第337話『転移先』
皆様
大変お待たせしました。
第337話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
大幅に更新が遅れてしまい、申し訳ございませんでした。
――これは俺がとある場所へ転移してから1年ほど経った後に起きた出来事である。
この神聖なる聖域に、突如として奴らは現れた。
森は燃え、大地は雷に打ち砕かれ、足場と呼ばれるものは1か所を除いて存在しない。
俺達はその1か所である聖域に隠れていた。
しかし、その聖域もいつまでも保たない。俺達を排除する者達が、そう時が経たない内に、この場を特定し、俺達を殺しに来るだろう。
そうなる前に、俺の協力者である神々しいオーラを纏った美女は最終の手段として、禁断のシステムを発動する。
『――これで本当に全員助かるんですか!?』
『……はい。少なくともゼウスとプロメテウスを一時的に停止させる事はできるでしょう』
――襲い来る最強の2神。
それらはただ感情も虚無く、決められた役割を果たすために膿を取り除くだけ。
それこそが世界の理。2神は世界の秩序を守るためのシステム。それに対し俺達は自らの欲望のために改造を施す悪しきウイルス。
そこに異存など有りはしない。在ってはならない。
俺達はそれだけの事をしている。
その自覚もある。
しかし、俺達はやり遂げなければならない。
あの日常を取り戻すため――これから先の未来で殺されてしまう仲間達を救うために――。
そのためなら、俺は世界を敵に回しても構わない――。
『準備が整いました、さあこちらへ』
美女が指し示すのは、光のオーラが溢れ出る地面。水のように地面から溢れ出たようにも、光の色を模した炎のようにも見える。
『その光の中に入れば、あなたの望みは叶います』
俺の望み……それは――
『――ダストさん、後は頼みました。どうか世界を……あの娘達を救ってあげて下さい』
『はい、絶対救ってみせます』
俺は光のオーラに全身を飲み込まれる。
そして、ついに俺の願いは――。
『叶うんだ』
――――――
――それから1年前、俺は“もう一人の自分”にありったけの欲望を引き出され、パーシヴァル達を傷つけてしまう前に、俺は俺を転移魔法で人がいなさそうな世界の裏側まで飛ばした。
もうしばらくは誰とも会わない方がいい。
いや、最悪死ぬまで今のままかもしれない。
俺の物語はここで終了するかもしれない。
それでもいい。
あいつらを傷つけて、俺の願いが叶わなくなるよりはマシだ。
『ところで、ここはどこだ?』
転移場所を設定したのは他ならない俺なのだが、その場所の風景までは把握していない。
――ここは他の世界を閉ざしているような深い森林。空を拝む事はおろか朝日すらほんの僅かしか届いていない。
人間が立ち入る所ではない。そう言われているような気がした。
しかし、こういう森林はファンタジーではよく見る光景だ。むしろ目を奪われるというか、絶景スポットと呼ばれても不思議はないくらいだ。
ここを拠点にするのも悪くはないが、まずはここら一帯の確認だ。もしかしたら危険なモンスターが潜んでいるやもしれんからな。
とはいえ、今の俺の魔力はさっきの転移魔法でかなり消耗している。最も距離がある所へ飛んだのだからその分魔力の消費が激しいのは当然といえば当然だが、ここまで疲労感が強いと歩くのも結構しんどい。しかもモンスターに不意打ちされないように探知魔法も使わなければならない。
つまり、鬼ごっこで全力疾走してめっちゃ疲れたって時に、その先にいるかもしれない別の鬼を警戒し続けているようなものだ。ガチでしんどい。
『一旦休むか』
俺は樹木を背に腰掛けた。
『ふぅ……』
一息ついたところで瞼が重くなった。このままではこんな得体の知れない場所で無防備なまま夢の世界へご招待されてしまう。
探知魔法は意識がないと無効になる。それはマズイな。でもだからといって眠らないように立ちっぱなしになるのも体力を地味に消耗し続けるだけだ。
どうする? 意識が無くても発動できる結界魔法ならギリギリ展開できる。しかし、それだと体力は回復できても、魔力はあまり残らないだろう。そうなるといざという時に身を守れる魔法を使うことができなくなる。
しかし体力が無ければまともに行動することは叶わないし、それこそ身を守るために身体が動かないのもかなり困る。
『うーん……どうした……もの……か……』
こうして思考を巡らせるだけでも睡魔は容赦なく襲ってくる。
『ヤバい……眠っちゃ……だめ…………だ………………』
夢の世界に強制ログインするまであと3秒になったその時、どこかから女の子の声が聞こえた。
――そこで寝るのやめてもらっていいですか?――
『え?』
直接頭に流れてくるような音響だったからか、嘘のように目が冴えた。もう一度寝ようとしても眠れないだろう。
『誰だ?』
辺りを見渡してみても、人の姿なんて確認できn――
『私は森の管理者Fです』
『うおっ! ビックリした!』
どこにもいないと思ったら、急に横からツインテールの美少女が現れた。外見だけならゴールドちゃん達三姉妹よりも少し幼く見える。
『あなた、その木に寄りかかって寝ようとしましたね?』
『え、ああ、少し休憩しようと腰掛けただけなんだけど、思ったよりも眠気が強くてね……まずかった?』
『神聖な木なのであまり触れないでもらいたいです』
『ごめんなさい』
『分かってくれればいいんです』
森の管理者F――今後は心の中ではエフちゃんと呼ばせてもらうが、この娘はなぜこんなところで管理者なんてやってるんだろう?
こんな薄暗い森の中でこの落ち着きぶり、一回り身体の大きい俺を見ても一切物怖じしないこの態度。
それにさっき、俺は不意打ち対策に探知魔法を発動していたはずなのに、エフちゃんは俺のパーソナルスペースにスッと自然に入ってきた。
本来であれば、誰かが半径20メートル以内に入ればその時点で探知魔法が反応するのだが、それが一切無かった。
つまり、エフちゃんは魔法が効かない、あるいは魔法無効の結界を自分自身に貼ってあるか、どちらかと思われるが、この時代に“魔法を無効にする魔法“なんて存在しない。
ということは――
『ああ、もしかして君――』
『それ以上言わなくていいですよ。私もあなたの事も事情も分かっています。ねえオーガスト・ディーンさん、いやダストさん? それとも本名で呼びましょうか? ■■■■■さん?』
『は……?』
ちょっと待て、この娘なぜ俺の本名まで把握している……?
第337話を見て下さり、ありがとうございます。
今後なんですが、世界観や魔法の概念についての設定も投稿しようかと思います。
じゃないと分かりづらい所もあると思ったので(遅えよ)
色々と未熟な小説家でごめんなさい。
今後とも宜しくお願い致します。




