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第294話『研修編⑤』

お待たせしました。

第294話の執筆が完了しました。

宜しくお願い致します。

 ――声にならない声をあげる。


 俺の右腕が喰われた。ボアウルフの餌となってしまった。


 しかしボアウルフの方はこれくらいでは飢えを満たせない。そもそも俺達への怒りの方がはるかに上だ。


 四肢を食い千切って、死ぬまで後悔させてやらないと気が済まない。目の前のボアウルフはそう考えているのだろう。


『――あ、は』


 やっと声に音が乗った。しかしだからなんだと言う。


 もう遅い。


 血が止まらない。右腕が熱い。痛いというよりその部分だけ灼熱の炎に焼かれているようだ。その炎はやがて身体全体に、そして精神(こころ)さえも焼き尽くす(ころす)


 熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱い熱いあついあついあついあついあついあついあついあついあついあつイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイアツイa……aaaaaaaaaaaaa――


 ――壊れた歯車(ワールドキャンサー)起動――


 ――壊れた歯車(ワールドキャンサー)を発動しますか?――


 “NO“


 ――壊れた歯車(ワールドキャンサー)を発動しますか?――


 “NO”


 ――壊れた歯車(ワールドキャンサー)を発動しロ――


 “NO”


 ――壊れた歯車(ワールドキャンサー)ヲハツドウシロシロシロシロシロシロ――


 “NO”


 ――ナゼ……ナゼナゼナゼナゼナゼナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダナゼダダダダダダダダダダダダダddddd――


 ――dddddddddddddddddddddddddddd――


 ――深刻なエラーが発生しました。しばらくお待ちくだだだだだだだだddddddddddddd――


『ダサいな管理者D(おまえ)


 ――……!?――


『残念だが、この世界線は()()()だ』




 ――という予知を見た。


 2匹のボアウルフとそれぞれ1匹ずつ対峙してから、俺の右腕が喰われて壊れた歯車(ワールドキャンサー)を発動しかけたところまでは全て未来予知による映像だ。


 未来予知魔法を使うのはずいぶん久々だ。正義教団の国に居た時はルシウスに邪魔されてから全然使ってなかったからな。


 やはり俺が使える魔法の中で1番強くて、この世界に来て1番最初に覚えた魔法だから、なんだか実家に帰った時の安心感と似たような感情が溢れてくる。


 現在の時間軸は2匹のボアウルフが現れて、パーシヴァルとそれぞれ1匹ずつ戦おうとしているところだ。


 実はこの時、俺は嫌な予感を覚えていた。


 直感だろうか、俺の身体はまるで悪い未来を予知したかのように勝手に身震いしたのだ。


 明らかに只事ではないと思った俺はこのタイミングで未来予知を発動した。


 ――そうしたら案の定だった。


 俺は少しの体調不良で焦ったばかりに右腕を喰われてしまった。


 そうならないように、今度は違うパターンで倒してみるか。


 とはいえ罠魔法を発動するのは決定事項だ。他の魔法で倒してもいいが、せっかく罠魔法を用意したのに無駄になるのはもったいない。魔力温存のためにも罠魔法はちゃんとモンスター倒しに貢献してもらわないと。


 さて、そろそろ防壁魔法を解くか。この魔法は強力故になかなか魔力消費が激しいからな。時間が欲しい時にしか使わないようにしている。


 防壁魔法が解かれた事でボアウルフは俺に攻撃できる状態になった。ボアウルフもそれを感じ取ったのか少し笑みを浮かべて、今度こそぶち殺してやると俺に超速で突進してきた。


 しかしボアウルフは俺の仕掛けた罠魔法にかかり、未来予知の通りとなった。


 さてここからだ。


 ここで俺が止めを刺しに落とし穴の近くによると予知通りに右腕を喰われてしまう。


 だから俺は落とし穴には近づかずに水魔法を落とし穴に向けて、放水砲のように放射してボアウルフを地上に這い上がらせないようにする。


 どんなモンスターでも急に水をぶっかけられれば、ダメージは無くとも多少は怯むもの。それが放水砲レベルの威力であれば尚更だ。


 ボアウルフは完全に這い上がる寸前に放水砲に撃たれ、再び穴の中へ落ちる。


 勢いよく多量の水をぶちまけた為、穴の中は水溜りどころか軽くプールになっている。当然ボアウルフの身体も水浸しだ。


 ――はい、ここで問題です。水浸しのボアウルフに最も効果的に攻撃できる魔法はなんでしょう?


 正解は――


『雷魔法“雷槍(らいそう)”』


 俺はフヒヒヒヒと不敵な笑みを浮かべながら、投擲競技の選手のように雷の槍を穴の中に向けて投げた。


 グエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエeeeeeeeeeeeeeeeeeeee!!!


 ボアウルフの悲痛の叫びが鼓膜を突き抜ける。結構うるさい。


 雷の槍がボアウルフの身体にしっかりと刺さったようだ。()してや今、ボアウルフは水浸しだ。余計にダメージが増すだろう。


 ……。


 やがて叫び声は消え、ドスンという重いものが倒れた音が聞こえた。


 どうやらボアウルフを倒したようだ。


 ふぅ……と息を入れる。


 もしかしたら右腕を喰われたかもしれない未来を完全に回避することができて、少しの間だが緊張感が解けた。


 探知魔法で見る限り、他のボアウルフ達はこちらへは向かってはいないので一息入れても大丈夫だと判断した。


 ――“焦げすぎてもはや何なのかよく分からない肉”をゲットしました――


 いや確かに雷で肉を焼けば焦げるだろうとは思ったけど、このアイテム名は適当すぎないか?


 しかもこれ口に入れると身体に悪いからか、食材アイテムではなく素材アイテムという扱いになっている。


 素材ってどう使えばいいのやら……。


『はぁ、やれやれ。さて、と俺の方は終わったが、パーシヴァルは――――ってあれ?』


 俺が戦闘に夢中になっている間にパーシヴァルはこつ然と姿を消した。パーシヴァルと戦っていたボアウルフも同様に影も形もなかった。


『あいつどこ行ったんだ?』


 俺は探知魔法でパーシヴァルを探してみたが、探知範囲外になるくらいかなり遠くまで行ったのか、どこを探して見ても行方が分からず終まいだ。


『はぁ……マジでどこまで行ったんだよ……』


 まさかパーシヴァルの奴、1匹倒しても物足りなかったから、また次のボアウルフを倒しに俺に無断で奥まで行ったのか……?


『パーシヴァルならやりかねないなぁ……』


 やれやれ、こうなったら探知魔法を発動したまま歩いてパーシヴァルを探すとするか。


 となると、他のボアウルフを探した方が早いか? パーシヴァルはおそらく違うボアウルフを野生の勘で探知しながら向かってるだろうし。


 警戒はしつつ、ここから1番近い場所にいる(ずいぶんと遠いけど)ボアウルフの方へ向かった。


 その時――


『ねえ』


 後ろから可愛らしい声がした。


『え?』


 振り返るとそこには、ボロボロの服を纏った幼い女の子がいた。


 何でこんなところに子供が……?



第294話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回も宜しくお願い致します。

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