第334話『教員生活編〜特別な来訪者〜』
お待たせしました。
第334話の執筆が完了しました。
宜しくお願い致します。
※矛盾した文章があったので削除しました。申し訳ございませんでした。
教師になってから2週間が経った。
その間特にトラブルなく、順調に教員生活を送っていた。
変わったことと言えば1つある。それも嬉しい変化だ。
今までサボり気味だった銅と、ずっと不登校だった銀河が毎日笑顔で登校してくるようになったことだ。
2人共最初は友達とかできないのではと不安だったが、事情を知っているルカちゃんを中心にクラスメートと仲良くできているようだ。
だが、黄金だけは、やはりまだ心を開ききってないのか、1回登校して以来またサボりをするようになった。かといって銀河と銅と仲違いしてるわけではないようなので、そこはひとまず安心といったところだ。
『じゃあ今日も行ってくるか』
俺はパーシヴァルとルカちゃんとルカヴァちゃんと一緒に学院へ向かう。毎回のことだが、学院長は既に一足早く学院へ向かったようだ。
『行ってきます』
『行ってらっしゃいませ、皆様お気をつけて』
あおいちゃんに見送られながら、外の空気を取り込む。
うん、今日もいい天気だ。
それから学校に着くと、ルカちゃんとルカヴァちゃんと別れ、俺とパーシヴァルは職員室のドアを開ける。
『おはようございます!』
いつも通り、挨拶をして席に着く。
時間が経つと、ルーティンである朝の共有会を行う。
ここまではありふれた日常であった。そう、ここまでは。
『驚かずに聞いてくださいね。実はですねディーン先生とお話がしたいという方が先程訪ねられましてね、その方はなんと“特別な力を持った方”でして』
その“特別な力を持った方”と聞いて、周りの先生方は驚愕と困惑でざわざわし始めた。
“特別な力を持った人”というのは、文字通りの意味ではあるが、6属性以外の魔法を持っているというわけでもなければ、ルカちゃんS‘やカレンちゃんのように精霊の力を持っているというわけでもない。
ただ単に、その6属性の魔法の1つが特別長けているだけである。要するにその1つの魔法を極めている者と言っていいだろう。
そんな奴が、ただの教員である俺に一体何の用だろうか?
『ええ!? あの“特別な力を持った方”にですか!?』
心の中ではそれほど驚いてないが、まるで芸能人に名前を呼んでもらえた時のような驚き方をした。実際そのレベルの出来事のようだしな。
『あはは、驚きますよね。私も驚いてますよ』
『ですよね……でも何で私なんでしょうかね』
『それは本人と話してみれば分かることです。今いらっしゃているようですが、ディーン先生はこの後自分のクラスのHRがあるので、その後すぐに面談するという方向で宜しいですか?』
『はい、それで大丈夫です』
『分かりました。そのように伝えさせて頂きます』
『宜しくお願いします』
その後、銀河と銅もいる教室に行き、HRを終わらせてから、面談室へ向かう。
ドアを開ける前に声が聞こえた。どうやら面談室の中には既に俺のお客さんが来ているようだった。
ただ、この声……どこかで聞いたことがあるような……?
俺はコンコンと扉を叩く。
『入ってきてー』
『失礼します』
そこに居たのは、頭のおかしい美女学院長と濃い赤髪の美女の2人。
この濃い赤い髪の人が“特別な力を持った方”のうちの1人で、俺に会いたがっているようだ。
この美女とは初対面……ではない。
ただ初めて会った……いや会うことになるのは1万年後。
かつて魔王を取り戻す為、火の国へ向かう最中の荒野でキャンプした時に夢の中(?)で出会った火の女神その人だ。
一人称は“俺”で、口が悪くて話が通じない。俺の苦手なタイプだ。初めて会った時も口論とは呼べない幼稚すぎる罵倒をお互いにぶつけあってたな。
今度は冷静に話し合えるといいが、今のこいつはどうなんだ? さすがに性格が多少違うかもしれないし、そもそも同一人物かどうかすら分からない。いかに女神と呼ばれようとも1万年も生きれるのかもよく知らない。
『よお、俺の名前は……とりあえずフレイって呼べ』
フレイは、とても大人とは思えない不良のような態度と言葉遣いで勝手に自己紹介をし始める。
『初めてまして、私の名前はオーガス――』
『オーガスト・ディーンだろ? しかもそれは偽名で本名は別にあるんだろ?』
と、フレイは一部の人しか知らない情報を口にした。
『な、何の事でしょう?』
少し動揺して噛んでしまったが、表情は何とか隠しきれた……と思う。
『隠してんじゃねえよ、俺はもう知ってんだ。昨日商店街付近の路地裏で逮捕されたチンピラ共をブチのめしたのはてめえだってこともな』
『なっ……!?』
あの時、俺を目撃したのか? ――いや、顔がバレないように静かに立ち去ったはず。探知魔法こそ発動しなかったが、それでも細心の注意は払った。気配らしき気配も一切感じなかった。
『なぜ分かった? という顔をしているな。匂いだよ』
『匂い?』
『ああ、てめえからあのクズチンピラについた水魔法の匂いがしたんだ』
匂いだけで分かるだと……? いやいや、そんな匂いだけで全てが分かる魔法なんて無いのにどんな嗅覚してんだよ。
『いやいや、何を言ってるんですか、あなたは……』
『おいおい、だから隠すなっての。もうてめえがやってるのは分かってんだよ、観念しろ』
フレイはそう言って俺を睨みつけた。
おいおい、勘弁してくれよ……。
俺はただ黄金と銀河を助けたかっただけなのに……。
――また俺が悪くなるのか。俺のせいで。俺が悪い。
でも俺は悪くない。俺はただ助けたかっただけ。彼女達の幸せのために――
それだけだったのに……それだけだったのニ!
――あァ、また身体ガ軽い。
気づイたら俺ハ、フレイに氷の剣を向けていた。氷魔法なんていツ発動シたノダろウか。そレスらも覚えテイナイ。
『俺の邪魔ヲするナ』
――視界がぼんやりしている。まるで黒いペンでぐちゃぐちゃに塗りつぶしたような模様が人の姿を視認する事を邪魔している。
相手が何を喋っているのか分からない。というかそもそも動いているのかすら分からない。
現身でありながら、夢の中にいるような奇怪な感覚。
それが俺の理性を更に狂わせる。
2つの何かはこちらの出方を伺っている。恐らく俺を排除する気なのだろう。世界を滅ぼす病原菌は殺菌するべきだと。
そうだろうな。俺という存在は世界にとって最も不要。あってはならない腫瘍。
いらない、いらナい、イラない。いラナい。いらナイ。
それで結構。しかして俺の存在は終わらぬ。貴様ら程度の人類が俺を殺せると思うな。
俺は快楽を搾取し続ける。俺の幸福は――。
俺がいなければ快楽対象者は幸福を追求することはできぬ。このような腐った世界では――。
だから、俺ハ排除さレテはナらヌ。
削除するベキは悪を消ソうとスる正義。
ナらば俺は貴様ラノ正義ヲ否定すル。
覚悟しろ、覚悟しロ。貴様らハ俺の手ニよっテ――
『いい加減にしろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!!!!』
突如、とんでもなく大きな声量が俺の鼓膜を突き抜けて、脳を震撼させる。
『うわあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!』
あまりにも声が大きかったので、思わず叫んでしまった。
『耳が……耳がああああああああああああああああああ!!!!!』
俺は両耳を押さえてのたうち回る。
それと同時に薄れていた意識がはっきりとした。
ん? 意識がはっきりした……?
何を言ってるんだ俺は……?
フレイは苦しんでる俺の事など気にせず胸ぐらを掴んできた。
『人の話くらい黙って聞きやがれこの野郎!』
と言っているようだが、耳が痛すぎて今の俺には全く声が届かなかった。
それからしばらくフレイは怒号を俺に浴びせ続けた。全然聞こえないけど。
第334話を見て下さり、ありがとうございます。
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