逆転の目も見えない。援護の必要性が無いのは誰が見ても明らか。
しかし、先程精霊の王の様子が変わった。それはまるで怪物、世界を破壊しかねない兵器レベルの危険性を感じた。
いかにレベル千を超える4人であっても、アレを倒すのはなかなか骨が折れるだろう。下手をすればこちらが負けることすらありえる。さすがにヤバいと思い、マーリンは改めて援護の準備をしようとするも、なぜかノルンは援護しようとしない。むしろ援護することを止められた。
非情なのかそれとも作戦なのか、何を考えているのか分からない彼女にマーリンは怒るわけでも失望するわけでもなくこう言った。
『ノルン様、貴方知ってましたわね』
知っていた、つまりノルンはこうなる事を予測していた。それを裏付ける根拠は彼女の“未来予測”という能力にある。その名の通りの能力であれば、精霊軍がやってくる事自体を事前に知ることができるはずだ。
まあ、どこまで未来を見れるのかは本人のみ知るところだが、少なくとも事態が急変した中で、この冷静さ……というより、無表情・無関心のような感情に一切の変化がない。
女神ですから、と言われてしまえばそこまでだが、普段の彼女の人間らしさを見ても、とてもそうは思えない。ノルンという女神はもっとヒステリックで性格の悪い、冷静さなど一切持ち合わせない。そういう女であることはマーリンはよく分かっている。
『えっと……知ってましたってどういうことですか?』
ノルンは困惑した表情でそう答えた。あくまで自分は何も知りません、そう思わせるように。
『とぼけるのも大概にしてほしいですねぇ、貴方の能力ならこうなることは分かっていたのでは?』
『私の能力って“未来予測”の事ですか? 残念ながらコレは何でもかんでも発揮できるわけではありませんし、それに人間でもない女神が、人と人との揉め事にあまり関わるわけにもいかないのです』
『いや十分オーガスト君に肩入れしてるじゃないですか……』
『それはこの世界を救う為に必要な事なので、緊急の措置としてやったまでです。何か悪いですか?』
『本当に〜?』
マーリンは訝しい目でノルンを見る。
『お前うぜえですわよ? 探偵気取ってんじゃねえですわよ? 甘党のお前に私特製の超激辛☆シュヴァルツシルトトマトブラッドバーニングラインヴァイズを食べさせますわよ?』
『生物兵器を出すんじゃねえですわ!』
『生物兵器とは失礼な! 確かに多少辛いですが、辛党の方は美味しさのあまり奇声を上げて気持ち良く眠ってしまうほどなのですわよ!』
『やっぱ兵器じゃねえか!』
そんな日常的なやり取りを行っている内に、マーリンは本来の話題を忘れ、ノルンにマウントを取る方へシフトしたのであった。
ノルンは触れられたくない話題を逸らす為にあえて――
『上等ですわ! この女神ノルンに女子力ゼロとディスったこと後悔させてやりますわ!』
『おうよ! かかってこいや!』
……このようにマーリンを感情的に昂らせる事で本来の話題を忘れさせるように仕向けるという策を講じたのであった。多分。
――――――――――
その頃、ハコニワの中では――
『■■■■■■■■■■■!!!』
怪物となったオベイロンは、先程の無差別攻撃とは違い、今はダストにターゲットを定め、他の3人と共闘させないようにビーム光線を適当に連発させて牽制しつつ、ターゲットを確実に殺せるように殺傷能力を高め、正確な射程で狙撃する。
しかし、それをダストは防壁魔法で全て防いでいる。端から見れば、どんな攻撃も通らない無敵人間だが、それも魔力が尽きない限りの話だ。このまま防御し続けていても、いずれ魔力切れでゲームオーバーだ。
(仕方ねえな……)
ダストは魔力消費の高い防壁魔法は解除して、代わりに魔力消費の低い転移魔法“自動”を発動した。
そもそも攻撃を回避するだけなら自動回避だけで事足りるので、魔力の消費量を考えてもこの魔法だけで敵の攻撃を防ぐべきだ。ただこの魔法の場合、攻撃を回避するために自分の身体を5メートルの範囲内でランダムで転移することになる。
オベイロンのビーム攻撃の頻度は高く、おおよそ10秒に2回は高速の光を避ける為に転移が忙しくなるだろう。
そうやって回避し続けるまではいいが、問題はそのあとだ。
あちこち転移するということは、つまりダストが攻撃を仕掛ける時に照準が定めにくくなるのだ。
身体能力の高いヒルドやヘラクレス、フレイのような猛者であれば、たとえ刹那であっても照準を定めることは容易い事だ。
しかしダストの場合、身体能力も反射神経もカスである。とてもビーム光線を自力で回避したり、僅か数秒で照準を定めるなんて事はできない。
勝つ為に戦うのならば、こちらも攻撃しなければならない。しかしそれができなければ敗北したも同然だ。
だが敗北宣言するにはまだ早い。
オベイロンによってこの場に引き寄せられた橋本ルカが鍵だ。
オベイロンからは特に危険視されていないのか、それとも仲間意識があるのか、橋本ルカにだけは攻撃もせず、牽制すらせずに放置している。たとえ彼女が自分に反撃してこようとも。
これまでの橋本ルカであれば、カレンがいなければただの力のない子供に等しい。しかし今の彼女には剣という殺傷力高めの武器を所持している。
しかもその剣自体に凄まじい力が備わっており、たった1回刃を通すだけで、どんなモンスターだろうと容易く斬ることができる。
なぜ橋本ルカがそのような剣を持っているのか疑問を抱くダストであったが、今はそれを気にしている場合ではない。戦闘は授業でしか経験してない彼女だが、協力してもらう他ない。
本来教師としては生徒を守らなければならないが、そうも言っていられる状況ではない。むしろ協力しなければここで全員を失う事になる可能性が高い。それこそ生徒を守れないという事態になる。
迷うまでもなく教師は生徒を守る為に、生徒に協力を求めた。
『どうしてルカちゃんが剣を持っているか分からないけど、ちょうど良かった。協力してほしい』
『もちろんだよ、ディーンさん!』
――橋本ルカは剣を振りかざす。金色のオーラを全身に纏って。
第360話を見て下さり、ありがとうございます。
皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)
本当に腰痛には参ったものです……皆様も腰を曲げないようにお気をつけ下さい。本当に辛いので……。
次回も宜しくお願い致します。




