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第283話『プロローグ①』

お待たせしました。

第283話の執筆が完了しました。

今回から新章になります。

まずはプロローグです。

宜しくお願い致します。

 突然だが、俺はまたしても死んでしまった。


 魔王城でループ現象に巻き込まれて、なんとかループを脱するために色々やってから、奥の暗い廊下まで逃げたら、凶器を持ったゴールドちゃんにすまねえ時間がねえと言われ、サクッと殺られてしまった。


 だがそれには理由があって、どうやら俺を1万年前の過去に飛ばすために必要なこと……らしい。


 なんで俺を魂だけにすると過去に行けるのかはさっぱり分からないが、真面目な顔つきをしたゴールドちゃんが言うなら間違いないだろう。


 ゴールドちゃんはいつもいつもぶっ飛んでて、テンションも高いから頭のおかしい娘認定されがちだが、頭がおかしいぜ。


 まあ脳筋だからね。多少はね。


 ――それよりも疑問がある。


 なぜ俺を過去に飛ばしたのか。


 それに何の意味があるのか?


 そもそもなぜ俺なのか?


 過去に行く理由があるとすれば、昔の歴史をこの目で見たいとか、変えられなかった悲劇を変えたいとか色々あると思うが、俺にはそういった理由がない。


 ただゴールドちゃんからこの世界の命運がかかってるから過去に行ってくれと言われただけで、何をすればいいのか、具体的な事は何1つ説明してくれなかった。


 まさかただ旅行にでも行けと言っているわけでもないだろうし、よく分からんなぁ。


 ……さて、まあ過去に行く事自体はもうこの際いいよ。俺もかなり過去に生きたパーシヴァルと会ってから、この世界の歴史には興味があったし。


 最初は歴史を知りたいなら図書室とか書物庫とかで調べられるのではと思ったのだが、この世界には過去の歴史が記された本が一切無い。


 まるで過去を知られるのを拒んでいるかのように、歴史を知る手段が無いのだ。……いや厳密にいうと1つだけある。


 それは――単純に過去に生きたパーシヴァルやアリスに聞けばいい。


 ……だが、パーシヴァルにはかつての記憶がほとんど無くなっていて、アリスは話す機会自体はあったものの、ゆっくり話している暇も無かったので、過去の事は何も聞けなかった。


 1万年前に行ってしまえば、もう話すことも会うこともできないだろう。特にパーシヴァルは蘇生魔法“アンデッド”で俺の魔力によって生かされていたから……もうとっくに消滅しているだろう。


 そう思うと寂しいという気持ちがこみ上げてくる。俺には今まで友達だとか仲間だとかはいなかったから、こんな気持ちになったのは初めてだ。


 パーシヴァルとアリスだけではなく、他の皆とも会うことは無いだろうとほぼ確定してしまった。


 1万年単位で長生きできる魔法とかあればいいのだが……。


 なんて、さすがに都合が良すぎるか。


 それでもダメ元で探してみるけど、もしダメだったら運命だと思って諦めよう。


 思ってみれば俺はこれまで何回も死んでその度に生き返ってきた。


 俺みたいなただの一般人がこんな殺意が蔓延る世界で無事に生き残れる道理は元々ないのだ。


 なのに俺はさっきまで生きていたのだ。どんなに強い敵が立ち塞がっても、どんなに難しい問題に直面しても、仲間達がいたから何だかんだ生き残っていたのだ。


 それ自体が奇跡のようなものだ。


 これ以上生存を望むのはさすがに傲慢だろう。



 ――何でそう思うんだい?――


『……え?』


 どこかから聞いてるだけでなんか無性に腹が立つ女性の声がした。


 ――腹が立つって酷くないかい? これでも私は君を助けようとしているのに――


 おい、心読めるのか。


 ――うん。だって今君がいるそこは……――


()()()()()()だからだよ』


 声が急に近くなったと思ったら、背後にそいつはいた。いや今現れたというべきか。


『うわっ! ビックリした!』


『やあ元気かい? ……ってそうか、今死んでるんだったね』


 ドジッちゃった、テヘッ☆と言わんばかりに頭をコツンと当てる仕草をする。


 可愛いけど腹が立つ。


『色々疑問はあるが……こんなところで何やってんだよ()()()()


 まさかここでマーリンに会うとは微塵も思わなかったので、正直かなり驚愕している。


 そもそもどうやってここに来たのだろうか? まあどうせインチキ魔法だろうけど。


『私どうしてもダスト君に会いたかったから来ちゃった☆』


 マーリンはまた可愛い子ぶって、顎に両腕を当てた。


 マーリンはただでさえ容姿がいい。そんな娘がこんなポーズを取れば、大抵の男の視線と心を鷲掴みできるだろう。


 かくいう俺も正直マーリンを可愛いと思っている。


 もしブロンズ様やアミさんに出会ってなければ、俺はこの場でマーリンを勢いでデートに誘っていたかもしれない。


 それほどまでに俺はマーリンに魅了されている。それ自体は間違いはない。


 しかし、なぜだろう? それ以上に俺はマーリンに怒りの感情……というか呆れているのだ。


 いや、その答えはすぐに分かった。


 それは――


 マーリンはあのふざけた爺さんこと魔王と同じ臭いがするからだ。


 魔王はシリアスな空気になるはずのところで、いつも訳の分からないギャグを入れてきたり、タイミング悪くお腹の虫が鳴ったりと、シリアスブレイカーという異名を欲しいがままにしている。


 マーリンも恐らく同じようなタイプではないだろうか。というか絶対そうだ。


 真面目に話がしたいのに相手が空気を読まなさすぎて、イライラするこの感じ……まるで魔王を相手にしてるみたいだ。


『はぁ……』


 自分のマーリンに対する感情に気づいた俺は、まず最初にため息を吐き、呆れつつも俺はあえてマーリンにこう言った。


『ねえ、他にやることないの? 暇なの?』


『暇じゃないよ! 私はダスト君が過去に行く前にちょっとガイドしようとしただけだよ!』


『ガイド?』


『うん、現代と1万年前じゃ常識もルールも何もかも違うからね。ちゃんとその辺も覚えておかないと面倒な事になるから、そうならないために今からその勉強をしようってわけさ』


『ほう、なるほど……常識とルールか』


 確かにそれなら勉強しておいた方がいい。常識とルールは別に異世界でなくとも時代が移り変わるにつれ変化していくものだ。1年という短い間でさえ変わることもある。1万年なんて、もはや異世界だろう。


『そういうことならぜひお願いしたい』


 勉強は超苦手だけど……。


『よし、それじゃ今から君()に1万年前について授業していくよ!』


 ん? 達ってどういうことだ?


 俺の聞き間違いか、それともマーリンがボケたのか、あるいは“君達”というのはマーリンが名付けた俺の新たなあだ名なのか……。


 特に気配は無いが、もしかして隣に誰かいるのかと視線を横に向けると、そこには――


『あれ!? パーシヴァル!?』


『ん? ああ今頃気づいたのか主人』


 何でここに……パーシヴァルが?


第283話を見て下さり、ありがとうございます。

皆様がこの話を見て楽しめたのなら幸いです(^^)

次回もこのプロローグの続きになります。

多分、2、3日後には更新できると思います。

宜しくお願い致します。

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