第340話『無防備なナースは時代が異なっても無防備だった』
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俺をホールドするこの美女……見れば見るほどケールさんにそっくりだ。胸部にある柔らかい2つのお山を同時に押し付けながら抱きついていることもそうだが、彼女の体型も顔も肌の露出度も……何もかもが同じだ。
あまりにも既視感ある展開に、時が戻ったのではないかと錯覚する。
しかもこの城ヴァルハラって名前みたいだしな。最初にケールさんにベッドの上でホールドされた時も、一応神の居城の中での話だ。
『なんとも奇妙な運命だな……』
その後の事を思い出しながら、はぁ……とため息を零す。
性欲モンスターが消えたとはいえ、この状況に何も思わないわけではない。むしろケールさん(?)の胸部に当てられて、今も理性という名の窓にクモの巣のようなヒビが入っていて、いつ破られてもおかしくはない。
俺があの性欲モンスターみたいになる前にどうにかしなければ……。
『うーん……』
俺が今思いついた選択肢は……。
①、優しく起こす
②、大声を出して起こす
③、襲う
②はあまり大声を出すとこの城の人達に迷惑がかかりそうだからやめとこう。
なのでここは①が無難なのだが……前回はそれだけではなかなか起きなかった。今回もそうに違いない。
ということは……。
――襲え。
よし、③だ!
仕方ないよね! 男が寝てるベッドに潜り込む方が悪いんだからね! これって襲ってくれと言っているようなものだよね! ここで襲わない方がむしろ失礼だよね!
だから、やるよ……今ここで!
今、俺の頭の中には倫理等という堅苦しいものはない。
ただ己の本能に従うのみ。
決してやましい事など在りはしない。
それが人である。
子孫繁栄の為の儀式を行うのみ。
それの何が悪だと云う。
『はぁ……はぁ……はぁ……』
ケールさん(?)の豊満な肉体美に興奮を覚える。最初に会った頃からずっとそうだったが、常に露出の高い服装、その上無防備な格好をする。
今のケールさんも、前回と同じくナース服を纏っている。しかも胸元全開でミニスカートだ。少し角度を変えてみれば、下着など余裕で見えてしまうだろう。
『ケールさんが悪いんだからな……そんな唆られるような格好をするからなんだからな……』
俺は鼻息を荒くしながら、恐る恐る胸部に手を触れようとする。
『はぁ……はぁ……もう……少し……!』
見える……見えるぞ理想郷が……!
――なんて思っていた自分を殴りたい気持ちだ。この後俺は眠っていたはずのケールさん(?)に投げ飛ばされて、気がついたら、またベッドの上で彼女にホールドされていた。何を言っているか分からねえと思うが、俺も何をされたのか(ry
まあ、そういうわけでまたベッドの上ですよ。さっきと状況が全く変わらないし、まるで正しい選択をするまで繰り返すループ現象のようだ。
つまり③はハズレの選択肢だったわけだ。
男としては残念な気もしたが、仕方ない。そもそも寝込みを襲うとか、道徳的に反する事をするなんてどうかしていた。そこは流石に猛省しなければ……性欲モンスターの事言えないじゃないか。
というわけでやはり無難な①を選ぶとしよう。
『あの、起きて下さい』
俺は美女の身体を揺らして起こそうとする。同時に胸部も少し揺れていたが、そこは見ないようにしよう。
『ん〜あと6年3ヶ月21日12時間37分12秒……』
『いや長げえし、細かすぎるだろ』
『ん〜やっぱ、6年3ヶ月21日12時間37分26秒で……』
『いやそれ殆ど変わってねえよ、なぜそんな秒単位で変えた?』
『ん〜やっぱ、6年8ヶ月にじゅ……7年で……』
『途中で言うの面倒くさくなっただろ! 最初からそう言え!』
『ん〜、オムライスは美味しい〜』
『急に何の話!?』
『ん〜、やっぱオムライスは美味しくない〜』
『どっちだよ!』
『ノルン様のオムライスは何か変な味がする〜』
『あ、料理下手なんだあの人』
あの人なんて言ってしまったが、ノルンは人ではなく女神だ。
恐らく性欲モンスターを封印したあの美女こそ女神ノルン様なのだろう。
これまで見た女性の中でもかなり麗しい方だったな。
『もう〜ダスト君、私のパンツ見ないでよ〜』
『あ、それはごめんなさい――って、アンタのは見てねえわ! というか初対面なのに何で俺の名前知ってんだ! もうアンタもはやケールさん本人だろ! マーリンの魔法か何かで未来から来たんだろ!』
『全然違うよ〜、ダスト君の情報も君がここに来ることを全部事前に知っていたんだよ〜』
『もう起きてるだろ! 話噛み合いすぎだろ! 寝言で喋る内容じゃねえんだよ!』
『起きてないよ〜』
『はぁ……もう……』
もはやツッコむのにも疲れた俺は、諦めて布団の中へ戻り、二度寝を決め込むのであった。
常にケールさん(?)の胸部が当たっているせいで、睡魔がまともに働かなかったが、それでも何とか夢の中へログインすることができたのであった。
それから特に映像を見ることなく1時間後――
『ね〜え〜、そろそろ起きて〜』
誰かに身体を揺さぶられている。眠っている中でそう感じ取り、目を開けるとそこにはケールさんに見間違う程のそっくりさんが俺を起こそうとしている光景が映った。
流石に三度寝をしようとも思わなかったので、ぱっちりと目を開けた。
『あ、起きた〜』
『おはようございます』
『おはよう〜』
『えっと初めまして……ですかね?』
『ん? どういうこと〜?』
『いや、俺達どこかで会ったことありませんでした?』
『ん〜、ある〜』
『ある!? じゃあやっぱりあなたはケールさ――』
『いや、やっぱ無いかな〜』
『無いんかい!』
どうやら俺の目の前にいるケールさんのそっくりさんは、俺の知ってるケールさんではないようだ。
『じゃあやっぱりあなたはケールさんではないんですね』
『そうだね〜、私の名前はヒルドだし〜、ケールさんじゃないよ〜』
『そうでしたか。大変失礼致しました、ヒルドさん』
『いいのいいの〜、誰にだって間違いはあるよ〜』
ケー……ヒルドさんはそう言って、俺の頭を撫でた。いやわしゃわしゃと撫で続けた。子供扱いどころかペットである。
『あ、あの……そろそろ離してもらえませんか?』
『え、話す〜?』
『はい』
『しょうがないな〜』
撫でるのをやめてくれるのかと思いきや、その手を止めることなく髪を荒すまま、なぜか別の話をし始めた。
これはまたボケてるのかと、ツッコミを入れようと思ったのだが、話の先端を聞いてから気が変わった。
『これは2ヶ月くらい前の話なんだけど〜、1万年後の未来からある手紙が来たんだ〜』
第340話を見て下さり、ありがとうございます。
皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)
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