第348話『教員生活編〜宿泊行事(前哨戦)〜』
日付が変わるギリギリですみません。
お待たせしました。
第348話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
――それから2日が経過した。
その間はフレイと怒られない程度に巨人狩りに勤しみつつ聖剣探しにも励んでいたが、残念ながら特に何も成果は無く、ヒントや手がかりすら拾えなかった。
一方で巨人狩りの成果として、ステータスの方はレベル999で一度カンストし、その後ノルン様が上限を上げてくれて、過剰分の経験値をそのまま足して、今ではレベル1872になった。
これがどのくらい凄いかと言うと、研修の時に現れた親精霊を魔法1つでぶちのめせるレベルだ。余裕でオーバーキルできるだろう。
下手をすれば壊れた歯車を発動した俺よりも強いかもしれん。
念願の俺TUEEEEEEEEEステータスを手に入れたのだが、それは同じく巨人狩りをしていたフレイも同じで、彼女のレベルは2788だ。
確かに巨人を狩っていた数は俺よりも上ではあったが、そんな1000近くも差ができるほど、数に相違はない。
実はフレイ達特別な力を持つ6人は以前から、このヴァルハラまで足を運び、経験値高めのモンスターを出してもらっては無双してレベルを上げて無双してレベルを上げてを繰り返していたそうだ。
ちなみに巨人はその当時はまだ開発途中だったそうで、現在2番目に経験値が稼げるモンスターである“スーパーボアウルフ”を代わりに投入していたようだ。
それにしたって、さすがにやりすぎだろ。
聞いた話だが確かにスーパーボアウルフの経験値量は2番目なだけあって相当だが、それでも経験値量No.1の巨人には遠く及ばない。
スーパーボアウルフだけでレベル2000台まで行くには、最低でも3000体は倒さないといけないはずだ。
マジかよ、フレイの奴、とんだ廃人じゃねえか……。
まあ何はともあれ巨人型モンスターのテストは此れにて終了。特にバグなどは発生しなかったので、正式に新モンスターとして実装されるのだが、出現場所がごく一部に限られているので、レアモンスターとして扱われる事になるだろう。
まあもっとも、この世界であの屈強な巨人型モンスターを倒そうとする人間は少ないだろうけどな。
――さて、今日の話なんだが、いつも通りに巨人狩り……では無く、いよいよ待ちに待った私立東都魔法学院中等部1年ブラック組の宿泊行事だ。
今、生徒達とその副担任であるパーシヴァルと他数名の教員、新井さん、そしてマーリンが飛行機でこちらへ向かっているようだ。
みんなと会うのはたった5日ぶりくらいだが、不思議なことにすごく久しいように感じる。
正直みんなとどう接すればいいのか悩むところではある。生徒達は俺が先行で宿泊施設を下見に行っただけという認識だが、パーシヴァルとルカちゃんは俺が突然どこかへ消えて心配していることだろう。
逃げた動機がパーシヴァル達を守る為だったとはいえ、会ったらちゃんと謝らないとな。
『えーと、男子があっちで女子がこっちで……教員組があっちか』
5日ぶりに教師モードを起動した俺は生徒達が宿泊する部屋の場所の確認をしている。ただでさえ広い城の中だが、ちゃんと把握しないとな。
『えーと、夕食の時間と入浴の時間は――』
――学校の宿泊行事。俺は個人的にはあまり好きでは無かったが、陽キャ組は恐らくすごく楽しみにしている最高のイベントだろう。
学ぶ事が前提ではあるものの、クラスメートと同じ部屋で泊まったり、異性の普段見れない姿を見てドキドキしたりと、一生で一度しか味わえないだろう非日常感が子供達の心をかき乱す。
さぞかし楽しかろう。あわよくば夜に気になるあの子とこっそり密談したり、なんて理想を思い描く者も少なくはないだろう。
だが、俺達教員は違う。
生徒達を引率しなければいけないのはもちろんだが、他にもやる事は山積みだ!
まず旅行をするなら必然的に計画を練る必要がある。これはプライベートで旅行をする場合もそうなのだが、人数が多すぎる。
うちの学校の場合はうちのクラスのみだが、それでも30人とその付き添いの大人を合わせても相当の人数だ。
とてもじゃないが1人1人の行動を監視するのは困難を極める。
それだけじゃない、次はしおりの作成だ。
表紙のデザインはセンスのある生徒が書いてくれるらしいが、それ以外の部分は教員が作成する。
何時に集合して何時にあそこに来て何時にご飯を食べて何時に入浴して何時に就寝する等など細かなスケジュールを念密に立てなければならない。
しかもそのスケジュールがうまく運ぶとも限らない。
もしかしたら誰かがテンション上がりすぎて、想定外のトラブルを持ってくることもありえる。そうなった時の対応のダルさは半端ないらしい。
仮にトラブルが一切無く、スケジュール通りに事が運んだとしても、我々教員は生徒の就寝後、夜の見回りという名の残業もしなければいけない。もしかしたら部屋を抜け出す輩がいるかもしれないからな。あとは不審者を生徒に近づけさせないという目的もある。
特にこの世界は誰もが魔法を習得でき、それを犯罪に使う事だってできる。
レベル千越えの俺がいるとはいえ、相手がどんな手を使ってくるか全く想像できない。常に警戒アラームを鳴らす必要がある。
宿泊行事の教員は本当に大変なのだ。だから教員一同何も起こらない事を祈るばかりだ。
『――よし、確認する所はこんなもんかな』
あとは1年ブラック組一同が来るのを待つだけ。
『……なんだか緊張してきたな』
もうすぐ会うと思うだけで、身体に緊張という名の毒が迸り、心臓の鼓動を早める。
『考えただけで胃腸が……』
胃に手を添える動作をすると、偶然通りかかったヒルドさんが俺の顔を覗くように、その可愛らしい顔を近づける。
『ダスト君、顔が青いけど大丈夫〜?』
表情こそ変わらないが、彼女なりに俺を気遣ってくれているのは分かる。
『あ、ヒルドさん。大丈夫ですよ、ただの緊張なんでね』
『そう〜? 無理しないでね〜』
『ご心配ありがとうございます』
『あ、ところでさ〜、ダスト君の例のアレ、そろそろ完成しそうだよ〜』
『例のアレとは?』
『ほら、ダスト君がここに来たばかりの時にノルン様に魂を3等分されたじゃん?』
『ああ、そうらしいですね』
分かっている風な口振りをする俺だが、実は何一つ理解できていない。
魂を3等分するという行為そのものもそうだが、そもそも何でそれがもう一人の俺を封印できるのか、その原理も全く不明だ。
『ダスト君から分かれたその2つの魂がね、ついにね――』
――俺はこの時、まだ理解していなかった。その2つの魂こそが未来を救う大きな鍵になるということを。
第348話を見て下さり、ありがとうございます。
皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)
次回も宜しくお願い致します。




