第347話『勝負』
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――翌朝。
改めてステータスを確認してみると、レベルが456に上がっていた。
最初に巨人を倒す前は172だったから、巨人を狩りまくっている内に284も上昇したということか。
レベルが上がっていけばいくほど、次のレベルアップに必要な経験値量が多くなるので、レベル100越えたあたりから、その辺の普通のモンスターを倒してもなかなかレベルは上がらなくなる。
しかし、巨人型モンスターに関してはどんなにレベルが高くても一匹につき5〜10も上がるようだ。それを何回も何回も繰り返している内にこんなにもレベルが上がるとは……。
この調子で行けば、レベルが天井まで行くのも夢じゃない。
まあ天井まで行っても、ノルン様がレベル上限を引き上げるから、ゼウスに対抗できるレベルになるまで、ほぼ無限にこの周回を繰り返す事になるんだがな。
『さて、そろそろ食堂行くか』
俺はステータス表を閉じてから食堂へ向かう道中、ヒルドさんと出会う。
『ダスト君、おはよ〜』
『ヒルドさん、おはようございます』
『ねえダスト君〜』
『なんですか?』
『ダスト君は生まれ変わるとしたら何になりたい〜?』
『え、急にどうしてそんな質問を?』
『ちょっとね〜』
『う〜ん、じゃあパラメーターMAXのチート主人公になりたいです』
『そういうのじゃなくて〜、外見の話だよ〜』
『ああ外見ですか、そうですね……やっぱここはイケメンがいいですね。どんなに能力が低くても女の子に持て囃されそうだし』
『なるほど〜、イケメン以外には何かある?』
『イケメン以外ですか? そしたら……美少女がいいですね。男に持て囃されたいわけではないですが、なんとなく美少女ってどんな気分か気になります』
『うん、よく分かったよ〜、ありがとね〜』
ヒルドさんはそう言い残し、どこかへ走っていった。
『何だったんだ?』
俺はヒルドさんの行動に疑問を覚えながら、食堂へ向かう。
『おはようございます』
『ダストさん、おはようございます』
『ダスト、おはよう!』
食堂にはノルン様とヘラクレスが既に席についていた。
朝ご飯を平らげると、今日も巨人狩りのテストに行ってほしいとノルン様に言われ、早々に支度することに。
それともう1つ依頼をお願いされた。
それは、この大地のどこかに眠る聖剣を聖なる泉に投げ捨ててほしいという。
どうしてそんなことをと聞いてみたら、これをすることで俺にとって助かる未来があるそうで。
ただこの依頼は今日中にじゃなくても、いつか達成してくれればいいとの事だった。
『え、ヘラクレスは今回行けないのか?』
『ああ、すまない。どうしてもやることがあってな』
『そうか、それなら仕方ないな』
『でも安心してくれ。俺の代役を用意した。性格に多少の難はあるが俺よりも強い。今回はそいつと一緒に行ってきてくれ』
『ああ了解した』
代役ってヒルドさんの事か? でもヒルドさんも朝飯一緒に食べられないくらい忙しそうだったし、そもそも性格に難がある人ではないから多分違う人かな。
その代役の人は森の入口付近で待っているそうだ。俺も準備を整えて早く向かうとしよう。
そして待ち合わせ場所に着くと――
『あのーすみません、ヘラクレスの代理の方でしょうか――ってお、お前は!?』
そこには見知った美女の顔が――
『て、てめえは……探したぞ! オーガスト・ディーン!』
俺の顔を見るなり、憤った顔で指を指してきたこの女の名前はフレイ。前に学校に来て俺に精神的苦痛を味あわせてきた脳筋女で、後に炎の女神と呼ばれる者だ。
今1番会いたくなかった奴が、よりによってなぜこんなところに……?
露骨に嫌な顔をすると、フレイは癇に障ったのか俺の胸ぐらを掴み、拳を振りかざした。
『てめえ、どこに行ってやがった……? せっかく一昨日来てやったのに、宿泊行事の下見になんぞ行きやがって……どうせ俺から逃げたかっただけだろ? ふざけんな!!』
『ん? 宿泊行事の下見……? 何の話だ?』
『は? とぼけてんじゃねえぞ! あの頭のおかしい学院長から話は聞いてんだ! だが実際行ったのはてめえ一人だけだし、下見ってわりには何日もいるのはおかしいだろうが!』
苛立っているわりに不自然な点を的確に指摘するフレイ。しかし感情はヒートアップするばかりで、こちらの反論など聞く耳を持つ様子が見られない。
フレイの話から察するに、突然消えた俺は行方不明者ではなく、学校の宿泊行事の下見に行くという貧乏くじを引いてしまったただ一人の教員という立場になっているらしい。
『なるほど、そういうことか』
つまり、近々生徒達がここに来るということか。驚いたな。
あっちからここってめちゃくちゃ距離ありそうだけど、旅費とか大丈夫なのか……?
『何一人で納得してやがんだ! 俺と勝負しやがれ!』
『いやいや、俺にはやることがある。アンタに構ってる場合じゃねえんだ』
『んなことは分かってらぁ! だから俺とてめえでどっちがより巨人を狩れるか勝負しろって言ってんだよ!』
『ああ、なるほど。確かにそれなら一応任務を果たした事にはなるのか』
しかし勝負となると、今回は聖剣探してる暇は無さそうだな。
まあいいか。別に今日中じゃなくていいみたいだし。
『分かった。その勝負受けよう』
俺がそう返事をすると、フレイはニヤリと笑い、胸ぐらを掴む手を離した。
『そうこなくっちゃなぁ!』
途端に上機嫌になるフレイ。そんなに俺と勝負したかったのか。
『なあ、勝負の前に1つ聞いていいか?』
『いいぜ、聞いてやるよ』
『アンタはなぜここに来た?』
『ノルン様に頼まれてな、しばらくここに滞在して仕事を手伝ってほしいっつうから来てやった、ただそれだけだ』
『へぇ、ノルン様とは知り合いなのか?』
『ああ、俺達6人は全員知ってる。この世界の事もお前の事も何もかもな』
『何もかも?』
『そうだ。お前が異世界から更に未来から来たってのも、何か壊れたなんとかって名前の厄介なモン持ってんのも、これからお前が何をしようとしてるのも全部把握してる』
思っていたよりも、というか何もかもお見通しというわけか。俺の情報どんだけ漏洩してんだよ。プライバシーの侵害だぞ。
『なるほど、教えてくれてありがとう。勝負を始めようぜ』
『おうよ!』
フレイはポキポキと拳を鳴らし、嬉々としている様子なのが見て取れる。
俺は正直勝負なんてどうでもいいが、やる気を出すフリだけでもしないとフレイがブチギレしそうだし、それに俺だって目的の為に強くなりたいという思いがある。より多くの巨人を倒したいのはこちらも同じだ。
『それじゃ行くぞ!』
この後、俺とフレイは持てる力の全てを以て巨人を狩って狩って狩り尽くした。
――結果はフレイの勝利だった。
俺が倒したのは78体、フレイは81体とかなり白熱した戦いとなった。
俺達は互いの健闘を讃え、握手を交わした。
しかし、俺達はあまりにも勝負に夢中になってしまったため、森の損傷が目に見えて酷いものになっていた。
この後、俺達はエフちゃんにめちゃくちゃ怒られた。
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