第314話『俺の精神世界の中で……②』
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――まずは、あおいちゃんを疑ってしまったことを詫びよう。せっかく助けに来てくれたのに、偽物だと疑うなんて、あおいちゃんじゃなくても悲しい気持ちになる。もし俺があおいちゃんの立場なら、せっかく助けに来たのに何で疑われなきゃならないんだと憤慨する自信がある。
『あおいちゃん、えっと……疑ってしまってごめんなさい』
俺は頭を下げて謝罪した。土下座くらいしたかったが、重力がないこの空間ではやりにくかったのでやめた。
『いえ……こちらこそ疑われるようなことをしてしまい申し訳ございませんでした。あと生きててごめんなさい』
相変わらずこちらが謝るとあおいちゃんも自虐を足して謝り返してくる。これがあおいちゃんクオリティ。
『いや、本当にごめんなさい。俺がバカなだけなんで気にしないで下さい。あと生きて下さい』
――でも、今回ばかりは俺も譲れない。悪魔の方のあおいちゃんに殺されかけたとはいえ、仲間の方のあおいちゃんを疑ってしまった俺の方がバカだった。あおいちゃんは何も悪くない。だから俺もこの勝負――負けるわけにはいかない!
『いえ、ダスト様がバカなはずはございません! 私こそが1番の大馬鹿女です!』
案の定だが、あおいちゃんも引く気が無いようだ。彼女も勝つ気だ……このネガティブ対決に!
『いえ、今回ばかりは俺の方がバカです。いくら疑心暗鬼になっていたとはいえ、あおいちゃんを疑うなんて最低最悪のクズ野郎です!』
これでどうだ? 最低最悪のクズ野郎という最強の否定言葉を出してやったぞ! これを超える言葉はなかなか出まい! さあどうする?
『いいえ! 最低最悪のクズなのは私の方です!』
なんと……最低最悪を超えるわけでもなく、ただ俺の否定言葉を奪った……だと……!?
うーむ、やはりあおいちゃん手強いな。
このネガティブ界において彼女は最強。あおいちゃんのネガティブぶりには誰もが舌を巻く。ネガティブというジャンルだけなら世界すら取れるだろう。
だが俺も負けてない。俺だって今まで散々な目に遭って、ありえねえくらいの苦痛を負ったんだ。ネガティブを極めてるのはあおいちゃんだけじゃない。
それを今、証明してみせる!
『いいや! あおいちゃんが最低最悪のクズなら俺は最低最悪のゴミクズです!』
『いいえ! ダスト様が最低最悪のゴミクズなら私は最低最悪のゴミクズカス女です!』
『いいや! あおいちゃんが最低最悪のゴミクズカス女なら俺は最低最悪を超えた超ゴミクズカス野郎です!』
『それなら私は最低最悪を超えた超ゴミクズカス超絶ブス女です!』
『それなら俺は最低最悪を超えた超ゴミクズカス超絶ブ男ハイパーです!』
『それなら私は最低最悪を超えた超ゴミクズカス超絶ブス女ウルトラです!』
『それなら俺は最低最悪を超えた超ゴミクズカス超絶ブ男ミラクルです!』
『それなら私は最低最悪を超えた超ゴミクズカス超絶ブス女アルティメットです!』
『それなら俺は――』
俺とあおいちゃんのネガティブバトルは長時間に渡って行われた。
両者一步も引かず、自分の魔力を余すことなく、ぶつけ合った。
――結果は引き分け。歴史に残る素晴らしい戦いだった。
『はぁ……はぁ……なかなかやりますね、ダスト様……』
『あおいちゃんこそ……!』
俺はあおいちゃんに手を差し出す。
『ダスト様……?』
『良い戦いでした』
『ダスト様……!』
俺とあおいちゃんは力強く握手をした。その間に生まれたものは友情。互いの拳を重ね合わせた者同士にしか分からない絆がそこにあったのだ。
俺もあおいちゃんもかなり後ろ向きな思考を持っている。だからこそ解り合い、争ってしまう。それは同族嫌悪かもしれない。けれど、それは決して俺は独りではないという証明に他ならない。
自分の失態を自分で責めるという行為はこれまでいくらでもやってきた。その気持ちを俺とあおいちゃんは理解できる。
しかし、それでも前へ進まなければいけない。時間という概念がある限り、過去へ戻ることは決して許されない。ただし絶対に後ろ向きで考えるなとは言わない。ただ一步でも進む足があるのなら、ゆっくりでいいから進めばいい。さっきの俺達のように自分の思いをぶつければいい。それだけでも一步踏み出しているのだから――
こうして激動のネガティブバトル大会(参加者2人)は幕を閉じた。
次回の大会をお楽しみに☆
『さて、本題に入りましょうか』
『そうですね。ごめんなさい、私が“いつもの”ネガティブになってしまって……』
いつものって言ってるってことは、自分がすげえネガティブであることは自覚してるんだな。それを分かってる上でやってるということは、あおいちゃん自身がネガティブな感情を制御できないってことだよな。俺もわりとそうだから気持ちは痛いほど分かる。マジで辛いよなぁ……。
『いえ、俺も元々ネガティブな方なので、こうして口に出して思いをぶつけられてスッキリしました。むしろありがとうございます』
『そ、そんなお礼なんて……私の方こそ……その、スッキリしたので……こちらこそありがとうございます』
俺が言うのもなんだけど、ネガティブ対決は完全にマイナスなイメージが強いのだが、“自分の胸の内を口に出す”ことができるので案外悪いものではなかった。まあ聞いてる側は気が狂うだろうがな。
あおいちゃんと話せて良かった。最初は俺を殺しに来たのかと疑ってしまったが、結果的に気分が良い。あおいちゃんもにっこりと可愛らしい笑顔を向けている。
今なら何でも答えてくれそうだ。
『あおいちゃん、その本題というのがですね、俺からあおいちゃんにちょっと聞きたいことがあるんですが……』
『なんですか?』
『あおいちゃんは何者なんですか?』
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