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第312話『邊セ髴願・イ譚・蛛鞘則』

お待たせしました。

第312話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。


※サブタイトルが文字化けしてるように見えますが、普通に入力しただけなのでご安心下さい。

 ――この瞬間(とき)、オーガスト・ディーンことダストはダストでは無くなった。


 では()れは何だ? と問われると人の形をした破壊兵器としか説明のしようがない。


 容姿そのものは変貌していないが、枯渇していたはずの魔力が回復してるどころか、上限が異常に膨れ上がっている。やろうと思えばこの森から周辺の建物全てを無に還すこともできてしまうほどだ。


『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』


 叫び声のような呻き声のようなそれは、声というよりシステムの起動音に近しいもの。パソコンの電源ボタンを押した時のように起動の準備を進めている。


 壊れた歯車(ワールドキャンサー)。“こわれたはぐるま“とそのまま読む者もいるその概念は時代が異なっていても発動できる。


 1度発動してしまえば、もう誰にも止められない。それは今のダストのように暴走状態になる者はもちろん、ランスロットやエレックのように多少理性がありながら怪物に変身する者もそうだ。


 それを止められるとしたら、その者は人を超えた存在なのであろう。あるいは同じ壊れた歯車(ワールドキャンサー)を持つ者だけだ。


 ――今、この神聖な森には3つの化物(イレギュラー)が存在する。


 1つは橋本ルカの実の父でありながら、精霊そのものになれる能力の持ち主。


 1つは橋本ルカの実の母でありながら、精霊そのものになれる能力の持ち主。


 それらに立ち向かうは、最後の1つ。


 突如異世界に飛ばされ、突拍子が無さすぎる展開に翻弄された、才能のないごく普通の少年ダストだ。


 しかし、今は最悪の事態を免れるため、ルカちゃんを守るために最終手段である壊れた歯車(ワールドキャンサー)という禁忌の力に手を出してしまった化物である。


 “それ”に理性はない。


 “それ”は壊すもの。


 “それ”は排除するもの。


 “それ”は憎むもの。


 “それ”はあってはならないもの。


『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』


 人は“それ”を持ち出してはならない。


 人は“それ”を使ってはならない。


 人は“それ”を求めてはならない。


 そんな規則を設けなければ世界が壊れていく。


 ゲームで例えるならチートを使っているようなものだ。チートを使えばありえない力を手に入れ、あらゆる敵を必ず無双することができる。その代わり、チートを使った者は今後まともな舞台に立つことができない。それどころかその世界が歪む。


 チートは恐るべき禁断の果実なのだ。


 壊れた歯車(ワールドキャンサー)もそうだ。


 これは使った者の歯車(りせい)と世界の歯車(ちつじょ)を壊すもの、歪めてしまうもの。


 だからこの有識者はこれを使ってはならないと警告する。逆に言うと、それを使えと誘う者はつまり――


『アアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア』


 狂っている。


『オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!!!』


 “それ”は起動から雄叫びに変わると、親精霊の元へ走り出し攻撃をしかける。


『aaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaaa』


 “それ”は空中に真っ黒な剣を無数に出現させる。そしてそれを2つの親精霊に向けて、鉄の豪雨を余すことなく撃ちつける。


『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』


 2つの親精霊はろくに防御できないまま、全ての弾丸(けん)をまともに受け、もがき苦しんでいる。これは2つの親精霊が受けた傷の中でもぶっちぎりで痛くて容赦のない残忍なものだ。


 かつてないほどの痛みを受けた片方の親精霊は手と膝を地につき、もう片方の親精霊は膝をついてからその辺に生えている樹木ごと倒れた。


 これだけでも相当のダメージを負わせ、あとは止めを刺すのみなのだが、“それ”は容赦というものを知らない。


 かつて元の時代で■■(ダスト)がベンリ街で暴走した時に葛木に復讐した時と似たような状況ではあるが、その比ではない。


 もっとおぞましいもの。


 ヒーローショーや王道漫画でただ悪を倒すのとはまるで訳が違う。


 自分に不都合なもの何もかもを壊す。


 その本質は非常に傲慢で自分勝手でわがままだ。方向性という点だけで言うなら、駄々をこねて暴れ回る子供と何ら変わらない。


 とにかく邪魔なものは壊さなければ気が済まない。


 ウザい奴をぶちのめしたい気持ちがそのまま現れているような復讐心(かたち)


 “それ”を表すのはまさに独善者。(ダスト)の個人的な大人達への怒りそのものだ。


『ギャアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!』


 痛い、痛いと号泣するように叫ぶ2つの親精霊。


 今まで散々(橋本ルカ)を■■しておいて、いざ自分達が痛めつけられるとあっさり命乞いをする。それがあの親精霊達だ。娘の事など一切考えていない。ただ自分が助かればいい。そんな風に思っている。


 だが、もう彼らが助かることはない。なぜなら世界の禁忌に触れた“それ”に喧嘩を売ってしまったからだ。


 “それ”の力は圧倒的だ。親精霊達が人間を蹂躙できるのなら、“それ”はその親精霊よりも上位の存在にすら軽々と超えるほどの力を持つ。


 故に彼らが“それ”に勝てる見込みはない。


 “それ”はもういつでもその力を振るわせることができる。滅ぼそうと思えばすぐにでも出来てしまうだろう。


 しかし、“それ”はあえてすぐにそれをしない。


 なぜなら“それ”は■■(ダスト)の橋本ルカに対する思いと、個人的な復讐心に関係があるからだ。


 その復讐心とは――


アアアアアアアアアア(ルカちゃんがお前らに)アアアアアアアアアア(苦しまされた痛みを思)アアア(い知れ!)


 ――その後“それ”は親精霊達を死なない程度にじわじわと■り続けた。宣言通り今まで橋本ルカが受けた苦しみをそのまま返すように。


第312話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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