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第343話『女神ノルン』

お待たせしました。

第343話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


 ――女神ノルンの話をまとめると、


 女神ノルンは人間(ユーザー)ではなく、()()()()()()自我を持つ超高性能の自律型AI。


 正式名称は自律型管理防御SYSTEM‐NORN。


 元々はこの世界(ゲーム)を管理する為に創られた存在。


 そして世界(ゲーム)の秩序を守る役割も持っている。


 与えられた権限は多彩で、俺のステータス情報をフレンド登録なしで閲覧できたのもそうだが、この世のあらゆる事象を引き起こすこともできる。やろうと思えばチートすら容易に施す事も可能だが、むしろノルンはそういう不正行為からゲームそのものを守る為にあるので、自分からは絶対に行うことはない。ただ例外を除いて――


 彼女は未来からの信号も受け取る事ができる。それは従来から搭載されていた“未来予測”という能力を()()進化させたもの。だから未来のマーリンからのSOSも受け取る事ができたわけだ。


 未来のマーリンがどのような方法でノルンに手紙を送ったのかは謎だが、未来と過去を繋ぐ大魔法とかいうインチキをしたのだろう。


 世界にとっても重要な役目を持つノルンだが、俺達の肩を持つということは、一応管理者のような立場でもある(ゼウス)に反逆している事になる。


 しかし、ノルン……自律型管理防御SYSTEM‐NORNとしてこう見解を述べた。


 “世界の秩序を守る立場であるはずのゼウスが人間(ユーザー)に対する破壊行為は明らかに矛盾した行動である”


 “どんな理由があっても人間(ユーザー)ごと破壊する行為は世界への反逆と同義” 


 “それが遠い未来で起こることだとしても守らなければならない”


 “相手が同じ神だとしても、止めなければならない”


 “たとえゼウスが正義だと世界に認定されたとしても”


 “ゼウスを倒すことが世界の反逆になってしまうとしても”


 “全ては世界を守るために”


 ――つまり、ノルンにとって世界に反逆するゼウスを止める事が自律型管理防御SYSTEM‐NORNの稼働定義にも当てはまっているから、俺達に手を貸すのは必然であると、そう結論を下した。


『なるほど、そういうことでしたか』


『理解頂けたようで何よりです』


 自律型AIだとかシステムだとかは興味はないし、俺ごときでは到底理解できないが、女神ノルンはゼウスと敵対している。それだけ分かれば十分だ。


 もちろん彼女の言うこと全てを鵜呑みにはしない。どこか嘘をついているかもしれないし、あるいは全て嘘かもしれない。


 現にこれまで会ってきた女神達も全員が全員正直者というわけではなかった。


 女神ノルンは果たしてどちら側なのだろうな?


『次に未来を救うためにあなたとそのお仲間を鍛える話ですが、その前に夕食にしましょうか。お腹の虫も鳴る頃でしょう?』


『え?』


 ノルンに言われ、自分の胃袋情勢を確認してみると、やや空腹という感覚が脳に伝わってきた。


『あぁ、確かにお腹空いてきましたね』


『こちらで用意しておきます。ダストさんは夕食の準備ができるまで自室で待機して下さい。もちろんヴァルハラの中を見て回ったり、外に散歩に出るのは構いませんが、あまり遠くに行かないようにお願いします。迷子になったら激しくめんどくせえですので』


 最後だけ本音出るの何なんだ? 少しは隠せ。


『わ、分かりました。うーん、俺はまあ特に外に出る用事は無いので、せいぜい城の中を探検するくらいに留めておきます』


『そうして頂けるとありがたいです』


『ねえ、城の中を探検するなら私が案内してあげるよ〜』


『あ、ではヒルドさん、宜しくお願いします』


『じゃあそういうことだから、ダスト君と城内デートしてくるね〜』


『デデデデート!?』


『デートだよ〜? 私をエスコートしてね〜』


『わ、分かりました』


 デートという単語に戸惑いつつも、ヒルドさんと2人きりで城内を歩くというシチュエーションに内心歓喜した。


 こうして俺達は女神ノルンの部屋をあとにし、宣言通り城内を2人でぶらぶらと歩き回ったのであった。


 ――そして夕食の時間となった。アナウンスが城内に響き渡った。


 俺達は食堂へと足を運んだが、その際にヒルドさんの顔は少し青ざめていたような気がした。


『いらっしゃい、ダストさんにヒルド』


 食堂に先に着いていたのはノルンのみだった。女神自らお手伝いをしたのかエプロンを纏っていた。


 後ろにはメイド達が控えており、何人か行ったり来たりと多忙を極めている様子だった。


 部屋の真ん中には長方形の食卓、豪華な模様のテーブルクロスを敷いており、その上に蝋燭が何本か灯していた。さらに天井にはシャンデリアが俺達を見下ろしている。


 これは食堂の中というより、豪邸の食卓といった方がピンとくる。


『あ、どうもノルン様』


『料理が置いてある席に各々座って下さい』


『はい、失礼します』


 俺は軽くお辞儀をし、席につく。


 しかし目の前の料理を見てみると、この雰囲気とそぐわない庶民的且つ馴染みのある料理があった。それは――


『これってカレーライスですか?』


 “カレェェラァイス“だとか“カレシダイスキ”なんてふざけた名前じゃないだろうな?


『はい、あなたの世界で言うとそうですね。そのようなものです』


『名前はカレーライスじゃないんですか?』


『いえ、この料理の名前は“シュヴァルツシルトトマトブラッドバーニングラインヴァイズ”です』


『はい? 今なんて?』


『ですから“シュバルツシルトトマトブラッドバーニングラインヴァイズ”です』


『えーと、しゅばるつしる……とまと? ぶら……ばーにん……ヴァイ……ズ?』


『“シュバルツシルトトマトブラッドバーニングラインヴァイズ“です』


『あ、もういいです』


 どんな名前かと聞いてみれば、なんだその厨二且つ長過ぎる名称は……。こんなの覚えられるか!


『あら、どうしましたの? ヒルド?』


『え、いやぁ……』


 ヒルドさんは何を渋っているのか、席に座ろうとはせず、メイドと同じように後ろに立っている。


『早く食べましょ、せっかく私があなたの大好物の“シュヴァルツシルトトマトブラッドバーニングラインヴァイズ”を作って差し上げたのに、冷めてしまいますわ』


『あ、あはは……そう……ですよね〜』


 ヒルドさんはようやく席に座り始めた。終始無表情ではあったが、何かに怯えている。それだけは分かった。


『あれ? ケイデ……ヘラクレスさんは?』


『彼ならまだ仕事中だから、夕食はまた後で取るみたいですわ。ささ、早く食べちゃいましょうか』


『は、はい』


 頂きますと手を合わせると、俺はスプーンを手に取り、ルーいっぱい掬って口に運んだ――



 ――そして気がついたら俺はまたベッドの上にいた。またしてもヒルドさんを添えて。


『あれ? 時戻ってる?』


 昼間と全く同じ光景だったので、本当にループ現象でも起きているのかと目を疑ったが、それからヒルドさんが目を覚まし、事情を聞くと、どうやら俺はノルン様が作った“シュヴァルツシルトトマトブラッドバーニングラインヴァイズ”を食べた瞬間に気絶して倒れてしまったようだ。


 もちろん毒など入れてないし、病気や呪いの類ではないようだが……。


 まあどう考えてもノルン様の料理そのものが原因だろうな。


 そういえばヒルドさん、寝言だがノルン様の料理変な味するって言ってたもんな。


 しかし不思議なことに、料理の味どころか食べてからその後の記憶が一切ないのだが……一体どういうことなんだろう……?


『ダスト君、覚えてないなら思い出さない方が身のためだよ〜』


『は、はい』


 その後俺達は改めて食卓に呼び出され、ヴァルハラの料理長が作った料理を食べて幸せな気持ちになった。要するにめちゃくちゃ美味い!


 一方ノルン様は勝手に料理を作った事が料理長にバレて、めっちゃ怒られたとか何とか。

第343話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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