第328話『教員生活編〜襲来する美少女達〜』
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程なくして、ルカヴァちゃんは無事に目を覚ました。幸い先程見た記憶は曖昧になっており、変な夢を見たということで片付けられた。
ところで俺の部屋にあったパーシヴァルのパンツだが、あれは自分の下着を異性の部屋に置くという羞恥プレイをしてみたかったからということらしい。こいつ狂ってるぞ。
俺やマーリンならともかく、まだ年端のいかないルカちゃんとルカヴァちゃんと同じ屋根の下にこんな変態を野放しにはできないので、その悪癖は治すように注意した。
さすがのパーシヴァルも反省して、二度とこのような事はしないと誓ってくれた――と思ったら、すぐに自らスカートをたくし上げて快楽を得ようとしてきた。
まあ、きっとパーシヴァルも慣れない世界に来てから、少しストレスが溜まっていたのだろう。
すぐには治らないだろうから、少しずつ治すようにシフトした。
全く……パーシヴァルといい、ブロンズ様といい、どいつもこいつもパンツパンツパンツって……奴らは俺を女の子のパンツ大好きな変態だと思ってるのか? そこまでパンツゴリ推しされたら、さすがの俺も引くぞ……。
――で、パンツといえば、色々目のやり場に困るミニスカメイド姿のあおいちゃんは何があったかと言うと、どうやら仕事帰りに偶然マーリンと出会って、ちょっとコスプレして遊んでいたら、今さっきまで気づかずコスプレ服のまま帰ってきたらしい。ちなみに鼻メガネのマーリンはコスプレではなく、ただ驚かせたかっただけらしい。
もうこの人よく分からない……何やってるの……。
――それから俺達はみんなで夕食を済ませ、順番に風呂に入り、就寝する準備をした。
俺も明日は早いので、この世界の深夜アニメのリアタイは諦めて、早めに寝ることにした。
どちらにせよ、今日は初めての教師の仕事を体験して、身も心もかなり疲弊している。まだ使って間もないベッドではあるが、身を委ねればすぐに――
――俺は夢の世界へログインした。
やけに現実性のある内容だった。
というか、今の俺そのものだった。
初日と同じように俺がHRを仕切っていると、突然扉が開いて、あの3姉妹が――
――と、ここで俺は夢の世界から強制ログアウトされた。
窓を開けると、闇に染まった空は光を取り戻し、それを祝福するかのように――あれ?
俺はある違和感を覚えた。
必ずそうだとは言わないが、朝といえば定番のあれがあるのだが、それがあまりにも静寂で、まるで最初からこの世にいなかったかのようだ。
コケコッコー。あるいは、チュンチュンと鳥類の動物が鳴き出す時間帯なのだが、それが何も聞こえない。
特にベランダに鳥避けの物をぶら下げているわけでもない。
そういえば昨日は犬や猫、虫さえも見かけなかった。
偶然か?
『それも少し調べてみるか』
俺はこの世界の携帯を使い、動物について調べてみた。すると――。
『えっ……?』
これは一体どういうことだ? なぜ馴染みあるはずの動物達が……全て神話上つまりは架空の生物になっているんだ……?
――――
さて、今日で教員生活2日目。
俺は朝の支度をして、パーシヴァルとルカちゃんとルカヴァちゃんと一緒に家を出た。マーリン学院長は忙しいのか既に学院へ向かっている。あおいちゃんは休日なので留守と家事を頼んだ。
学校に着くと、ルカちゃん、ルカヴァちゃんと別れて、職員室へ向かう。
そこで定例通りに、教員たちの共有事項、報告等を聞いて、それから教室に行く。
『皆さん、おはようございます!』
『おはよーせんせー』
『おはようございます』
生徒達は挨拶がてら席に着席する。
やはり今日も席が3つ空いている。結局昨日はあの例の3姉妹の顔を拝むことができなかった。そして今日も、とっくのとうに開始時間も過ぎているのに彼女達からの連絡は無かった。
俺は少し残念に思いつつ、それを表面には一切出さずにHRを始めた。
緊張気味だった昨日よりはスムーズに進行できた。
生徒達もみんな静かに聞いてくれるし、俺が何か変な事を言ったら、ツッコんでくれるし、生徒達と“理想の関係”を築けている。
それ自体は良いことなのだが、あまりにも上手く行きすぎて逆に怖い。これは何かの前触れではないかと本能が疼いている。
何だ、一体何が起きる。
鳥肌が止まらない。少し具合が悪くなってきた。
考えすぎか?
落ち着け。
この感覚は――。
――そしてそれを遮るようにガラガラガラと扉は開かれた。
そこに現れたのは、2人の美少女。制服は着崩しており、スカートはかなり短め、髪の色も染めていて、他の生徒達とは存在感が違う。この2人はまさに“不良”“ギャル”という言葉がお似合いだ。
昨日見た夢と状況がかなり類似している。違う点を上げるとするなら姉妹3人が来るところ2人しか来ていない。全く同じではないが正夢と言っても過言ではないだろう。
というかそれ以前に――。
『ゴールドちゃん……? それにブロンズ様???』
そう、今まさに眼前にいるのは、ゴールドちゃんとブロンズ様そのもの。しかし俺の知る彼女達とは雰囲気が違うようだ。それに俺を見ても何の反応もない。あのゴールドちゃんなら『ダストっち〜』って明るく挨拶してくれるし、ブロンズ様でも、どんなにドSモードになっていても、最低限挨拶くらいはしてくれる。
しかし、そんな面影はどこにもない。姿だけは本当にそっくりだが、別人として見たほうが良さそうだな。今は俺の生徒として――
『は? 何言ってんの? まあいいけどアンタ新任? アタシ達の席どこ?』
金色の髪の美少女は目上の人にあるまじき態度と言葉遣いでそう聞いてきた。
『その前に1つ聞いていいかな、白鳥黄金さん、それに銅さん』
『何だよ』
『どうして昨日来なかったんだ?』
『は? そんなのだりぃからに決まってんだろ、だって学校なんて行っても仕方ないし、なあ銅?』
『ええ、そうね。こが姉の言う通りだわ』
なるほど、この2人は特に理由もなくただダルいからサボったということか。それ自体は経験ある奴もいるし、別に珍しくないのだが、それを教師の前で堂々と言う奴はなかなかいない。
やはり不良なのか、でもそれには必ず理由がある。怒らずにそれを探るとしよう。
『そうか、ダルいか……』
『は? え、なに怒らないの?』
黄金は俺が説教しなかったことが意外だったのか、驚愕の表情が現れている。
『アンタ何企んでるの? あー分かった、アタシ達の身体目当だろ、ここでアタシ達を怒らないことで好感度を上げといて、アタシ達を襲う気なんだろ? アタシは騙されねえぞ』
黄金はそう言って俺を下劣な人間を見るような目で睨みつけてきた。どうやら彼女は大人に対して疑心暗鬼なところがあるようだ。
俺の知ってるゴールドちゃんは、こんな人に対して洞察するような娘ではない。脳筋だからな。
――そうか、やはり君はゴールドちゃんでは無いんだな。そう思うと俺は少し寂しい気持ちになった。
『おいおい、何だよその表情……気に食わねえ』
『こが姉?』
『もういい、今日は徹底的に授業を妨害して教師を困らせてやろうと思ったんだが……なんかしらけた。銅帰るぞ』
黄金はそう言って、教室をあとにした。俺もそれを止める気はない。今は何を言っても無駄だろうからな。
『え、帰っちゃうの? まあ、こが姉がそう言うなら、私もそうするけど……』
銅は一瞬潤んだ目で俺を見た後、黄金を追いかけるように去っていった。
『先生、白鳥さん達を追わなくていいんですか?』
『ああ、大丈夫だ』
『そうですか、先生がそう仰られるなら』
生徒達もそれ以上は何も言わずに、沈黙を受け入れた。
白鳥黄金に白鳥銅か……白鳥銀はずっと不登校のようだし、あの3姉妹には何か訳ありの事情を抱えているような気がする。それは俺のような人間でも解決できることなのか。かつて1人の少女を傷つけた俺に、魔王城の幹部としての彼女達に助けられっぱなしの俺が、彼女達を助けられる立場なのか?
俺は葛藤した。
俺にあの3人を救えるのか。
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