第23話『最高に愛おしいんだ』
お待たせしました。
第23話できましたので、宜しくお願い致します。
※改稿しました。ストーリー・キャラ設定等は変えてません。
※2022年2月20日改稿しました。
※文字数少し多めです。
これからブロンズちゃんと互いの情報を賭けた勝負が始まるわけだが、肝心の勝負の内容はどうするんだろう?
『賭け事といえば、やっぱりトランプゲームとかテーブルゲームのイメージが強いが……』
『え? 何言ってるの? 私まだ一応子供よ? 賭け事なんてやったことあるわけないじゃない』
『え? じゃあ何やるんだ?』
『それはね……ジャンケンよ』
『は? ジャンケンだと?』
このいかにも大人の賭け事が行われそうな雰囲気で、子供でも普通にやるようなジャンケンとは……まあ、ブロンズちゃんも言ってたけど、まだ子供って事なんだろうが、ちょっと想定外だな……。
『……じゃあいくよ~ジャンケンポイ!』
『あ、負けた……』
ブロンズちゃんはチョキを出し、俺はパーを出して負けてしまった。
さて一体何を聞かされるのやら……。
『やった~、それじゃあ……お兄ちゃんの身長は?』
『え? 身長……? いくつだっけな……覚えてないんだけど』
『大丈夫よ、そんな事もあるかと思って、この娯楽施設に、ある魔法をかけさせてもらったわ』
『ある魔法?』
『ええ、相手の情報を覚えてるか覚えてないかは関係なしで、無理矢理頭から引き出させる魔法よ。ただしこの魔法は相手が弱ってる時か、相手が私に対して情報を与えざるを得ない場合のみしか使えないわ』
なるほど、特定の条件でしか発動できない強力な魔法ってわけか。確かに今の状況は賭け事に負けたから情報を与えなきゃいけない。情報を話さずにこのまま逃げたら、ブロンズちゃんに何されるか分からないという恐怖がある……。
確かにそれは情報を与えざるを得ないわけだ。
なかなか厄介な魔法だな。
だが、覚えてなくても関係ないと言っていたが、それでどうやって情報を引き出すんだ?
『上を見てみて』
『上? おお、文字が浮かんでる』
上を向いてみると“166cm“という文字が青く燃えながら浮かんでいた。
自分の身長なんて完全に忘れてたのに、どうやって情報を引き出してるんだろう?
『ふむふむ、なるほどなるほど』
ブロンズちゃんは、ポケットからペンを取り出して、どこかから出してきたノートに俺の身長をメモしている。
何でそんなわりとどうでもよさそうなこと書いてるんだ?
『だからお兄ちゃんの事知りたいからメモしてるんじゃない。さて、じゃあジャンケン2回戦……いくよ?』
だからナチュラルに心を読むなっての……。怖いから。
『ジャンケン……ポン!』
『ふふ、やったわ。また勝ったわ』
今度は俺がグーを出したのに対し、ブロンズちゃんはパーを出してきた。
また負けてしまった……。
『じゃあ、次知りたいのは……今まで、女の子と手を繋いだことがある?』
『え!?』
『え? 何? 今の反応? もしかしてあるの?』
『う、うん、まあ昔の話だけど……』
今、思い出してきた。俺が日本で生まれてまだ数年経った時のことだった、その当時俺はとある可愛い女の子と、手を繋いで幼稚園内を1周したことがあった。なんでそんなことをしたのかはもう覚えていない。ただなんとなく手を繋いで歩きたかったのだろう。
あの女の子元気かな……。
『なーんだ、手を繋いだことないんじゃない。何で嘘ついたの? 見栄?』
『え?』
嘘のはずはないと思って上に浮かんだ文字を見てみると、こう書いてあった。
“女の子と手を繋いだことはない”
『そんなバカな……確かに手を繋いだことあるんだけどな』
『でも、この魔法は嘘つかないよ? 記憶違いじゃない?』
記憶違い……そうなのかな……いや、確かに手を繋いだ記憶が鮮明に残ってる……子供の頃の記憶でもそれだけは絶対覚えてる……もしかしてそういう夢を見ただけ? だとしたらなんかショックだわ……。
『うーん、本当にそうかなぁ……』
『ふーん、まあいいわ、次行きましょう!』
『お、おお……』
その後、ジャンケンは10回戦まで続いたのだが……なんと通算10戦10敗。
俺は別にジャンケンは特別弱いわけではなかったが、これだけやって1回も勝てなかったのは初めてだ。
これ何かおかしくないか?
もしかしてブロンズちゃんは自分に運を上昇させる魔法でもかけてるんだろうか……。
『えー? 何の事ー? 知らないにゃー』
くそったれ! 可愛すぎるから憎めない……!
『えへへー、私、可愛いでしょー』
また心を読んできたよ……って、ん? 心を読む……あ! もしかして……! 俺が顔に出過ぎてるなんて言ってたけど……本当は……!
『はぁ……今頃気付いたの? お兄ちゃん遅すぎー』
やられた……なんで気づかなかったんだ。この世界には魔法という概念がある。つまり心を読む魔法があったっておかしくない。
なるほど、ブロンズちゃんはずっと俺に対して心を読む魔法を使ってたんだ。そうなると、当然ジャンケンで俺が何を出すかお見通しというわけか。
『その通りよ。でも、それでどうするの? それが分かったところで、お兄ちゃんに勝ち目はないよ?』
確かにこのままじゃ勝ち目はない……だから……。
『勝負内容を変えないか?』
『ええ、いいわよ。何にする?』
心を読まれても大丈夫な勝負にしたい……撤去されてなければだが、この娯楽施設の中にあるはずの……あった。あれだ。
『クレーンゲームで勝負だ』
『クレーン……ゲーム? 何それ?』
ブロンズちゃんは、クレーンゲームという名称に馴染みがないのか、首をかしげている。
『クレーンゲームっていうのは、あれのことだ』
俺はクレーンゲームに指を指した。するとブロンズちゃんは、ちょっと不満そうな顔をした。
『えー、怪盗ゲームやるのー? あれ難しすぎて、私苦手なんだよねー』
そうだ思い出した。この世界でのクレーンゲームは、“怪盗ゲーム”って名称の超クソゲーだった……。
ルールを説明すると、景品……お宝をクレーンで掴み取ること自体はクレーンゲームと同じだが、問題はその後だ。
お宝を掴んだ直後に、おもちゃの兵隊の人形がどこからか現れて、お宝を取り戻す為に、おもちゃの銃をクレーンに向けて乱射してきたり、おもちゃの剣でクレーンを叩いてお宝を落とそうとしたりと、とにかくあらゆる手段を使い妨害してくる。
このままプレイヤー側が何もしなければ、絶対にお宝をゲットすることはありえない。
じゃあ、どうするか? そう……この怪盗ゲームにのみ使える、特別な魔法を使うことができる。その魔法は、おもちゃの兵隊にのみ、ダメージを与えることができ、おもちゃの兵隊による妨害を妨害することができる。
つまり、怪盗がお宝を盗むための援護をこちらがする……ということだ。
ちなみにこの怪盗ゲームをやるのは、記憶上の俺からしても初めてだ。アレンも『あれはやめとけ、超クソゲーだから』って言ってたのを思い出した。その当時の俺は、やる機会がなかったので、やらなかったが……今、やる時が来たようだ。
『俺なんて、今まで一度もやったことないよ……でも、これなら、心を読まれても関係ないよね?』
『ああ、確かにねー、でも、私はこれを勝負にするのは納得しないなぁ……さっきも言ったけど、苦手だし……』
『そう言うと思ってたよ。なら、この勝負で俺が負けたら、残りの俺の情報を全て提示する……だが、逆に俺が勝ったら、ブロンズちゃんの情報を全て貰うってのはどう?』
『それは良い考えね! 私でさえ、その発想は無かったわ! 面白いよ! お兄ちゃんのそういうところ大好き!』
ブロンズちゃんは、俺の提案がよほど気に入ったのか、勢いよく俺に抱きついてきた。うおっ、美少女に抱きつかれた! ありがとうございます! めっちゃ良い匂い……ってそうじゃなくて!
俺は別にロリコンってわけじゃないが、確かにブロンズちゃんは美少女だし、精神的にも大人っぽいし、ロリコンじゃなくても可愛いと思うし、むしろ惚れることもありえるレベルだ。
俺はただ……ブロンズちゃんの笑顔が……年相応にはしゃぐこの姿が……最高に愛おしいんだ。
『お、お兄ちゃん……褒めすぎ……さすがに恥ずかしい……』
俺の思考を覗いたブロンズちゃんは恥ずかしさのあまり頬を染め目を逸らした。
これは演技でもなく、本気の照れである。そんなブロンズちゃんの一面を見て、さっきまでの言動や恐怖が嘘のように消えていった。
『それだけ、君が愛おしいと思ったからだよ』
『もう……やめてよ……そ、それよりお兄ちゃんの望み通り、怪盗ゲーム始めましょう!』
照れる姿は姉のゴールドちゃんやシルバーちゃんにとても似ていた。やっぱり姉妹なんだな。とても可愛い。
『うん、勝負だよ!』
よし、気合い入れるぞ! と思ったが……。
『そういえば、お兄ちゃん、お金はあるの?』
『あ……』
そういえばこの世界に来てから、お金を持ったことすらない……ヤバい完全に失念してた……どうしよう……。
『これは1つ貸しだからね。うふふ、分かった? こんな美少女にお金を払わせる情けないお兄ちゃん』
『あ、はい、すいませんでした』
せっかく、盛り上がってきたのに台無しだ、畜生。
第23話を見て下さり、ありがとうございます。
第24話も、出来次第、投稿していきたいと思います。
宜しくお願い致します。




