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第285話『プロローグ③』

お待たせしました。

第285話の執筆が完了しました。

プロローグはこれで終わりです。

宜しくお願い致します。


※文字数多めです。

 ――さて、茶番は済んだところで、話しは本題に突入した。


 何を話そう今から1万年前の世界の話だ。


 ……いや、その前に1万年前なんて、俺からしたらどんな世界か想像もつかない。


 地球上の歴史で言うなら、紀元前8000年だから新石器時代あたりだろうか?


 スマホを持ってSNSに投稿したり、VRゲームができるような文明レベルとは桁違いに違う。


 今からその1万年前の実態を話そうとしているのだ。


 そこはどんな世界なんだろう? 最初は特に歴史なんて知りたくもなかったが、今はそうでもない。


 というか知らなければならない。


 俺は……いや俺()は今からそこに行くのだから。


 一緒にいるパーシヴァルも、俺と共に1万年前へ行ってくれるみたいだ。


 正直1人だと心細いと思ってたので、パーシヴァルも一緒なら非常に心強い。


 そういえば今のパーシヴァルの状態だが、やはり現実(あちら)では肉体は消滅しており、俺と同じく魂だけの存在となったらしい。


 今は俺の精神世界の中でマーリンの魔法によって仮想の肉体を再構築してここにいるようだ。


 ちなみにマーリンは何でここにいるかというと、人の精神に入り込む事ができる精神魔法を使っているかららしい。


 なぜ俺のためにそうしたのかまでは教えてくれなかった。


『いずれダスト君も分かるから』と言っていたが一体どういうことだろうか?


 まあ、それはともかく、1万年前の世界についてだが――


『まず魔法についてだけどね。ええとね、その当時はね魔法の種類がね、“炎魔法”、“水魔法”、“雷魔法”、“氷魔法”と稀に“光魔法”、“闇魔法”の6種類しか無かったの。で、数百年という年月が経っていくにつれてどんどん種類を増やしていったって感じかな』


 まずは6種類の魔法を実装して、問題が無ければ新たに種類を増やしたり強すぎる魔法の威力を下方修正して調整を、逆に弱すぎる魔法は威力を上方修正したりして、バランスを保っていたと。


 実にゲームらしいじゃないか。


 最初から多種多様の魔法があると、ゲームバランスが崩壊しかねないからな。……ってことかな?


 生き残った科学者が異世界に逃げるために開発したと言っていたが、元々はゲームを作りたかっただけなのかもしれないな。


『次にその時代の文明についてなんだけど――』


 これだ。


 これが最も重要だ。


 文明レベルが新石器時代なのか平安時代なのか江戸時代なのか、それとも意外と現代的な令和なのか。


 魔法の種類も少ないなら、例えば荷物を運ぶ時に便利な浮遊魔法や、戦闘だけではなく暑い夏を凌ぐには最適な風魔法もないわけだ。


 最悪、新石器時代レベルだった場合、荷物を運ぶ時は自分の筋力だけで運ばなければいけなかったり、クーラーも扇風機的な家電が無ければ、うちわを仰ぎ続けなければならないという地獄を味わなければいけないというわけだ。


 いや最悪うちわすら無いかもしれない……。


『大丈夫だよダスト君。文明レベルそこまで低くないから』


『え、あ、ああ』


 心の中で思っていた事に対して、マーリンが疑問を解消してくれた。


 そうだった。この精神世界では心が読まれるんだった。


 まあ、とにかく地獄を味わうことはないらしい。それは良かった。


『うーん、まああの時代の文明については……正直説明するよりも行って確かめた方が早いんだよね……あ、めんどくさいとかじゃないよ!』


 マーリンはさっきのような不真面目な態度ではなく、今は真面目に教えてくれている。


 だからマーリンの言う“行って確かめた方が早い”っていうのも本当のことなんだろう。


 でも実際に見た方が早いってどういうことだ?


 パッと見てすぐに理解できるような世界なのだろうか。


『分かってるよ。この目で見て確かめるよ』


『そうしてくれるとありがたいよー』


『それで……あとはまだ何かあるか?』


『あとはその世界のルールについてだね』


 ルール。つまりその世界の法律。


 たとえば銃刀法違反とか殺人罪とかは秩序を守るために必要不可欠なものだ。


 どのような法律があるかによって動き方が変わるかもしれない。


 これはちゃんと聞いておかなければ……。


『まず法律うんぬんに関してはダスト君が暮らしていた日本と大体同じだよ。殺人や暴力、詐欺といった犯罪行為は厳しく取り締まっているよ。ただし勇者や冒険者であればモンスターの狩猟は認められている。だってあれ生きてるように見えるけど、全部プログラム通りに動いているただのデータの塊だからね』


 なるほど。要するにルールを守って楽しくゲームしましょう、という健全なゲームなわけか。


『でね、そのモンスターなんだけど、討伐に成功すると……なんと経験値が入るのです!』


『経験値……?』


 規定の数値まで達するとレベルアップできるあれか。でもそんなのあってどうするんだ?


 ……まさかレベルという概念があるとか?


『正解だよ、ダスト君。300年前に()()した魔法レベルみたいなのあったじゃん?』


 魔法レベル……そういえば300年前に魔王城でステータスが分かる水晶に触れると見えるやつか。


 あの後、全くというほどステータスなんて気にしてなかったな。


 そうか。廃止されたのか。道理で全然聞かなくなったと思ったら。


 まあゲームの世界だからね。使わなくなった機能は無くしていくのが道理だろう。


『あれ? でもそれって誰が廃止したんだ?』


 考えられるとしたら神様か正体不明の管理者Dとかか?


『ごめん。それは言えないや。……ただそれもいずれ分かると言っておくよ』


 マーリンは、らしくなく少し申し訳なさそうな表情をした。


 あの何でもやらかしそうなマーリンがあんな表情をするなんて、よほどの事情があるってことか。


『そうか。気にしないでくれ』


 いずれ分かるなら無理に聞く必要はない。


 これから知っていけばいい。


『ありがとうねダスト君。大好きだよ』


 マーリンはお礼のつもりか、満面の笑みで愛の告白 (サービス)とウインク (サービス)を俺に送ってきた。


『お、おお』


 あまりの可愛さにまた魅了されそうになった。


 見た目だけは良いんだよなこいつは。


 なのにどうして……。


『な、なあ、盛り上がってるところ悪いんだが、レベルって何だ?』


 さっきから話しについていけてないパーシヴァルは、困惑した表情を出しながら、手を挙げて質問をした。


『そっかパーシヴァルちゃんはレベルって知らないよね。まあ簡単に言うと、その人の戦闘経験の多さを表してるってこと』


『つまり、レベルが高ければ高いほど強いってことか?』


『その通りだよ』


『なるほど……じゃあレベルの高い奴を見つけて……そいつに喧嘩吹っかけてやれば……』


 このバトルジャンキーはまた強い奴と戦おうとしているのか、やる気満々に手をポキポキと鳴らしている。


 ……さっきパーシヴァルも一緒なら心強いと言ったが、その代わりパーシヴァルがあらぬ方向に行かないように見張る必要も出てきたな……。


 はぁ……やれやれ。


『あ、あははは……ま、まあ頑張ってね』


 心を読んだマーリンは俺を憐れみ、苦笑いを見せた。


 ――その後も少し説明を受けて、授業は終了した。


『はい、以上だよ。他に質問ある?』


『ある』


『なにかな?』


『マーリン。お前このあとどうするんだ?』


『このあとかい? ダスト君達を送ったあと、私は魔王城に戻って()()()()()を回避するために動くよ』


『最悪の悲劇?』


『……それに関しても、いずれ分かる』


『いずれ分かる……か……』


 いずれ分かるというのは、この旅の果てに着く頃には全てを知っているということだ。


 その頃の俺は一体何を思い、次は何を成し遂げようとするのだろう?


 今考えたってしょうがないのは分かってるけど、どうしても頭の中に浮かんできてしまう。まるで恋をしてるみたいに。


『さぁ、私もそろそろ魔王城に戻らなくちゃ。急かすようで申し訳ないけど君達も出発の時間だ。準備はいいかい?』


『ああ問題ない』


『私もだ。いつでも準備はできている』


『よし、じゃあ行くよ……』


 マーリンがそう言うと、この精神世界の重力はスイッチを切り替えたかのように軽くなり、このまま空を飛んでいけるくらいに身体が浮かび上がった。


『うおおっ!』


『なんだなんだ!? 突然身体がびっくりするくらい軽くなったぞ!?』


 突然の空中浮遊に驚いてる間に、まるで天使が迎えに来たような神々しさで天井(そら)から光の輪っかのようなものが出現した。そこに飛び込めば、1万年前の過去に飛べるようだ。


 ――さて、いよいよか。


 本当に行くんだな、1万年前に。


 不安もある。けれど、同時にワクワク感もある。


 この先には何があるんだろう?


 どんな出会いがあるんだろう?


 そして――俺はこれから何を知るんだろう?


『じゃあな行ってくるぜ。1万年前のこと色々教えてくれてありがとな。みんなにも宜しく』


『マーリン殿。私からも礼を言おう。ありがとう』


『うん。行ってらっしゃい。君達の時を越えた壮大な旅に祝福があらんことを――』


 挨拶を済ませた俺達は光の輪の中に入ろうとするが、俺は少しマーリンの方へ振り返って――


『マーリン!!!』


 俺はまだマーリンに言っていない事があったから、それだけ言おう。


『なにーー?』


 俺はスゥゥと息を吸い、マーリンへの想いを叫んだ。


『お前最高に面白くて可愛いよ!!! スーパーハイパーウルトラ超絶美少女マーリン様!!!』


『……!』


 それを聞いたマーリンは、何を思ったのか少し照れくさそうに頬をかいた。


『ありがとう!!! ダスト君! 君も最高にイケてるよ!!!』


 俺とマーリンは共鳴するかのように同時に、グッと親指を上げた。


 こうして俺達はマーリンに笑顔で見送られながら精神世界をあとにして、1万年前の過去の世界へ向かった。


 全ては世界を救うため――


 そして、みんなともう1度笑い合うために――

第285話を見て下さり、ありがとうございます。

次回からなんですが、また改稿の方を優先に進めることを再開します。

なので次の更新はまた時間がかかってしまいます。

だからといって、ずっと待たせたくは無いのでなるべく早く更新できるようにしたいと思います。

色々不安定で申し訳ございませんが、宜しくお願い致します。

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