第330話『教員生活編〜トラブル発生〜』
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銅から、黄金と銀河がいつも行くスーパーの場所を教えてもらった。俺とパーシヴァルもよく行くスーパーだったので、道に迷わずに済んだ。
『黄金さんと銀河さん、いる……?』
スーパーの中や、その周辺を見てみたが、どこにもその姿は無かった。
『ここにはいないみたい』
『じゃあどこに……?』
となると、まずいかもしれない。2人がスーパーにはいないなら、とっくに家に着いているはず。なぜならこのスーパーと白鳥家はそれほど距離はないからだ。
どんなに遅く歩いたとしても、寄り道しない限りは俺達とすれ違ってるはずだ。
そうでないなら、彼女達は誰かに連れ去られた可能性がある。
だが、こんなに人だかりがあるのにそれは難しいだろう。ただでさえ黄金は美少女だ。そんな目立つ要素しかない彼女がそこら中を歩いていたら、周辺の人達全員が目を引くだろう。現に今、ここら一帯の人達は黄金によく似てる妹の銅に視線が集中している。
――しかし、それが幸いしたのか、1人のベテラン主婦が有益な情報を提供してくれた。
『ねえ、さっきそのかわいい女の子に似た2人が、そこの路地裏に入っていったんだけど、知り合いかい?』
『はい! そうです! 教えて下さりありがとうございます!』
俺と銅はお礼を言うと、すぐにその路地裏まで走っていった。
そこで目にした光景は――。
黄金と銀河が不良集団に絡まれていた。黄金と銀河はそれぞれ不良の1人に捕まっており、黄金に関しては既に何度も暴行を受けており、身体の所々に殴打の痕があり、しかも服も破られていて下着丸見えの状態だ。
『お姉ちゃん! お姉ちゃん!』
銀河は泣きながら、何度も黄金に向かって叫んでいる。
黄金はダメージが大きいのか、今にも意識が沈みそうだ。早く手当をしないと危篤な状態になるかもしれない。
そんな黄金を見て、不良達は醜悪な顔つきでニヤニヤと嗤っている。いや下着姿でボロボロになっている黄金に興奮していると言ったほうが正しいだろう。
もはや自力でどうにかできる状況ではなく、不良達は各々魔法をいつでも撃てるように準備されている。つまり銃やナイフを向けられているようなものだ。
『“こが姉”! “きら姉”!』
銅は堪らずそう叫んだ。すると不良達は1人残らずこちらに振り向いた。
『あ? なんだてめーら?』
『男1人に、マブイ女のガキが1人か』
『あのガキ、こいつらの姉妹か? いいね、こいつと同じ目に遭わせてやろうぜ』
『でも、まずあの弱そうな男は邪魔だな。俺ちょっとアイツボコしてくるわ』
そう言ってその不良は手に炎を浮かせて、俺に放とうとする。
『先生……』
銅は不安と恐怖が入り混じったような顔で俺の裾を掴む。
俺はそんな彼女とブロンズ様を重ね合わせた。思わず見間違えそうになる。そんな目で俺を見てしまっては――
『なにイチャイチャしてんだよ! 喰らえ!!』
不良は思いっきり手を振りかぶり、炎魔法を撃つ。
炎の鉄球が垂直に俺に襲いかかる。
やはりこの程度か。
俺は炎を容易に打ち消せる水魔法を放った。
すると炎魔法は水の剛球に撃たれ、それは煙と化して消えていった。
『なに!?』
そんなバカな。その言葉が出る前に、炎を打ち消した水魔法は相殺することなく、そのまま軌道を変えずに、不良の顔面に直撃する。
『いてっ!』
不良は目を瞑ったまま尻もちをついた。
『な、なんだ……? 今の水魔法か?』
不良は驚いた顔で俺を見る。
一体何を驚いている? 確かに俺の方が実力は上だとはいえ、水が炎に強いなんて当然のことだろう。それすらも分からないとは……。
『そうだが?』
俺は不良達を睨みつけた。
『今すぐその娘達を放せ』
『けっ、誰が離すかよ! こんな上玉! もっと可愛がっていじめていじめて、俺の欲求を解消してもらうのさ!』
さっきの水魔法で俺の強さが分かったと思ったんだがな。どうやら余程のバカなのか、それともさっきのはマグレだと思ったのか、こいつらは、まだ俺をボコす気でいるらしい。
『そうか、なら容赦はしないぞ』
本来なら、人に魔法を当てるのは暴行罪になるのだが、こういう人を助ける目的だったり、自分の身を守る目的であれば無罪になる。ただし過剰防衛は除くが。まあ要するに正当防衛と同じように思ってもらえばいい。
さて、とりあえずこのゴミクズ共をブチのめす事は確定した。位置関係を把握しよう。
まず1番手前には先ほど俺の水魔法にぶっ飛ばされた奴と、その後ろに7人で計8人だ。内1人は銀河を捕えていて、更に1人は黄金の両腕を掴んで壁に押さえつけている。
考えるのは面倒だ、片っ端から水魔法を当ててやる。
俺は人差し指と親指を立てて、銃のように不良の1人に向ける。無論お遊びでやっているわけではない。
『あ? 何やってんだ?』
標準を定められている不良には何も恐れがない。俺がこれから何をするかなんて理解できないだろうからな。
俺は指先に水魔法を発動する。爪の先から3センチほど離れたところに直径1センチの水の塊ができた瞬間に、それを不良に向けて高速で放つ。まるで本物の銃のように。
『バン』
銃口を向けられた不良は避けることすら考えられずに、水銃に身体を撃たれ、リアクションを取る暇もなく、そのまま地に伏せた。
無論さすがに殺しまではしていない。少し経てば起きるだろう。ただし撃たれた部分に多少の痛みはあるだろうけどな。
『お前、何をし――』
次に前に出た不良も同じように水銃を放ち、倒れた。
この調子で、1人また1人と撃っていった。
銀河を捕らえていた不良は、さすがにただ事ではないと俺に恐怖を抱き、銀河を解放して、その場から全力で逃げ出した。
残りは黄金を捕らえている不良ただ1人だけだ。
こいつは特にこの不良グループの中のボスってわけでもなく、ただの不良Aって感じのモブだ。大して強くもない。何ならうちの生徒の方がよほど強そうだ。
『くっ……!』
不良Aはこんな状況になりながらも、まだ黄金を放さなかった。
このまま自分が始末されるのは分かっているだろうに。なんて往生際の悪い奴だ。
『あとはお前だけだ。逃げ出すなら今のうちだぞ?』
俺は“水の鉛”を浮かべて、不良Aを脅す。
『クソが……!』
不良Aはそれでも投降はせず、黄金にナイフをつきつけて人質を取った。
『お姉ちゃん!』
『こが姉!』
『動くな! 動けばこいつがもっと酷いことになるぜ!』
なんとベタな展開。卑劣極まりない行為ではあるが、この状況で相手を動けなくするには最善の策と言える。
……いや、感心してる場合じゃない。どうすれば黄金をこれ以上傷つけずに助けられるか考えろ。
今、“指鉄砲”を作れば攻撃の意志があると見なされて、黄金の身体に更なる傷を作ることになる。ただでさえ殴られた跡もあって痛々しいというのに……。
どうしようか迷っていた時、黄金は僅かに残った意識を持って、俺にこう言った。
『……アタシの事は……気にするな……撃て……』
『ゴールドちゃん……』
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